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魔王と勇者と20

その日は、なぜか胸がざわついてなかなか眠れなかった。

その次の日、聖女教から、魔王領でされている聖女教の布教の禁止の廃止と、聖女教の存在を認めるようにと大神官が派遣されてきた。

「魔王京楽様、どうか聖女教を」

「禁止なものは禁止だよ。前からどうかと思っていたけど、魔神崇拝を掲げてからの聖女教はおかしくなった。モンスターの活発化にも影響しているらしいし。何より今のTOPの16代目の聖女が先代の魔王の藍染を夫としているし、前の17代目聖女アナスタシアとの間にできた聖女と魔族の子、聖者カインを聖剣セイクリッドアポカリプスで贄にすれば魔神になれるとか。とにかく、物騒なので禁止」

「この魔王め!」

大神官は、錫杖を抜き放ち、鋭い刃物を取り出す。

「死ね!」

「お前が死ね」

背後で様子をうかがっていた浮竹が、聖剣セイクリッドアポカリプスでもある魔王剣ディアブロで大神官の首をはねた。

「あーあ、殺しちゃった」

「まずかったか?」

「いや?どのみち帰ってこないという時点で、あちらもやられたって気づくでしょ」

「大神官でこの程度か。今の聖女教は弱体化してるな」

「それもそうでしょ。ちゃんとした聖職者は藍染の洗脳から逃れて聖女教を抜けてる。神エトナを崇拝する、新しい宗教に信者も流れてるらしいよ」

「エトナ‥‥‥懐かしい響きだ」

「え、知ってるの?」

「いや、初耳だ。ただ、昔どこかで聞いたことがある気がして」

その時、大神官の死体が動いた。

「危ない!」

浮竹は、京楽を庇って刺される。

「くくく、その傷は聖女アナスタシア様しか治せない」

「あ、そう」

大神官の遺体を焼いて、京楽は回復魔法をかけるが傷はいっこうに塞がらない。

「仕方ないね」

京楽は、聖女教の本部に浮竹を抱えて転移する。

「16代目聖女アナスタシアはいるかい」

「何者だ!不敬であるぞ!」

その神官の首を跳ね飛ばして、京楽は聖女のいる聖女の間にやってきた。

「あら、意外と早くきたのね」

「浮竹を治せ」

「そのかわり、聖剣セイクリッドアポカリプスをもらいます」

「いいだろう」

違う聖剣を与えると、先代の魔王の藍染が出てきた。

「それは、聖剣セイクリッドアポカリプスじゃない。本物を渡せ」

「浮竹を治すのが先だ」

「いや、聖剣セイクリッドアポカリプスを渡すのが先だ。勇者浮竹は、私たちの手で保護する」

藍染は、京楽に無理やり転移魔法を使い、魔王城に戻してしまった。

「浮竹!!」

京楽は、再度聖女教の本部に転移しようとして、結界がはられていてできない。仕方なしに本部のある町に転移して、走る。

「勇者浮竹。聖女のものになれ」

傷を癒された浮竹は、藍染から強烈な洗脳を受けるが、洗脳の効かないタイプなので、洗脳されたふりをする。

「アナスタシア様と藍染の御心のままに」

「ふはははは!あの勇者浮竹も私の傀儡だ!」

浮竹は、隙を見て聖剣セイクリッドアポカリプスを手にして、藍染の胸を貫く。

「な‥‥‥私の、洗脳が効かないだと?だが、お前には隠された力があるはずだ。聖女教のために働いてもらうぞ」

「言っとくが、洗脳は効かないぞ」

「いうことを聞かなければ、魔王京楽を殺す」

いつの間にか、京楽が走ってではあるが、戻ってきていた。

京楽は、衛兵にとらわれていたが、いつでも脱走可能のようであった。

「エトナの神を殺すために、その血肉を捧げよ、勇者浮竹」

浮竹は、びくんと反応する。

「エトナ‥‥‥‥神‥‥‥‥」

藍染は、聖剣セイクリッドアポカリプスで作られた傷を治癒するのに手いっぱいで、浮竹の変化に気づかない。

「どうしたの、浮竹!」

「思い、出した。俺はエトナの落とし子。エトナの涙から生まれた天使」

ばさりと、浮竹の背中から12枚の翼が現れる。

「な、エトナの子だと!?」

「藍染、話が違うわ!」

藍染と16代目聖女アナスタシアは叫ぶ。、

「エトナを害しようとする者よ。神の裁きを受けるがいい。ホーリージャッジメント!」

「ぎゃああああああ」

「きゃあああああ」:

最後まで見届けず、浮竹は京楽を連れて魔王城まで転移する。

「浮竹?」

「なんだ?」

「その翼、本物?それにエトナの落とし子って本当?」

「本物だぞ。触ってみるか?あと、俺はエトナ神の涙から生まれた天使だ」

「温かい‥‥」

京楽は、浮竹の翼を触った。空も飛べるようで、京楽を連れてふわりと宙を浮く。

「君が何者でも、ボクは君を愛してるよ、浮竹」

「俺も、たとえ天使でもお前を愛している、京楽」

二人は触れ合う口づけを交わし合う。

「藍染と16代目聖女アナスタシアは生きているだろうな。手加減はしなかったが」

「今度浮竹を襲ったりしたら、ボクが殺す」

京楽は、翼ごと浮竹を抱きしめる。

「俺は、強いぞ?エトナの子として覚醒したからな」

「ボクとどっちが強い?」

「さぁ、どうだろう。魔王としてのお前の強さは本物だからな」

クスリと浮竹は笑う。




「おのれえ、勇者浮竹め。エトナの子だと!?エトナ神は絶対神。その子の力は推し量れない‥‥」

「藍染、エトナ神はやばいわ。エトナ神に手を出そうというの?」

「今のところはやめだ。聖剣セイクリッドアポカリプスをもう一度手に入れて、我が子聖者カインを贄に、魔神になる」

「早く魔神になって、私に力をちょうだい」

「分かっている」



エトナ神。

このイスラの世界を支える絶対神にして創造神である。

エトナの神は、神界で愛しい落とし子が覚醒したのに微笑む。

「イスラの世界よ。繁栄あれ」

エトナの神の祝福を受けて、浮竹の体は光り輝くのであった。





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