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魔王と勇者と19

「キリア王国が新しく魔王領に加わったんだけど、モンスターの被害に悩んでて、ボクと一緒にモンスター討伐に行ってくれる?」

「ああ、もちろんだ」

『仕方ないねぇ』

『乗りかかった船だ』

京楽は、ここ数週間前に新たに魔王領に加わったキリア王国から、モンスターの被害が酷いので助けてくれとせがまれ、魔王自らが動くことにした。

ただ、王国中となると範囲が広いので、浮竹と元魔王の京楽、フェンリルの浮竹にも手伝ってもらうことにした。

軍も動かして大規模な討伐隊が組まれているが、強いモンスターの多い高原地帯には魔王自らが赴くことになった。

「君たちには、キリア高原に出るモンスターをお願いしたいんだよ。ボクたちもキリア高原のモンスター討伐に行くから」

『なにか、厄介なモンスターでもいるのか?』

フェンリルの浮竹の問いに、京楽は渋い顔をする。

「ダークドラゴンと、アンデットドラゴンが出る」

『ドラゴンかい。こりゃまた厄介だね』

元魔王の京楽も、ドラゴンの強さは知っていた。

「アンデットドラゴンには知能はほとんどないけど、ダークドラゴンは知能が高い。人語を理解するが、どんなに説得しても人間を襲うのを止めてくれないらしく、討伐することになった」

京楽は、できればダークドラゴンは討伐したくないようであった。

「ダークドラゴンは絶滅危惧種だから」

「うん。でも、人に危害を加えるなら仕方ないね」

こうして、4人はキリア王国のキリア高原に向かった。

雑魚のモンスターでもそこそこ強く、直接討伐に向かってよかったと京楽は思う。

『でたよ。まずはアンデットドラゴンだね』

「ヘルフレイム!」

『ファイアストーム』

「顕現せよ、炎の精霊王イフリール。ヘルインフェルノ!」

『おまけのファイアボールだよ』

アンデットドラゴンの弱点は聖と炎だ。

元魔王の京楽は、魔法を使うと初級魔法でも上位魔法の威力になるので、ファイアボールの初級の炎の魔法を使った。

「きしゃああああああああ」

アンデットドラゴンは、4人の炎の魔法に包まれて、悲鳴をあげて死んだ。

灰と骨なったアンデットドラゴンがもう蘇らないように、骨は素材になるので回収し、灰は聖水で清めた。




「しょせんはアンデットか。我の力を食らうがいい。ダークブレス」

「ダークドラゴンだ!気をつけて!」

京楽は、バリアをはるが、ダークドラゴンのブレスの威力はすごくて、罅が入ってくる。

『ボクに任せて』

「ああ、うん」

『知能の高いドラゴンの割には、ブレスだけでどうにかなるとでも思ってるの?』

元魔王の京楽は、ダークドラゴンをあおる。

「なんだと、虫けらの分際で」

『さぁ、どっちが本物の虫けらなんだろうね?フレア」

「熱いいい!!!ぎゃあああああああ!!」

初級魔法すら上位魔法になってしまう元魔王の京楽の中級魔法を受けて、ダークドラゴンは自慢の黒い鱗を燃やされて、もだえ苦しんでいた。

「この!」

ふりおろされるダークドラゴンの爪の攻撃を、フェンリルの浮竹がもっている自分の2つの剣で受け流す。

『京楽を傷付けようとする者は、ドラゴンであっても許さない』

「顕現せよ世界の終わりの終末の精霊王ジ・エンド。ワールドエンド」

浮竹が、自分と契約している精霊王の中でも、滅びを司る精霊王を呼び出し、禁忌を唱えさせる。

「ちょっと浮竹、やりすぎなんじゃ!」

「これくらいしないと、このダークドラゴンは死なない」

「おのれえええ、羽虫の分際で‥‥‥きしゃあああああ」

断末魔の叫びを残して、ダークドラゴンは世界の滅びの魔法で跡形もなく消えてしまった。

『やるな、勇者の俺!』

フェンリルの浮竹は、しっぽをぶんぶん振っていた。

その愛らしい姿に、浮竹も京楽もほんわりとなる。

『じゃあ、あとは雑魚だけだね。別れて一掃しようか』

「分かった。じゃあ、俺は北の方角を」

「じゃあ、ボクは南を」

『それじゃあ、ボクは東を担当するから浮竹は西をお願い』

『わかった!』

フェンリルの浮竹は、しっぽを揺らしっぱなしだった。

「フェンリルの俺、モンスター退治だが楽しいのか?」

浮竹が不思議に思って口にする。

『ん、ああ。見たこともないモンスターをやっつけれて、楽しいぞ!』

「冒険者ギルドに登録すればいいのに」

『ん。俺はメイドの上にアサシンをしていたからな。普通の冒険者ギルドには登録できないんだ。すでに、違うギルドに登録されてあるし』

「そうなのか」

4人は雑魚モンスターを一掃して、あとの違う地域のモンスターは魔王軍が退治することになった。

軍もたまには動かさないと、兵士がただ飯を食っていることになるので、定期的にモンスター討伐などに動かしていた。

『いっぱい倒したぞ。素材になりそうなモンスターは、言われた通りアイテムポケットに入れておいた』

『浮竹、偉い偉い』

『えへへ~~~』

元魔王の京楽に頭を撫でられるフェンリルの浮竹。

浮竹も、真似てフェンリルの浮竹の頭を撫でた。

尻尾をぶんぶんと降っていて、どうやら嬉しいらしい。

「キリア高原だけでなく、各地で人を襲うドラゴンが出ている。聖女教はおかしくなってモンスターの行動の活発化を放置してるし、これはもう聖女教は排除したほうがいいかもね」

京楽は、そう結論づけた。

「今の16代目聖女アナスタシアの夫は藍染だろう?」

「うん。放置しておくわけにもいかなくなってきたね」

だが、藍染は強い。

京楽は、たまたま藍染を退けて魔王になれたのであって、お互いが本気を出し合えばどうなるか分からない。

国の一つや二つは滅びるかもしれない。

「ボクも、魔王として動かないとね」

今の聖女教は静かだが、裏でモンスターの活発化と繋がりがありそうだ。

ぐうううう。

フェンリルの浮竹のお腹が鳴って、みんな目を合わせて笑った。

「撤収して、ごはんにしよう」

『賛成』

『お、俺は腹なんて‥‥』

ぐ~~とまたフェンリルの浮竹のお腹が鳴って、フェンリルの浮竹は赤くなる。

「魔王城に帰ろう。すぐに食事の準備してくれるから。君たちへの少しでもの恩義になれば」

『浮竹、言葉に甘えよう。お腹減ってる君に作らせるのもなんだしね』

フェンリルの浮竹は、尻尾を揺らして、浮竹の手を握る。

「フェンリルの俺?」

『あの精霊王ジ・エンドの召喚には生命力も使うと聞いた。失った生命力が戻る秘術をかけた。手をつないでいる間、周囲のマナから返還できる』

「ありがとう」

浮竹派、愛しい者を見る目でフェンリルの浮竹を見る。

そうしていると、種族は違うが双子に見えるのであった。


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