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白猫と黒猫の亜人23

「にゃあ‥‥‥」

「へ?」

京楽の子を宿したという、茶色の猫が浮竹の元を訪れていた。

「にゃあにゃあ(京楽さん、酔ってたんですよ。猫の姿で、発情期の私に交尾しましたわ。お腹の
子は、京楽さんの子ですわ。責任とってもらいますから)」

「猫の亜人と猫では、子供できないはずなんだが」

「にゃあにゃあにゃあ(あら、知りませんでしたの?黒猫の亜人の場合、普通の猫との間にも子ができるのです。なので、責任とってもらいますから)」

「京楽ううううう」

「んー、どうしたの浮竹?」

浮竹は、猫の広間から自分たちの一軒家に戻ると、京楽に問答無用でアッパーを食らわせた。

「この、浮気者おおおおお」

「えええええええ。話が見えない!」

「にゃあ!(京楽さん、責任とってもらいますよ)」

「ああ、君はエレンちゃん?」

「やっぱり浮気なのかあああ!!!!」

「もぎゃあああああああ!ま、待って、浮竹!黒猫でも、普通の猫の亜人のように、猫との間に子はできないよ?その、交尾はしたけど」

浮竹が怒る。

「交尾したってことは、浮気を認めるんだな?」

「ええっ。猫相手だったし‥‥‥酔ってたし‥‥‥」

「雌猫に交尾するのも立派な浮気だ」

「はい、すみません」

「にゃああ(私のお腹の子はどうなるの。私、京楽さん以外と交尾してませんのよ?)」

「エレンちゃんは、たしかタシノ君とできていたよね?」

「にゃ(びくっ)」

エレンちゃんという茶色の猫は、逃げ出した。

「にゃああん(私、用を思いだ出したのでこれで失礼させてもらいますわ)」

「はぁ‥‥白状しろ。今まで、何回雌猫と交尾してきた」

「えーと30回以上」

「この色欲魔あああああ!」

浮竹からまたアッパーを食らって、京楽はベッドの上に倒れる。

「実家に帰らせていただきます」

「ええ、浮竹ぇ?」

浮竹は、魔王城にテレポートするお札を手に、魔王の浮竹のところに家出をしてしまった。

「魔王城って、実家なんだろうか」

そんな疑問を口にする京楽は、はてどうすれば浮竹が許してくれるのだろうかと考えるのであった。



「全く、京楽のやつ、雌猫と30回以上交尾したとか、浮気のし過ぎだ」

『まぁ、黒猫のボクもたまってたんじゃない?君に負担かけたくないとかで』

『それはありえそうだ。黒猫の亜人は性欲が強いらしいから』

浮竹は、幽鬼の京楽が用意してくれた紅茶クッキーをかじりながら、紅茶を飲む。

「たまっていたなら、言ってくれればよかったんだ。その、セックスまではできないけど、抜いたりとはかできるから」

『これ、痴話喧嘩だね』

『そうだな。まぁ、気がすむまでここにいさせよう』

丸一日、浮竹は魔王城で過ごした。

『白猫の俺、一緒にお風呂入ろう』

『白猫の浮竹、ホットココアができたよ』

浮竹は、甘やかされまくった。

魔王の浮竹と一緒にお風呂に入って、髪だけでなく肌も洗ってもらう。猫の姿になると、ブラッシングもしてもらった。

幽鬼の京楽には、絵本を読んでもらい、ホットココアをもらう。

「幸せだなぁ」

夜寝る時は、魔王の浮竹と幽鬼の京楽を挟んで、川の字で寝た。

『起きた?朝食できてるよ』

「うーん、あと10分」

『分かったよ。10分後に起こしに来るからね?』

幽鬼の京楽に10分後に起こされて、寝ぼけ眼で、浮竹はパジャマ姿のまま食堂に行く。

朝から豪華な朝食が用意されてあった。

「おいしい‥‥」

『おかわり、あるからね?』

『白猫の俺、おはよう』

「魔王の俺、おはよう」

浮竹はおかわりをした。

昼まで昼寝をして過ごした。その後も甘やかされた。パジャマから魔王の浮竹のものだという、いい匂いのする服をもらって着替えた。

猫の姿でいると、魔王の浮竹からチュールをもらい、浮竹はぺろぺろとそれを舐めて食べる。

『ああ、かわいいなぁ。いっそ、俺んところの子になるか?』

「はて。俺は、なんでここにきたんだっけ」

『さぁ?昼ごはん用意してあるからな』

魔王の浮竹は、本気でこのまま自分ちの子にしたそうだった。

お昼ご飯を食べて、猫の姿になってお城の中を探検すると、幽鬼の京楽にだっこされる。

『お迎えが、来てるよ?中庭に行こうか』

浮竹は、中庭で魔王の浮竹と幽鬼の京楽と午後の紅茶を楽しむ。

京楽が迎えに来た。

「浮竹、ボクが悪かったから、帰ろう?」

「何が?」

「何がって、どうしたの」

「俺は今幸せなんだ。なんで京楽が悪かったのか分からない。あ、この紅茶クッキー食べるか?」

「食べるけど‥‥‥帰ろう?ボクたちの家に」

「俺は、京楽とケンカしていたのか?」

「そうだよ。ボクが雌猫に手を出すからって」

「ああ、思い出した!もう、しないか?」

「しない。約束するから」

「本当だな?破ったら、1カ月禁欲だからな?」

1カ月の禁欲はきついと、京楽も素直に反省した。

「お前は、黒猫の亜人だから、その性欲が強いから俺とできない時に雌猫とを交尾していたんだろう?」

「うん」

「今度から、俺に言え。セックスした後も、まだすっきりしなかったら、俺が抜いてやるから」

「まじ?」

「まじだ」

仲直りする二人を見て、魔王の浮竹と幽鬼の京楽は、浮竹を自分ちの子にできなくてちょっと残念がった。

『また、喧嘩したらおいで』

『白猫の俺、いつでもこいよ』

浮竹と京楽は、元の自分たちの家に戻るのだった。


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