黒猫と白猫の亜人19
「浮竹、話があるんだ」
「なんだ?」
「ボクが時折金色の瞳をしているのは知っているね?」
びくりと、浮竹が止まる。
「ボクの中には、サタナシア・オルタナティブという別人格というか、別存在がある。人格ではないね。ボクの中に混ざって溶け込んでるから。それでも、時おり意識を滲ませる。ボクが金色の瞳をしている時は、サタナシア・オルタナティブがいるんだと思って。ボクが君を愛しているように、通称サタンも君を愛しているから、危害は加えないと思う」
「溶けてこんでいるってことは、ただの京楽には戻れないんだな?」
「うん。もしもボクが金色の瞳のまま戻らない時は、幽鬼のボクを頼って?もう一人のボクを、通称サタンは怖がってるから」
「分かった」
そんな会話をした数日後、突然京楽が倒れた。
高熱を出して倒れ、マナ欠乏症であることが分かり、浮竹は白哉を頼ってマナ回復の上位ポーションを買ってもらい、京楽に与えた。
ぶわりと、京楽の中に封印されていた魔力が解放される。
目を開けた京楽は、金色の瞳をしていた。
「ボクは‥‥」
「京楽、こっちにこい」
「浮竹、十四郎」
「浮竹、京楽はどうしたのだ?」
「白哉。京楽の中には、サタナシア・オルタナティブという別存在が存在する。通称サタン。今、京楽の意識がないから出てきたみたいだ。害はなさないけど、京楽が目覚めれないから、サタンの苦手な幽鬼の京楽のところにいってくる」
浮竹は、京楽抱きしめて、魔王の浮竹の城までいけるお札を手にとる。
二人は、テレポートして魔王の浮竹の城までやってきた。
『どうしたの』
ちょうど、魔王の浮竹と幽鬼の京楽がお茶をしているところだった。
「あ、幽鬼の京楽、助けてくれ。京楽がサタナシア・オルタナティブを宿して、意識を戻してこない」
『おや、いけない。おはようだね、サタナシア・オルタナティブ?』
幽鬼の京楽が、ぼんやりしていた金色の瞳の京楽の目をのぞきこみ、にっこりと赤い虚ろな目でいると、京楽の中のサタナシア・オルタナティブは恐怖を感じて、逃げ出していこうにも、京楽という肉体に縛られているので逃げられない。
幽鬼の京楽は、そんな京楽を見てにこにこしている。
(ぎゃあああああ)
京楽の中のサタナシア・オルタナティブが悲鳴をあげて、京楽の意識の中に溶けていく。
「あれ、ボクは?幽鬼のボクに魔王の浮竹?」
「京楽、元に戻ったんだな!」
浮竹は、安堵して京楽に抱きつく。
「わっ」
いきなりのことだったので、京楽は中庭で尻もちをついた。
「京楽、お前が金色の瞳になったまま元に戻らないから、幽鬼の京楽に助けてもらったんだ」
「ああ、そうだったのかい。それで、魔王城にいるんだね?」
『せっかく来たんだ。お茶していけ』
『そうだね。お茶、いれるね?』
「幽鬼の京楽、ありがとう」
『どういたしまして』
幽鬼の京楽は、客人である京楽と浮竹の分のお茶をいれると、紅茶クッキーを用意してくれた。
「このクッキーおいしいから好きなんだ」
よく食べる浮竹を、京楽は愛しそうに見る。
『黒猫のボク。サタナシア・オルタナティブはボクのこと怖がってるから。また何かあったら、ボクのところへおいで。黒猫のボクが動けない時は、白猫の浮竹、君が頼りだよ』
「分かった」
「分かったよ。ありがとう」
そのままお茶をしてから、白哉の家に戻る。
白哉が、浮竹と京楽を抱きしめる。
「心配、したのだぞ」
「うん。ごめんね、白哉君」
「白哉、いきなりいなくなってすまん」
「一度、専門家に診てもらうか?」
白哉の提案に、京楽が首を横に振る。
「ボクが赤子の時からの付き合いだし、ボクと混じりすぎて、サタナシア・オルタナティブだけを消すのは‥‥‥そうだね、幽鬼のボクならできるかもしれないけど、ボクはサタナシア・オルタナティブもボクの一部だと思っているから」
うまく付き合っていくよ、と京楽は浮竹の頭を撫でて、白哉の頭も撫でた。
「念のため、大神官の恋次を呼んでいたのだが、無駄足だったな」
「そんなこと言わないでくださいよー。京楽さん、みてあげますから、座ってください」
恋次に言われて、京楽はソファーに座りこむ。
「出てこい。通称サタン」
京楽がそう声をかけると、京楽は瞳を金色に変えた。ぶわりと、まとう魔力が高くなる。
「あ、無理っす」
「へ?」
浮竹が、間の抜けた声を出す。
「正真正銘、悪魔王サタンの一部ですね。俺の手でどうこうできる存在じゃありません」
「サタナシア・オルタナティブは、悪魔王サタンの一部なのか」
「うーん、正確には違うかもしれないけど、悪魔王サタンとどこかでリンクしてますね」
「そうか‥‥‥」
浮竹は、京楽を抱きしめる。
「どんな京楽であろうと、俺はお前を愛してる」
浮竹に抱きしめられて、京楽は涙を滲ませる。
「うん。ボクがなんであれ、ボクを愛してくれてありがとう」
恋次と白哉やは、浮竹と京楽を残して部屋から退出する。
「悪魔王サタンか。きな臭いな」
「魔王サタン崇拝者には、涎物の存在ですね。情報がもれないようにしないと」
「無論、兄は神殿に報告したりしないであろうな?」
「え、あ、はい」
実はちょっとだけ報告するか迷っていた恋次であったが、白哉の言葉で報告するのはなしにした。
「悪魔王サタンに魔王浮竹‥‥‥人の手には、余る存在だな」
白哉は、長いため息を零すのであった。
「なんだ?」
「ボクが時折金色の瞳をしているのは知っているね?」
びくりと、浮竹が止まる。
「ボクの中には、サタナシア・オルタナティブという別人格というか、別存在がある。人格ではないね。ボクの中に混ざって溶け込んでるから。それでも、時おり意識を滲ませる。ボクが金色の瞳をしている時は、サタナシア・オルタナティブがいるんだと思って。ボクが君を愛しているように、通称サタンも君を愛しているから、危害は加えないと思う」
「溶けてこんでいるってことは、ただの京楽には戻れないんだな?」
「うん。もしもボクが金色の瞳のまま戻らない時は、幽鬼のボクを頼って?もう一人のボクを、通称サタンは怖がってるから」
「分かった」
そんな会話をした数日後、突然京楽が倒れた。
高熱を出して倒れ、マナ欠乏症であることが分かり、浮竹は白哉を頼ってマナ回復の上位ポーションを買ってもらい、京楽に与えた。
ぶわりと、京楽の中に封印されていた魔力が解放される。
目を開けた京楽は、金色の瞳をしていた。
「ボクは‥‥」
「京楽、こっちにこい」
「浮竹、十四郎」
「浮竹、京楽はどうしたのだ?」
「白哉。京楽の中には、サタナシア・オルタナティブという別存在が存在する。通称サタン。今、京楽の意識がないから出てきたみたいだ。害はなさないけど、京楽が目覚めれないから、サタンの苦手な幽鬼の京楽のところにいってくる」
浮竹は、京楽抱きしめて、魔王の浮竹の城までいけるお札を手にとる。
二人は、テレポートして魔王の浮竹の城までやってきた。
『どうしたの』
ちょうど、魔王の浮竹と幽鬼の京楽がお茶をしているところだった。
「あ、幽鬼の京楽、助けてくれ。京楽がサタナシア・オルタナティブを宿して、意識を戻してこない」
『おや、いけない。おはようだね、サタナシア・オルタナティブ?』
幽鬼の京楽が、ぼんやりしていた金色の瞳の京楽の目をのぞきこみ、にっこりと赤い虚ろな目でいると、京楽の中のサタナシア・オルタナティブは恐怖を感じて、逃げ出していこうにも、京楽という肉体に縛られているので逃げられない。
幽鬼の京楽は、そんな京楽を見てにこにこしている。
(ぎゃあああああ)
京楽の中のサタナシア・オルタナティブが悲鳴をあげて、京楽の意識の中に溶けていく。
「あれ、ボクは?幽鬼のボクに魔王の浮竹?」
「京楽、元に戻ったんだな!」
浮竹は、安堵して京楽に抱きつく。
「わっ」
いきなりのことだったので、京楽は中庭で尻もちをついた。
「京楽、お前が金色の瞳になったまま元に戻らないから、幽鬼の京楽に助けてもらったんだ」
「ああ、そうだったのかい。それで、魔王城にいるんだね?」
『せっかく来たんだ。お茶していけ』
『そうだね。お茶、いれるね?』
「幽鬼の京楽、ありがとう」
『どういたしまして』
幽鬼の京楽は、客人である京楽と浮竹の分のお茶をいれると、紅茶クッキーを用意してくれた。
「このクッキーおいしいから好きなんだ」
よく食べる浮竹を、京楽は愛しそうに見る。
『黒猫のボク。サタナシア・オルタナティブはボクのこと怖がってるから。また何かあったら、ボクのところへおいで。黒猫のボクが動けない時は、白猫の浮竹、君が頼りだよ』
「分かった」
「分かったよ。ありがとう」
そのままお茶をしてから、白哉の家に戻る。
白哉が、浮竹と京楽を抱きしめる。
「心配、したのだぞ」
「うん。ごめんね、白哉君」
「白哉、いきなりいなくなってすまん」
「一度、専門家に診てもらうか?」
白哉の提案に、京楽が首を横に振る。
「ボクが赤子の時からの付き合いだし、ボクと混じりすぎて、サタナシア・オルタナティブだけを消すのは‥‥‥そうだね、幽鬼のボクならできるかもしれないけど、ボクはサタナシア・オルタナティブもボクの一部だと思っているから」
うまく付き合っていくよ、と京楽は浮竹の頭を撫でて、白哉の頭も撫でた。
「念のため、大神官の恋次を呼んでいたのだが、無駄足だったな」
「そんなこと言わないでくださいよー。京楽さん、みてあげますから、座ってください」
恋次に言われて、京楽はソファーに座りこむ。
「出てこい。通称サタン」
京楽がそう声をかけると、京楽は瞳を金色に変えた。ぶわりと、まとう魔力が高くなる。
「あ、無理っす」
「へ?」
浮竹が、間の抜けた声を出す。
「正真正銘、悪魔王サタンの一部ですね。俺の手でどうこうできる存在じゃありません」
「サタナシア・オルタナティブは、悪魔王サタンの一部なのか」
「うーん、正確には違うかもしれないけど、悪魔王サタンとどこかでリンクしてますね」
「そうか‥‥‥」
浮竹は、京楽を抱きしめる。
「どんな京楽であろうと、俺はお前を愛してる」
浮竹に抱きしめられて、京楽は涙を滲ませる。
「うん。ボクがなんであれ、ボクを愛してくれてありがとう」
恋次と白哉やは、浮竹と京楽を残して部屋から退出する。
「悪魔王サタンか。きな臭いな」
「魔王サタン崇拝者には、涎物の存在ですね。情報がもれないようにしないと」
「無論、兄は神殿に報告したりしないであろうな?」
「え、あ、はい」
実はちょっとだけ報告するか迷っていた恋次であったが、白哉の言葉で報告するのはなしにした。
「悪魔王サタンに魔王浮竹‥‥‥人の手には、余る存在だな」
白哉は、長いため息を零すのであった。
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