黒猫と白猫の亜人22
その日、王国では実に数年ぶりになる雪が降った。
「京楽、この冷たいのはなんだ?」
「雪だよ。この地方は暖かいから、雪が降るのは珍しいね」
「初めて見た」
「これは積もりそうだね。雪が積もったら、雪だるまや雪うさぎを作って、雪合戦もしようか」
「なんだか分からないが、楽しそうだな」
その日は、散歩はなしにして、白哉の家の窓から、しんしんと降る雪を見ていた。
ぱちっと、暖炉の火が爆ぜる。
「浮竹、外に出て雪で遊ぶのであれば、ちゃんと温かい恰好をしておけ。兄は病弱だからな。まぁ、白猫の亜人が体が弱いのは当たり前なので仕方ないかもしれぬが」
「俺は元気いっぱいだぞ?」
「でも浮竹、この前熱だしたでしょ?」
「ああ、そう言われると回答に困る」
その日は、浮竹は窓の外から雪が積もるのをずっと見ていた。
次の日になり、雪は積もったまま溶けることがなかった。
「雪だるま作ろうか」
京楽が、作り方を浮竹に教えて、二人で雪玉を大きく大きく作っていく。
下の部分ができると、頭の部分を作って、二人でもちあげてほぼ完成した。
「目は‥‥‥青いビー玉があったから、これにしよう」
「腕は?」
「この木の棒でいいんじゃない?」
腕の木の棒に、浮竹は古くなって使わなくなった手袋をさせる。
鼻は台所でもらってきた人参の先端、口は黒めの小さな木の枝にした。
「次は雪うさぎ作ろうよ」
「ああ」
二人で、2匹の雪うさぎを雪だるまの隣につくる。
目は赤いビー玉、耳は庭園にある緑の葉っぱを作った。
「白哉君呼んでこよ」
「俺が呼んでくる」
浮竹は、今日は仕事をお休みにしている白哉を呼ぶ。
「白哉、雪だるまと雪うさぎを作ったんだ。写真とりたいから、一緒に来てくれ」
「兄は、子供心を忘れぬのだな。すぐ向かう」
白哉は、風邪をひかないように上着をきてから、京楽と浮竹の元に向かう。
ちなみに、遊びにきていた恋次にカメラをもたせて、一緒にやってきた。
「ほう、見事だな」
雪だるまは、白哉の身長より幾分か低いくらいの大きさだった。
「白哉も、恋次君も、雪うさぎ作るか?」
白哉頷く。白哉が作るなら自分も、と恋次も雪うさぎを作り出す。
「目は、この赤いビー玉‥‥‥というか、これは赤水晶の結晶だな」
「え、なんか高いやつか?」
「いや、赤水晶は安い。ビー玉よりは高いが」
「白哉が安いというと、なんだか高そうな気がする」
「1個、銀貨2枚くらいだよ」
「後で回収するし、それくらいならいいか」
京楽の言葉に、浮竹は1個銀貨2枚くらいならと思う。浮竹は昔なら、銀貨2枚なんてという価値観であったが、大金持ちの4大貴族の朽木にいるせいで、金銭感覚が狂ってきていた。
「葉は、これから」
庭園にしげっている木の葉をちぎって、4枚で2匹分の雪うさぎの耳にした。
「写真とりましょう!記念に!」
恋次が言うと、浮竹は京楽と手を握り合い、雪だるまの隣に座りこむ。
白哉は、雪うさぎの群れの後ろに立った。
「じゃあ、写真撮りますよ。後で、俺と白哉さんだけのツーショットも撮ってくださいね?はい、いきますよー」
パシャリ。
パシャリ、
何枚か恋次は写真をとった。
写真を撮る度に浮竹と京楽は動き、最後は白哉としゃがんで3人並んで撮ってもらった。
「じゃあ、俺と白哉さん撮ってください」
恋次が、白哉の隣に並ぶ。
それだけならよかったのだが、2枚目の写真を撮る時には白哉を抱き寄せ、口づけしようとしたので白哉に殴られていた。
「愛が痛い」
殴られて寝転んでいる恋次と、呆れている白哉をツーショットで撮った。
「今度、この写真を恋次の大神官の写真に用いるようにしてやろう」
「あああ、白哉さんごめんなさいいいいい」
呆れる白哉のご機嫌をとろうとする恋次に、浮竹が丸めた雪玉を投げた。
「浮竹さん、やりましたね?」
白哉にも、雪玉を投げるがひょいと交わされてしまった。
「雪合戦をしよう!俺と京楽と、白哉と恋次君で勝負だ!」
「泣いてもしりませんよ?」
「仕方ない‥‥」
白哉も恋次も混じって、雪玉を投げ合う。
京楽がひたすら雪玉を作って、それを浮竹が投げた、
「わっ」
白哉の投げた雪玉が、浮竹の顔面に当たる。
「降参か、浮竹?」
「まだまだ!」
京楽も参加して、雪玉を投げていく。
ちなみに恋次の投げる雪玉は違う方向に飛んでいく。
「恋次、兄は雪玉だけ作っていろ。投げても変な方角に飛ぶだけだ。全く、使えない‥‥‥」
「じゃあ、白哉さんの盾になります!」
白哉の前に飛び出して、恋次は京楽の投げた雪玉をいっぱいくらって、倒れた。
「勝負あり、かな?」
「やったね、浮竹」
「全く、使えない‥‥‥」
「しくしく( ノД`)」
白哉は風邪をひくからと、浮竹を連れて家の中に戻ってしまう。
「恋次君、白哉君に使えないって言われたわりには嬉し気だね?」
「だって、失敗しても白哉さん昔みたいに俺をずっと無視とかじゃないから。あたっくし始めた当時は、24時間完全無視だったんです」
「そりゃきつい」
「だから、こうして一緒に過ごせてすごく幸せです」
恋次は笑う。
愛の形はいろいろだが、白哉と恋次はぎこちないが、それでも愛し合っているんだなぁと京楽は思うのであった。
「京楽、この冷たいのはなんだ?」
「雪だよ。この地方は暖かいから、雪が降るのは珍しいね」
「初めて見た」
「これは積もりそうだね。雪が積もったら、雪だるまや雪うさぎを作って、雪合戦もしようか」
「なんだか分からないが、楽しそうだな」
その日は、散歩はなしにして、白哉の家の窓から、しんしんと降る雪を見ていた。
ぱちっと、暖炉の火が爆ぜる。
「浮竹、外に出て雪で遊ぶのであれば、ちゃんと温かい恰好をしておけ。兄は病弱だからな。まぁ、白猫の亜人が体が弱いのは当たり前なので仕方ないかもしれぬが」
「俺は元気いっぱいだぞ?」
「でも浮竹、この前熱だしたでしょ?」
「ああ、そう言われると回答に困る」
その日は、浮竹は窓の外から雪が積もるのをずっと見ていた。
次の日になり、雪は積もったまま溶けることがなかった。
「雪だるま作ろうか」
京楽が、作り方を浮竹に教えて、二人で雪玉を大きく大きく作っていく。
下の部分ができると、頭の部分を作って、二人でもちあげてほぼ完成した。
「目は‥‥‥青いビー玉があったから、これにしよう」
「腕は?」
「この木の棒でいいんじゃない?」
腕の木の棒に、浮竹は古くなって使わなくなった手袋をさせる。
鼻は台所でもらってきた人参の先端、口は黒めの小さな木の枝にした。
「次は雪うさぎ作ろうよ」
「ああ」
二人で、2匹の雪うさぎを雪だるまの隣につくる。
目は赤いビー玉、耳は庭園にある緑の葉っぱを作った。
「白哉君呼んでこよ」
「俺が呼んでくる」
浮竹は、今日は仕事をお休みにしている白哉を呼ぶ。
「白哉、雪だるまと雪うさぎを作ったんだ。写真とりたいから、一緒に来てくれ」
「兄は、子供心を忘れぬのだな。すぐ向かう」
白哉は、風邪をひかないように上着をきてから、京楽と浮竹の元に向かう。
ちなみに、遊びにきていた恋次にカメラをもたせて、一緒にやってきた。
「ほう、見事だな」
雪だるまは、白哉の身長より幾分か低いくらいの大きさだった。
「白哉も、恋次君も、雪うさぎ作るか?」
白哉頷く。白哉が作るなら自分も、と恋次も雪うさぎを作り出す。
「目は、この赤いビー玉‥‥‥というか、これは赤水晶の結晶だな」
「え、なんか高いやつか?」
「いや、赤水晶は安い。ビー玉よりは高いが」
「白哉が安いというと、なんだか高そうな気がする」
「1個、銀貨2枚くらいだよ」
「後で回収するし、それくらいならいいか」
京楽の言葉に、浮竹は1個銀貨2枚くらいならと思う。浮竹は昔なら、銀貨2枚なんてという価値観であったが、大金持ちの4大貴族の朽木にいるせいで、金銭感覚が狂ってきていた。
「葉は、これから」
庭園にしげっている木の葉をちぎって、4枚で2匹分の雪うさぎの耳にした。
「写真とりましょう!記念に!」
恋次が言うと、浮竹は京楽と手を握り合い、雪だるまの隣に座りこむ。
白哉は、雪うさぎの群れの後ろに立った。
「じゃあ、写真撮りますよ。後で、俺と白哉さんだけのツーショットも撮ってくださいね?はい、いきますよー」
パシャリ。
パシャリ、
何枚か恋次は写真をとった。
写真を撮る度に浮竹と京楽は動き、最後は白哉としゃがんで3人並んで撮ってもらった。
「じゃあ、俺と白哉さん撮ってください」
恋次が、白哉の隣に並ぶ。
それだけならよかったのだが、2枚目の写真を撮る時には白哉を抱き寄せ、口づけしようとしたので白哉に殴られていた。
「愛が痛い」
殴られて寝転んでいる恋次と、呆れている白哉をツーショットで撮った。
「今度、この写真を恋次の大神官の写真に用いるようにしてやろう」
「あああ、白哉さんごめんなさいいいいい」
呆れる白哉のご機嫌をとろうとする恋次に、浮竹が丸めた雪玉を投げた。
「浮竹さん、やりましたね?」
白哉にも、雪玉を投げるがひょいと交わされてしまった。
「雪合戦をしよう!俺と京楽と、白哉と恋次君で勝負だ!」
「泣いてもしりませんよ?」
「仕方ない‥‥」
白哉も恋次も混じって、雪玉を投げ合う。
京楽がひたすら雪玉を作って、それを浮竹が投げた、
「わっ」
白哉の投げた雪玉が、浮竹の顔面に当たる。
「降参か、浮竹?」
「まだまだ!」
京楽も参加して、雪玉を投げていく。
ちなみに恋次の投げる雪玉は違う方向に飛んでいく。
「恋次、兄は雪玉だけ作っていろ。投げても変な方角に飛ぶだけだ。全く、使えない‥‥‥」
「じゃあ、白哉さんの盾になります!」
白哉の前に飛び出して、恋次は京楽の投げた雪玉をいっぱいくらって、倒れた。
「勝負あり、かな?」
「やったね、浮竹」
「全く、使えない‥‥‥」
「しくしく( ノД`)」
白哉は風邪をひくからと、浮竹を連れて家の中に戻ってしまう。
「恋次君、白哉君に使えないって言われたわりには嬉し気だね?」
「だって、失敗しても白哉さん昔みたいに俺をずっと無視とかじゃないから。あたっくし始めた当時は、24時間完全無視だったんです」
「そりゃきつい」
「だから、こうして一緒に過ごせてすごく幸せです」
恋次は笑う。
愛の形はいろいろだが、白哉と恋次はぎこちないが、それでも愛し合っているんだなぁと京楽は思うのであった。
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