魔王と勇者と12
かつて、白竜ゼイアスには友がいた。
契約者であり、主でもあった。
聖女教が認定した勇者であった。もう何百年も昔の話なのに、元勇者は目の前にいた。
「哀れだな、オリヴィエ。死してなお、聖女教の傀儡となるか」
「私は死んでなんていませんよ?」
「オリヴィエ、お前は死者だ。魂は一度冥界にいった。反魂で蘇ったにすぎん」
「反魂だろうとなんだろと、今を生きています。さぁ、ゼイアス、契約に従い私に従いなさい」
オリヴィエは、6代目勇者であった。現代の今の勇者は3人で、30代~33代目にあたる。
オリヴィエは、金の巻き毛に青い瞳をした、7代目聖女の婚姻相手でもあった。
「聖女アナスタシアのため、魔王は殺します」
「今の17代目聖女アナスタシアはお前が愛したアナスタシアではない」
「そうでししょうね。でも、アナスタシアは代々クローンで世襲している。記憶も前の聖女のものをもって生まれてくる。正確には私の愛したアナスタシアではないかもしれないけれど、同時に私が愛したアナスタシアでもある」
白竜ゼイアスは、契約のためにオリヴィエに逆らえない。
「く、契約とはこういう時う不便なものだ」
「ゼイアス、私とアナスタシアの子はどうなったか知りませんか」
「ロセアなら、ロセア王国の初代国王になった」
「ほう。私の子は、国を作ったのですね。さすが聖女アナスタシアと勇者であった私の子だ」
「ロセアも、もうこの世にはいないぞ。いるのは、お前が愛した記憶をもつ17代目の聖女アナスタシアと、元魔王である藍染の間に生まれた聖者ミネルだ」
白竜ゼイアスは、契約にしばられてオリヴィエを殺すことができない。
「こうなったら、我が古き友にして現魔王である京楽に全てを委ねるか‥‥‥」
ゼイアスの意識は次第ににごっていく。
魔王京楽の友、白竜ゼイアスではなく、6代目勇者の親友の聖竜ゼイアス・クラインになっていた。
「魔王京楽、覚悟!」
「あーあ。今日はついてないね。浮竹の前で紅茶股間に零して火傷するし、聖女教の刺客は次々とくるし」
もはや、聖女教は浮竹を勇者として認めず、魔王京楽の伴侶である敵として見ていた。
「京楽、愚痴ってないで手を動かせ。このアンデットたち、元勇者の兵士だろう。どこかに操っている元勇者がいるはずだ」
「浮竹には、怒られるし‥‥」
「真面目にしないと、離婚するぞ京楽!」
「元勇者目、どこにいる!」
とたんに反応を切りかえる京楽に、浮竹は苦笑するしかなかった。
「巨大な影‥‥‥‥ドラゴンか!ドラゴンの背に、元勇者がいるようだ」
「ばかな。あれは白竜ゼイアスだ。なぜ、彼が元勇者に従ってる。‥‥‥‥古の契約か。せめて、ゼイアスは正気になって生き延びてもらおう」
京楽は、空中にいくつもの複雑な魔法陣を描くと、1つの魔法を構築する。
「ハイ・エリクシア!」
神の薬エリクシアと同じ効果のある究極の癒しの術であった。傷を癒すだけでなく、どんな状態異常も元に戻す。
白竜ゼイアスは我に返り、契約者であった6代目勇者オリヴィエを背中から放り出す、
「ゼイアス、裏切る気ですか!」
「このゼイアスが契約し、友としたオリヴィエは死んでいる。反魂で蘇ったお前は、まがいものだ」
「私は正真正銘の勇者オリヴィエですよ!?」
「今の勇者は、3人いる。下に魔王京楽と一緒にいる浮竹十四郎、そしてここにはいない黒崎一護、朽木白哉だ」
「同じ時代に勇者が3人も?ばかな時代になったものだ。まぁいい、いけ、私の兵士たちよ!」
オリヴィエは、同じく反魂で大量に蘇った自分の兵士たちを京楽と浮竹にさしむける。
「ええい、らちがあかん。炎の精霊王よ、顕現せよ!」
浮竹は、炎お精霊王イフリールを呼び出して、アンデットたちを焼き尽くす。
「おのれ、精霊王と契約して‥‥幻のエレメンタルマスターですか。厄介な」
「もう、君を守る兵隊はいないよ?さぁ、覚悟するんだね、6代目勇者オリヴィエ・カイントス」
「おのれえええ。聖女アナスタシアのためにも、魔王は私が滅ぼします」
「無理だよ。ハイ・エリクシアの光を君も受けたはずだ。反魂も一種の状態異常。もうすぐ、君は消えてなくなる」
「ならば、道連れにするまでですよ!」
オリヴィエは、禁忌の魔法を発動させる。
「ワールドエンド」
「京楽!」
「大丈夫。ボクもだてに魔王やってないよ。ブラックホール」
京楽は、オリヴィエの放った終末の魔法をブラックホールの魔法で食らっていく。
「おのれえええ、魔王京楽!!!」
「ジ・エンドだよ?」
オリヴィエの背後から現れた浮竹が、魔王剣ディアブロで反魂の核である胸にある魔石を切り砕く。
「ああああああああ!愛しています、アナスタシア!聖女万歳!」
オリヴィエは、灰となって消えた。
「すまぬ、勇者浮竹、魔王京楽。古の契約により、反魂で蘇ったオリヴィエに服従を強いられていた。それすらも消すとは、ハイ・エリクシアの魔法はすごいな。聖女アナスタシアでも使えないのではないか?」
「そりゃそうでしょ、。ボクのオリジナル魔法だもん」
「京楽、お前ってっすごかったんだ」
「ちょ、浮竹!?今頃何言ってるの!」
「ただのスケベな優しいだけのアホ魔王だと思ってた」
「スケベは余計ですぅ」
京楽はすねる。
「はははは、京楽、お前の伴侶は面白いな。聖女見習いだった、カリーナを思いだす。カリーナとお前は恋人同士だったが、アナスタシアに殺されたのであったな」
「あ、カリーナのことは」
「話していないのか?」
「う、うん」
「京楽?俺は、お前に昔恋人がいても気にしないぞ?」
「浮竹、そう笑顔でいいながら足ぐりぐりするのやめてよお。今は浮竹一筋なんだから」
「ふん、どうだか」
騒ぎが終わり、魔王城に避難していた人が出てくる。
「あ、ドラゴンだ!」
「おっと、我は人は苦手なのだ。カララッカに戻る」
白竜ゼイアスは、巨大な体を翻して、羽ばたいて消えていく。
「もう大丈夫だ」
「本当、魔王様?」
「魔王様、お怪我は!?」
わらわらとよってくる民と適当に距離を置いて、京楽はふてくされている浮竹の手を引っ張って魔王城に入っていく。
「京楽?」
「ボクが、今愛しているのは浮竹だけだから。カリーナは300年ほど前のボクの恋人だった聖女見習いの少女だった。ボクは魔王候補に選ばれていて、聖女アナスタシアに殺されてしまったけれど」
「す、すまん。そんな事情があったなんて‥‥」
「ううん、いいんだよ。ただ、聖女アナスタシアと元魔王藍染だけは許せない。今回のことも、二人が原因だろう」
「こんなに反魂できるなんて、聖女か魔王か、あるいは両方だものな」
「あら。オリヴィエはまた死んでしまったの。せっかく、新しい命をあげたのに」
「アナスタシア。我らの子のカインが泣いているぞ」
「あら。ミルクはあげたし、おしめかしら。それとも、高濃度魔力が切れたのかしら」
聖女アナスタシアは、自らの子に高濃度魔力を与えて、その力を増大させていた。
「カインは、近いうちに私たちの手ごまとして使う。いいね、アナスタシア」
「ええ、愛しいあなた。子なんて、また産めばいいだけなんだから」
クスクスと聖女は笑う。
十代前半で肉体の年齢を止めた聖女は、あどけない顔で笑い続けるのであった。
契約者であり、主でもあった。
聖女教が認定した勇者であった。もう何百年も昔の話なのに、元勇者は目の前にいた。
「哀れだな、オリヴィエ。死してなお、聖女教の傀儡となるか」
「私は死んでなんていませんよ?」
「オリヴィエ、お前は死者だ。魂は一度冥界にいった。反魂で蘇ったにすぎん」
「反魂だろうとなんだろと、今を生きています。さぁ、ゼイアス、契約に従い私に従いなさい」
オリヴィエは、6代目勇者であった。現代の今の勇者は3人で、30代~33代目にあたる。
オリヴィエは、金の巻き毛に青い瞳をした、7代目聖女の婚姻相手でもあった。
「聖女アナスタシアのため、魔王は殺します」
「今の17代目聖女アナスタシアはお前が愛したアナスタシアではない」
「そうでししょうね。でも、アナスタシアは代々クローンで世襲している。記憶も前の聖女のものをもって生まれてくる。正確には私の愛したアナスタシアではないかもしれないけれど、同時に私が愛したアナスタシアでもある」
白竜ゼイアスは、契約のためにオリヴィエに逆らえない。
「く、契約とはこういう時う不便なものだ」
「ゼイアス、私とアナスタシアの子はどうなったか知りませんか」
「ロセアなら、ロセア王国の初代国王になった」
「ほう。私の子は、国を作ったのですね。さすが聖女アナスタシアと勇者であった私の子だ」
「ロセアも、もうこの世にはいないぞ。いるのは、お前が愛した記憶をもつ17代目の聖女アナスタシアと、元魔王である藍染の間に生まれた聖者ミネルだ」
白竜ゼイアスは、契約にしばられてオリヴィエを殺すことができない。
「こうなったら、我が古き友にして現魔王である京楽に全てを委ねるか‥‥‥」
ゼイアスの意識は次第ににごっていく。
魔王京楽の友、白竜ゼイアスではなく、6代目勇者の親友の聖竜ゼイアス・クラインになっていた。
「魔王京楽、覚悟!」
「あーあ。今日はついてないね。浮竹の前で紅茶股間に零して火傷するし、聖女教の刺客は次々とくるし」
もはや、聖女教は浮竹を勇者として認めず、魔王京楽の伴侶である敵として見ていた。
「京楽、愚痴ってないで手を動かせ。このアンデットたち、元勇者の兵士だろう。どこかに操っている元勇者がいるはずだ」
「浮竹には、怒られるし‥‥」
「真面目にしないと、離婚するぞ京楽!」
「元勇者目、どこにいる!」
とたんに反応を切りかえる京楽に、浮竹は苦笑するしかなかった。
「巨大な影‥‥‥‥ドラゴンか!ドラゴンの背に、元勇者がいるようだ」
「ばかな。あれは白竜ゼイアスだ。なぜ、彼が元勇者に従ってる。‥‥‥‥古の契約か。せめて、ゼイアスは正気になって生き延びてもらおう」
京楽は、空中にいくつもの複雑な魔法陣を描くと、1つの魔法を構築する。
「ハイ・エリクシア!」
神の薬エリクシアと同じ効果のある究極の癒しの術であった。傷を癒すだけでなく、どんな状態異常も元に戻す。
白竜ゼイアスは我に返り、契約者であった6代目勇者オリヴィエを背中から放り出す、
「ゼイアス、裏切る気ですか!」
「このゼイアスが契約し、友としたオリヴィエは死んでいる。反魂で蘇ったお前は、まがいものだ」
「私は正真正銘の勇者オリヴィエですよ!?」
「今の勇者は、3人いる。下に魔王京楽と一緒にいる浮竹十四郎、そしてここにはいない黒崎一護、朽木白哉だ」
「同じ時代に勇者が3人も?ばかな時代になったものだ。まぁいい、いけ、私の兵士たちよ!」
オリヴィエは、同じく反魂で大量に蘇った自分の兵士たちを京楽と浮竹にさしむける。
「ええい、らちがあかん。炎の精霊王よ、顕現せよ!」
浮竹は、炎お精霊王イフリールを呼び出して、アンデットたちを焼き尽くす。
「おのれ、精霊王と契約して‥‥幻のエレメンタルマスターですか。厄介な」
「もう、君を守る兵隊はいないよ?さぁ、覚悟するんだね、6代目勇者オリヴィエ・カイントス」
「おのれえええ。聖女アナスタシアのためにも、魔王は私が滅ぼします」
「無理だよ。ハイ・エリクシアの光を君も受けたはずだ。反魂も一種の状態異常。もうすぐ、君は消えてなくなる」
「ならば、道連れにするまでですよ!」
オリヴィエは、禁忌の魔法を発動させる。
「ワールドエンド」
「京楽!」
「大丈夫。ボクもだてに魔王やってないよ。ブラックホール」
京楽は、オリヴィエの放った終末の魔法をブラックホールの魔法で食らっていく。
「おのれえええ、魔王京楽!!!」
「ジ・エンドだよ?」
オリヴィエの背後から現れた浮竹が、魔王剣ディアブロで反魂の核である胸にある魔石を切り砕く。
「ああああああああ!愛しています、アナスタシア!聖女万歳!」
オリヴィエは、灰となって消えた。
「すまぬ、勇者浮竹、魔王京楽。古の契約により、反魂で蘇ったオリヴィエに服従を強いられていた。それすらも消すとは、ハイ・エリクシアの魔法はすごいな。聖女アナスタシアでも使えないのではないか?」
「そりゃそうでしょ、。ボクのオリジナル魔法だもん」
「京楽、お前ってっすごかったんだ」
「ちょ、浮竹!?今頃何言ってるの!」
「ただのスケベな優しいだけのアホ魔王だと思ってた」
「スケベは余計ですぅ」
京楽はすねる。
「はははは、京楽、お前の伴侶は面白いな。聖女見習いだった、カリーナを思いだす。カリーナとお前は恋人同士だったが、アナスタシアに殺されたのであったな」
「あ、カリーナのことは」
「話していないのか?」
「う、うん」
「京楽?俺は、お前に昔恋人がいても気にしないぞ?」
「浮竹、そう笑顔でいいながら足ぐりぐりするのやめてよお。今は浮竹一筋なんだから」
「ふん、どうだか」
騒ぎが終わり、魔王城に避難していた人が出てくる。
「あ、ドラゴンだ!」
「おっと、我は人は苦手なのだ。カララッカに戻る」
白竜ゼイアスは、巨大な体を翻して、羽ばたいて消えていく。
「もう大丈夫だ」
「本当、魔王様?」
「魔王様、お怪我は!?」
わらわらとよってくる民と適当に距離を置いて、京楽はふてくされている浮竹の手を引っ張って魔王城に入っていく。
「京楽?」
「ボクが、今愛しているのは浮竹だけだから。カリーナは300年ほど前のボクの恋人だった聖女見習いの少女だった。ボクは魔王候補に選ばれていて、聖女アナスタシアに殺されてしまったけれど」
「す、すまん。そんな事情があったなんて‥‥」
「ううん、いいんだよ。ただ、聖女アナスタシアと元魔王藍染だけは許せない。今回のことも、二人が原因だろう」
「こんなに反魂できるなんて、聖女か魔王か、あるいは両方だものな」
「あら。オリヴィエはまた死んでしまったの。せっかく、新しい命をあげたのに」
「アナスタシア。我らの子のカインが泣いているぞ」
「あら。ミルクはあげたし、おしめかしら。それとも、高濃度魔力が切れたのかしら」
聖女アナスタシアは、自らの子に高濃度魔力を与えて、その力を増大させていた。
「カインは、近いうちに私たちの手ごまとして使う。いいね、アナスタシア」
「ええ、愛しいあなた。子なんて、また産めばいいだけなんだから」
クスクスと聖女は笑う。
十代前半で肉体の年齢を止めた聖女は、あどけない顔で笑い続けるのであった。
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