忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
09 2025/10 2 3 45 6 7 8 9 10 1112 13 14 15 16 17 1819 20 21 22 23 24 2526 27 28 29 30 31 11

黒猫と白猫の亜人19

「浮竹、話があるんだ」

「なんだ?」

「ボクが時折金色の瞳をしているのは知っているね?」

びくりと、浮竹が止まる。

「ボクの中には、サタナシア・オルタナティブという別人格というか、別存在がある。人格ではないね。ボクの中に混ざって溶け込んでるから。それでも、時おり意識を滲ませる。ボクが金色の瞳をしている時は、サタナシア・オルタナティブがいるんだと思って。ボクが君を愛しているように、通称サタンも君を愛しているから、危害は加えないと思う」

「溶けてこんでいるってことは、ただの京楽には戻れないんだな?」

「うん。もしもボクが金色の瞳のまま戻らない時は、幽鬼のボクを頼って?もう一人のボクを、通称サタンは怖がってるから」

「分かった」

そんな会話をした数日後、突然京楽が倒れた。

高熱を出して倒れ、マナ欠乏症であることが分かり、浮竹は白哉を頼ってマナ回復の上位ポーションを買ってもらい、京楽に与えた。

ぶわりと、京楽の中に封印されていた魔力が解放される。

目を開けた京楽は、金色の瞳をしていた。

「ボクは‥‥」

「京楽、こっちにこい」

「浮竹、十四郎」

「浮竹、京楽はどうしたのだ?」

「白哉。京楽の中には、サタナシア・オルタナティブという別存在が存在する。通称サタン。今、京楽の意識がないから出てきたみたいだ。害はなさないけど、京楽が目覚めれないから、サタンの苦手な幽鬼の京楽のところにいってくる」

浮竹は、京楽抱きしめて、魔王の浮竹の城までいけるお札を手にとる。

二人は、テレポートして魔王の浮竹の城までやってきた。

『どうしたの』

ちょうど、魔王の浮竹と幽鬼の京楽がお茶をしているところだった。

「あ、幽鬼の京楽、助けてくれ。京楽がサタナシア・オルタナティブを宿して、意識を戻してこない」

『おや、いけない。おはようだね、サタナシア・オルタナティブ?』

幽鬼の京楽が、ぼんやりしていた金色の瞳の京楽の目をのぞきこみ、にっこりと赤い虚ろな目でいると、京楽の中のサタナシア・オルタナティブは恐怖を感じて、逃げ出していこうにも、京楽という肉体に縛られているので逃げられない。

幽鬼の京楽は、そんな京楽を見てにこにこしている。

(ぎゃあああああ)

京楽の中のサタナシア・オルタナティブが悲鳴をあげて、京楽の意識の中に溶けていく。

「あれ、ボクは?幽鬼のボクに魔王の浮竹?」

「京楽、元に戻ったんだな!」

浮竹は、安堵して京楽に抱きつく。

「わっ」

いきなりのことだったので、京楽は中庭で尻もちをついた。

「京楽、お前が金色の瞳になったまま元に戻らないから、幽鬼の京楽に助けてもらったんだ」

「ああ、そうだったのかい。それで、魔王城にいるんだね?」

『せっかく来たんだ。お茶していけ』

『そうだね。お茶、いれるね?』

「幽鬼の京楽、ありがとう」

『どういたしまして』

幽鬼の京楽は、客人である京楽と浮竹の分のお茶をいれると、紅茶クッキーを用意してくれた。

「このクッキーおいしいから好きなんだ」

よく食べる浮竹を、京楽は愛しそうに見る。

『黒猫のボク。サタナシア・オルタナティブはボクのこと怖がってるから。また何かあったら、ボクのところへおいで。黒猫のボクが動けない時は、白猫の浮竹、君が頼りだよ』

「分かった」

「分かったよ。ありがとう」

そのままお茶をしてから、白哉の家に戻る。

白哉が、浮竹と京楽を抱きしめる。

「心配、したのだぞ」

「うん。ごめんね、白哉君」

「白哉、いきなりいなくなってすまん」

「一度、専門家に診てもらうか?」

白哉の提案に、京楽が首を横に振る。

「ボクが赤子の時からの付き合いだし、ボクと混じりすぎて、サタナシア・オルタナティブだけを消すのは‥‥‥そうだね、幽鬼のボクならできるかもしれないけど、ボクはサタナシア・オルタナティブもボクの一部だと思っているから」

うまく付き合っていくよ、と京楽は浮竹の頭を撫でて、白哉の頭も撫でた。

「念のため、大神官の恋次を呼んでいたのだが、無駄足だったな」

「そんなこと言わないでくださいよー。京楽さん、みてあげますから、座ってください」

恋次に言われて、京楽はソファーに座りこむ。

「出てこい。通称サタン」

京楽がそう声をかけると、京楽は瞳を金色に変えた。ぶわりと、まとう魔力が高くなる。

「あ、無理っす」

「へ?」

浮竹が、間の抜けた声を出す。

「正真正銘、悪魔王サタンの一部ですね。俺の手でどうこうできる存在じゃありません」

「サタナシア・オルタナティブは、悪魔王サタンの一部なのか」

「うーん、正確には違うかもしれないけど、悪魔王サタンとどこかでリンクしてますね」

「そうか‥‥‥」

浮竹は、京楽を抱きしめる。

「どんな京楽であろうと、俺はお前を愛してる」

浮竹に抱きしめられて、京楽は涙を滲ませる。

「うん。ボクがなんであれ、ボクを愛してくれてありがとう」

恋次と白哉やは、浮竹と京楽を残して部屋から退出する。

「悪魔王サタンか。きな臭いな」

「魔王サタン崇拝者には、涎物の存在ですね。情報がもれないようにしないと」

「無論、兄は神殿に報告したりしないであろうな?」

「え、あ、はい」

実はちょっとだけ報告するか迷っていた恋次であったが、白哉の言葉で報告するのはなしにした。

「悪魔王サタンに魔王浮竹‥‥‥人の手には、余る存在だな」

白哉は、長いため息を零すのであった。

拍手[0回]

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら
新着記事
(10/01)
(10/01)
(10/01)
(09/30)
(09/30)
"ココはカウンター設置場所"