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魔王と勇者と14

聖女教では、16代目聖女派と17代目聖女派の派閥に別れて、内部分裂がおきていた。

16代目聖女は死んだとされていたが、ずっと昏睡状態だった。

17代目聖女がクローンとしてつくられ、16目聖女は死亡したと発表された。

今の17代目聖女が元魔王の藍染と婚姻し、子をもうけているのが16代目聖女を押す結果となっていた。

17代目聖女が、元魔王藍染と婚姻し子をもうけたことは、聖女教でも問題になっていた。

「わたしが聖女よ!」

「元魔王と婚姻して子をもうけるなど、聖女の風上にもおけない。16代目である私が聖女にふさわしい」

聖女同士で争いあう。

「ねぇ、藍染、あなたも何か言ってやって」

「16代目のアナスタシア。私を夫とする気はあるか?」

「な、何を言っているの、藍染!」

「私が聖女として返り咲く手伝いをすれば、夫としてもよいでしょう」

「その言葉、忘れるなよ」

藍染は、洗脳しきれない17代目聖女アナスタシアを疎ましく思い始めていた。子はなしたし、もう用済みだ。

藍染は、信者の一人を洗脳して、17代目アナスタシアをナイフで刺させた。

「きゃああああああああ!!」

17代目聖女を助けようとする者はいない。

皆、藍染に洗脳されていた。

「16代目聖女アナスタシアよ。これで、お前が聖女だ」

「あはははは!17代目、いい気味ね。私こそが、聖女にもっともふさわしい」

16代目聖女アナスタシアも、すでに藍染の洗脳下だった。

「まずは、勇者認定をなくします。魔神崇拝主義を取り入れます」

「それでいい」

藍染は、笑う。

乳母に任せてある、17代目聖女との子カインが、おぎゃあおぎゃあと泣いていた。



「聖女教では、17代目聖女が死んで、16代目が聖女に返り咲いたそうだよ」

「背後に藍染がいるんじゃないか?」

「その通り。密偵が確かめたんだけど、信者のほとんどが洗脳されてるって。密偵には洗脳防止の処置を施しているからね」

「その密偵の命も危ういだろう。早めに帰還するようにしろ」

「うん。すでに、聖都アルカンシェルをたったよ」

聖女が住まう都は、聖都アルカンシェルといった。

身分の高い者たちが住まう都で、どこの都よりも繁栄していた。



『やあ』

「お、元魔王のボクじゃない」

『俺もいるぞ』

「フェンリルの浮竹も一緒かい」

フェンリルの浮竹を見た浮竹は、じーっと耳と尻尾を凝視していた。

『さ、触りたいのか?いいぞ』

「いいのか?じゃあ、さわる」

『こ、こそばゆい』

わしゃわしゃと、フェンリルの浮竹の耳と尻尾を触るが、フェンリルの浮竹はこそばゆそうにしていた。

「尻尾、ふさふさだな」

「あ、ボクも触っていい?」

『君はだめ。ボクの浮竹だからね。勇者の浮竹は特別』

「ケチ」

京楽は、悪態をつく。

『今日は忙しくないのか?』

「ん。昨日までは忙しかったよ。今日は大臣に全て任せてるからね」

『そうか。じゃあ、遊びにきたけどかまってもらえるな?』

フェンリルの浮竹は、尻尾をぶんぶん振っていた。

「なんなら、泊まっていくかい?」

『いいの?』

『いいのか?』

「今度遊べるの、いつか分からないからね。今日と明日とその次の日は、休みにしてるんだよ」

『じゃあ、2日泊まってく!』

『浮竹、2日もなんて』

『やだ、勇者の俺と一緒にいたい』

「俺はかまわんぞ?」

浮竹がそう言うと、フェンリルの浮竹は顔を輝かせた。

『わーい、2日お泊りだ』

「京楽の転移魔法で、ここの近場の観光スポット巡りでもしようか。金貨はもってきてないだろう?ほしいものがあれば、京楽に言うといい。無駄に金持ちだから」

『遠慮しなくていいんだな?』

フェンリルの浮竹は、尻尾をぶんぶん振っていた。

「星金貨200枚までなら、何を買ってもいいよ」

『ほ、星金貨!?1枚金貨の千枚相当じゃないか!魔王って、もうかるんだな』

フェンリルの浮竹はぽかーんとする。

元魔王の京楽も、その値段にぽかーんとしていた。

「元魔王の藍染の残したお金がほとんどだけど、魔王領にくわわった国々から税をとりたてているし、けっこうあるよ、お金」

『よし、じゃあ俺の武器をグレードアップしてもらおうかな』

フェンリルの浮竹は、二つの剣を見せる。

「お、いいのもってるね」

『ふふふ。俺の自慢なんだ』

「これなら、マジックキャンセラーの他にも、いろいろエンチャントができそうだな。いい鍛冶屋があるんだ。案内しよう」

浮竹と京楽は、元魔王の京楽とフェンリルの浮竹を伴って、近場のエルル王国に転移して、鍛冶屋工房を歩いていく。

「ここだ。ドワーフが鍛冶屋をしていて、エンチャントも取り扱ってくれている。値段はけっこうするが、京楽のおごりだ」

『わぁ、ドワーフ、初めて見る』

「腕は確かだぞ。何をエンチャントしてもらいたい?」

『ええと‥‥‥‥』

フェンリルの浮竹は尻尾を振って、ドワーフの鍛冶師につけてもらういたいエンチャントをいっぱいいう。

「綺麗な兄ちゃん、さすがにそんな数のエンチャントは武器が壊れてしまいますぜ」

『むう。じゃあ‥‥‥』

フェンリルの浮竹は、武器強化と炎属性付与のエンチャントを選んだ。

「炎は、この剣の刃に念じると炎属性がつくので。武器強化は、今までよりさらに切れ味がよくなって扱いやすいようにしておいた」

『あ、ありがとう』

短時間でエンチャントしたドワーフの腕は確かなようだった。

「勘定を」

京楽が、財布を取り出す。

「金貨2千枚になりやす」

『ひいい、金貨2千枚!』

フェンリルの浮竹は、その値段に顔を蒼くするが、浮竹が笑って囁いた。

「星金貨200枚までなら、自由だ」

『そ、そうか』

『あんまり、無駄遣いはしないようにね?』

元魔王の京楽は、ため息をつくのであった。
















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