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小説掲載プログ
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翡翠に溶ける 南国の島

現世に2泊3日の旅行にやってきた。

そこは亜熱帯地方で、薄着できてよかったと浮竹も京楽も思った。

海はとても綺麗で、珊瑚礁が広がっていた。

山じいから、泳ぐこともできると言われていたので、水着を用意していた。

二人とも、夢中になって海の中に潜った。

綺麗な色の魚が、たくさん泳いでいた。サメの姿もあったが、霊圧をぶうけると何処かへ行ってしまった。

その日は、1日中海の中にいた。

こんな綺麗な海に潜ることなど、きっとこれから千年も近い人生を歩む中でもないだろう。

ふと、京楽が何かを見つけて拾い上げる。

天然の真珠だった。

二人して、海からあがった。

「これ拾ったんだ。あげる」

「こんな珍しいもの、いいのか?」

まだ、真珠の養殖による産出はない。真珠はかなり高価な代物だった。海のない尸魂界では、幸せの証として、上流貴族の姫なんかが、髪飾りにつけたりしている。ネックレスになるほど産出がないので、髪飾り簪の他に、指輪が流行っていた。

「元がただだからね」

「それはそうだが、こんな高価なもの・・・・・」

「いいから、もらっておいてよ。ああ、髪飾りにでもしようか。一度よこして」

京楽に渡すと、今日浮竹にあげる予定だった髪飾りの一部に、天然真珠を埋め込んだ。

「これ、今日の記念に」

そういって渡されたのは、翡翠の髪飾りだった。中央に、さっきまであった天然真珠が光っていた。

「こんな高そうなもの・・・・・」

「いらないなんて言わないでね。受け取ってくれないなら、海に放り投げる」

「分かった、受け取るから!」

本当に放り投げそうで、浮竹はその髪飾りを受け取った。

肩より長くなってしまった髪を器用に結い上げて、髪飾りで留められた。

その日は、館で湯浴みをして食事をしてから、外で寝袋を用いて寝た。

満天の星が綺麗だった。

「星が掴めそうだ」

「空ごと落っこちてきそうだね」

何十万年、何百万年、何千万年と輝く星々。

それを見れるだけでも、現世にきた甲斐があったというもの。

次の日は、二人で釣りをした。

京楽はよくヒットして突き上げたが、浮竹は全然だった。

「かかった!」

やっと何かが釣れたと思ったたら、海藻だった。

「海藻か・・・・・・」

浮竹は、水着に着替えて海に潜りだした。

「どうしたの」

「今日の食糧は、俺たちでとらなきゃいけないんだろう。貝をとってくる」

食べられそうな貝を、潜っては浜辺に並べた。

「南国だけあって、貝も綺麗だねぇ。焼いたりした後の貝がらは、お土産に持って帰ろうか」

「それ、いいな。浜辺にも綺麗な貝殻が落ちていたんだ。もう十分、今日の夕食の分はとれたから、お土産の貝殻を拾ってくる」

浮竹は私服のシャツとハーフパンツに着替えて、浜辺を散策しだした。

京楽は釣りの続きだ。鯛が3匹とれた。十分だろうと思いつつも、また釣り竿を垂らす。

ヒットしたのは、南国らしい艶やかな魚だった。

生け簀に放り込んで、京楽は浮竹の後を追った。

浮竹は、浜辺を歩きながら海のが引いては押し寄せる様を楽しんでいた。

「そんなに夢中になって大丈夫?熱出さない?」

隣に、京楽がやってきた。

「こんな生き物がいた」

ヤドカリを見せた。

「うん、食べれそうだね」

「だめだ、かわいいから食べない」

「全く、君って子は・・・かわいいのは、浮竹、君だよ」

拾っていた貝殻が落ちる。

抱き寄せられていた、

「好きだよ、浮竹」

「俺も好きだ、京楽」

唇が重なった。

深い口づけを何度も繰り返す。

ざぁんざぁんと、おしては引いていく波の音だけがした。

散らばった貝殻を拾い集める。

「クラスの女子にはこれでいいとして、男子にはどうしよう?同じ貝殻でいいかな?」

「貝殻でいいんじゃない?珍しいものだから、きっと欲しがるよ」

貝殻は、巻貝がほとんどだった。

浮竹の爪の色や唇の色と同じ、桜色の貝殻が目立った。

その日の夕食は、自分たちがとった魚や貝をいれた鍋だった。館には使用人はいたが、1日分しか食事は用意されておらず、自分たちで調達するしかなかった。

鯛から南国の適当な魚、貝をぶちこんだ鍋に、味噌をいれる。

思っていた以上に、美味しかった。

その日の夜は、ベッドが2つ用意されていたが、1つのベッドで眠った。

「浮竹、起きてる?」

「ああ・・・・・」

「楽しかった?」

「ああ。海にきたのも、潜ったのも初めてだ。あんなに綺麗なものだとは思わなかった」

「そうだね。僕も初めてで、書物で読んだことはあるけど、目の当たりにした初めてだよ。きっと、この日を一生忘れない」

「俺もだ」

唇が重なった。

お互い、付き合っている。

肉体関係も少しだがある。

でも、浮竹は恐くて次の段階に進めないでいる。京楽は、何年でも待つつもりだった。

「京楽は、辛くいないのか?」

「何が」

「その、俺を抱けなくて」

京楽はにまーっとした顔になった。

「凄く凄く辛いよ。抱かせてくれるの?」

「ばか、俺はそんな安い男じゃない!」

「そうですよねー。でも、いつか君を抱きたい」

「男が男を抱くんだぞ?平気なのか?」

「何、女の子を抱くのとあんまり変わらないよ。アナルセックスなら、女の子で経験済みだし」

もろな台詞に、浮竹が赤くなる。

「お前の凶暴なまでにでかいそれが、あんな場所に入りきるとは思わない・・・・」

「試してみる?」

「まだ駄目だ」

「そうですよねー。でも、いつか僕は君を抱くよ」

ドクンと、鼓動が高鳴った。

「すごい、ドキドキしてる・・・・・」

浮竹の胸に、京楽が手を当てる。

「僕もドキドキいってるよ・・・・・・」

浮竹の手を、京楽は自分の心臓のある位置にもってきた。

「すごい。京楽もどきどきいってる」

「うん。僕も緊張してる。君を抱くと思うだけで」

「京楽・・・・」

「浮竹、大好きだよ。かわいい」

「ふあっ・・・」

何度も唇を重ねた。

その日は、浮竹を胸の中に抱くように、丸くなって眠った。

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