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魔王と勇者と11

「新婚旅行にいったトエイ帝国の近くで、邪竜のブラックドラゴンが出るらしいよ。冒険者ギルドの手にも負えなくて、ボクのところに依頼がまわってきた」

「ブラックドラゴンか。普通ドラゴンは人里離れたところに住んでいて、人など襲わないんだけどな?」

「そのブラックドラゴンはもう人を100人以上殺しているらしい。ボクだけでも討伐できると思うけど、念のためついてきてくれないかな、浮竹」

京楽は、浮竹をドラゴン退治に誘った。

浮竹は白竜を見たのがドラゴンを見たのは初めてで、ドラゴン退治の経験などなかった。

そもそもドラゴンの数は希少で、京楽が率先して保護している。白竜ゼイアスのように庇護を求めないドラゴンも多いが。

「分かった。じゃあ、準備するな?」

浮竹は、ポンコツになった聖剣エクスカリバーの代わりに使っている魔王剣ディアブロを腰に帯刀する。

アイテムボックスに、ポーションやらエリクサーを限界までつめこんだ。

「そんなにつめこまなくても」

「でも、相手はドラゴンなんだぞ。世界で一番強い種族じゃないか」

「まぁ、そうなんだけど。ボクもドラゴン退治は初めてだから、うまくいくといいね」

トエイ帝国の近くの巨大な洞窟に、ブラックドラゴンはいた。

「なんだ。我の眠りの邪魔をする虫けらは」

「ブラックドラゴン。人を殺した罪により、処分する」

「くははははは。面白い。たかが人間を殺しただけで処分されるのか」

「京楽、あまり刺激しないほいがいいんじゃ」

「こういうドラゴンはプライドの高いアホがおおいからね」

京楽は、わざと聞こえるように大声を出す。

「誰がアホだと。この人間風情が」

「あ、ボクは魔王だから。こっちは勇者の浮竹」

「魔王と勇者か。面白い、この漆黒のエルザにやられるがいい」

ブラックドラゴンは、炎のブレスを吐いた。

それを、京楽がマジックシールドで防ぐが、熱風が入ってきた。

「邪竜とはいえさすがドラゴン。ブレスだけでこの威力かい」

「京楽、俺もシールドを貼る」

「うん、お願いするよ」

浮竹がシールドを展開させると、シールドには花が咲いていた。意味はない。浮竹の魔法はいつもどこか変なのである。

「くはははは、防戦一方か。魔王と勇者を殺したとあれば、我が名も世界にとどろくであろう」

「勝手に、殺さないでよね。浮竹、剣を」

「ああ」

「ホーリーエンチャント!邪竜には聖属性の攻撃が効きやすいから」

「わかった!」

浮竹はブレスを避けて、ドラゴンに切りかかる。

「ぐおおおお」

強化された魔王剣ディアブロは、ドラゴンの鱗も切ってしまった。

「勇者とはいえ人間にごときに」

「俺はハーフエルフだ。人間じゃない」

「同じようなものだろう。羽虫のような存在だ」

「グラビディ・ゼロ」

そこへ、京楽の魔法が浮竹を避けて降りかかる。

「ぎいあああああ」

ブラックドラゴンは、重力の魔法で大地にめりこんだ。

「これでも死なないか。ヘルインフェルノ!」

「甘い、ダークブレス」

「浮竹!」

「ああ!」

浮竹は聖属性を付与された魔剣で、ドラゴンの心臓部をつきさすが、鱗が硬くて剣の長さも足りなくて、心臓に傷は到達しない。だが、京楽の狙いは心臓部の鱗を切り裂くことだった。

「怒れる大気よ、狂え!サンダーヴォルテックス!!!」

「うぎゃあああああ」

「顕現せよ、風の精霊王ジルフェ!」

浮竹は風の精霊王を呼び出して、京楽の放った雷に雷を重ねる形で、攻撃する。

「トリニティサンダー」

「我が、この我が、魔王や勇者ごときにいいいい」

そう呪詛のような言葉を残して、ブラックドラゴンは倒された。

「死体の状態はとてもいいな。これ、素材に売ったら大金が舞い込むぞ」

「え、売るのか?」

「売る。被害にあった人間の遺族に金を配らないといけないしな」

「お前、ほんとにいい魔王だな」

「惚れなおした?」

「ああ」

風の精霊王ジルフェの前でいちゃつくものだから、ジルフェは咳払いした。

「あ、風の精霊王もう戻っていいぞ」

「俺も、ドラゴンの血を少しわけてもらっていいか。素材が枯渇していたんだ」

「好きなだけもっていっていいぞ」

「ありがとう」

ジルフェは、3Lくらいの血を手に、精霊界に戻っていった。

「さて、冒険者ギルドに報告と素材の買取をしてもらおうかな。予備のアイテムポケットあったよね?」

「ああ」

京楽は、予備のアイテムポケットに巨大なドラゴンの体をいれて、ククル魔王国にある冒険者ギルドに浮竹と転移する。

「あら、魔王様これはこれは。何か御用でしょうか」

ギルドマスターが話しかけてきた。

「頼まれていたブラックドラゴンを退治した。死体の素材を買い取ってもらいたい」

「なんと!あのトエイ帝国の近くに出没するという邪r竜を魔王自ら討伐してくれたのですか!」

「そう、依頼がきていたからね。あと、勇者の浮竹と一緒に倒した」

「おお、こちらが魔王の伴侶であらせられる勇者浮竹様ですか」

「べ、別に伴侶って言われ嬉しいわけじゃないからな!」

浮竹は顔を赤くしていた。

「では、奥で素材を出してください。買い取ります」

ギルドの奥は、モンスター解体工房になっていて、ブラックドラゴンを出しても平気な大きさがあった。

京楽は、ブラックドラゴンの死体を出す。

「ふむ。心臓は雷で使い物になさそうですが、それ以外は状態がいいですね。星金貨2千枚でどうでしょうか。我がギルドで出せる金額のギリギリです」

「じゃあ、それでいいよ」

「心臓がだめなのが残念ですね。神薬エリクシリアの材料になるのですが」

「ああ、心臓を雷で攻撃したからね」

京楽は、残念がるギルドマスターに、ブラックドラゴンの心臓の一部が焦げていないことを告げると、ギルドマスターはとんで喜んだ。

「心臓だけで星金貨200枚になります」

浮竹が、「ドラゴンの心臓って、高いんだな」とポカーンとしていた。

「あの、討伐報酬金は次回ということで」

「報酬金などいらない。金には困ってないしね」

「それはありがたい!素材の星金貨2千枚は、額が額だけに分割払いになりますがよろしいでしょうか?」

「ああ、問題ないよ。あと、ドラゴンの肉を少し分けてほしい」

「京楽?ドラゴンの肉なんてもらってどうするんだ?」

浮竹は首を傾げていた。

「ステーキにして食う」

「え、ドラゴンの肉って食えるのか?」

「珍味中の珍味だよい。一生かかっても魔族でさえ一度食べれればいいほうだ」

浮竹は、ぐーとお腹をならせた。

「こ、これは違う」

「ふふ、魔王城に帰ってシェフに料理してもらおうか」

「す、すまん」

「浮竹が謝る必要はないよ」

その晩だされたドラゴンステーキの肉の味は、一生忘れられなほどの美味であった。




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