魔王と勇者と26
その日は満月が綺麗な夜だった。
魔神の京楽とフェンリルの浮竹の住まう古城へ、浮竹と京楽は魔王の仕事を終わらせて、泊まりにきていた。
本当は日帰りの予定だったのだが、浮竹が満月の日のせいで犬くらいの大きさのフェンリル姿になったフェンリルの浮竹をもふりまくっていると、離れがたくかんじたせいだ。
『こしょばいぞ』
「かわいい。もふもふだ」
『フェンリル姿の俺も悪くないだろう?』
「ああ、かわいすぎてお持ち帰りしたくなる」
『ちょ、浮竹は渡さないよ!?』
魔神の京楽が、浮竹につっこみをいれる。
「心配しなくても、連れて帰ったりはしない。連れて帰っても、転移魔法ですぐ戻れるだろうしな」
『だからって、お持ち帰りはなしだよ』
「魔神のボク、心配しすぎ。浮竹は連れて帰ったりしないよ」
フェンリル姿から元に戻れないのは、満月の日である。
日付が変わったら、人間の姿になるので、京楽たちもそれほど心配していなかった。
『あれ、日付変わったのに元に戻れない』
「あ、すまん。俺がエトナの力でもっともふりたいと願ったせいだ。あと2~3時間は元に戻れないと思う」
『勇者の俺、俺のフェンリル化をコントロールしてしまうとは、やるな!』
フェンリルの浮竹は、犬のサイズでばっさばっさと尻尾を振る。
「はぁ‥‥‥癒される。魔王城で犬か猫でも飼おうかな」
「世話が大変だし、こうやって遠出したり泊っている日は部下の者たちに世話をおしつけることになるから、だめだよ」
「うう、分かっているんだ。だけど、こうもかわいいと飼いたくなる‥‥‥」
『俺はいつでもフェンリルの姿になれるから、もふりたくなったら言ってくれるといいぞ』
浮竹は、ふと気づいてアイテムポケットから、鮮やかな色彩の鳥の羽を取り出す。
『わぁ、綺麗だな』
「フェンリルの俺にやる。俺の背中の翼から抜け落ちた羽を加工したものだ。お守りになる」
『エトナの子の体の一部なら、効果はありそうだね』
魔神の京楽にも、浮竹は鮮やかな羽をあげた。
『光に反射する。綺麗な羽だな。勇者の俺の翼から自然に抜け落ちたのか?』
「いや、自分でむしった。エトナの子である限り、羽の一枚でも魔力がこもるからな。悪用されないために、自然と抜け落ちないようにしている」
『神の子も大変なんだな。俺は京楽のメイドさんだから、京楽を守ってメイドとして家事をするのが仕事だ。エトナの子は、神の力を他者にあげないといけないんだろう?』
「まぁ、確かにここ最近はエトナの慈悲として、病や怪我人を無料で癒している」
『すごいな!えらいぞ!』
しっぽをばっさばっさ振るかわいいフェンリルの浮竹に、浮竹は抱きしめて離さない。
『わぁ、ちょっと苦しいぞ』
「ああ、なんでこんなにかわいいんだ、フェンリルの俺!人の姿とってる時もかわいいが。かわいさ大爆発だな!」
『えへへへ、そうか?』
魔神の京楽は、じゃれあう二人を見てほんわかとなっていた。それは京楽も同じことだった。
「人の姿してお互い一緒に寝てるのもかわいいけど、フェンリル姿でもふられるのもかわいいね」
『そりゃ、ボクの浮竹だもの』
「何気にのろけてる‥‥‥」
時計は深夜の1時をさして、眠くなった浮竹とフェンリルの浮竹は、ベッドで一緒に丸くなって眠ってしまった。
浮竹は眠る時翼を消す。
フェンリルの浮竹は、犬サイズのフェンリル姿のまま、眠ってしまっていた。
「ボクたちも寝ようか」
『そうだね』
お互いが愛する浮竹たちは、夢の中だ。
フェンリルの浮竹は、浮竹が泊まりにくるとよく一緒に寝るので、自分たちが使用しているものの他に、もう1つ大きなベッドを買った。
今、浮竹たちが眠っているベッドだ。
そのそばで寝れるように、ベッドをあと2つ用意してあった。
それに横になり、京楽たちは浮竹たちをそっと見守りながら、眠りにつくのだった。
「おはよう‥‥‥ふああああ」
『おはよう』
フェンリルの浮竹は、人の姿になっていた。
浮竹は、昨日の名残だとばかりにその尻尾をもふりまくる。
『くすぐったいぞ』
「やっぱ犬飼いたい。なぁ、京楽」
「だめなものはだめ。それに、犬ならケルベロスのケロちゃんがいるでしょ」
「あれはモンスターじゃないか。まぁ、刺客を食べたりしてくれて便利でそこそこかわいいが、フェンリルの俺のかわいさに比べると‥‥」
浮竹は、フェンリルの浮竹を見る。人の姿をとっているが、感情に素直な白い尻尾と頭には白い耳がついていた。
『ふふ、俺ってそんなにかわいいか?』
「かわいすぎる。持って帰りたい」
『ふふ、俺は京楽のものだから、京楽の許可が出ないとお持ち帰りはできないぞ?』
『言っとくけど、許可なんてださないからね』
「ケチ魔神」
「やーい、けち魔神~~~」
京楽がからかいだす。
『君たちねぇ』
魔神の京楽は、呆れた声をだす。
『ケチ魔神なのか、京楽?』
『いや、違うから!』
「フェンリルの俺、魔王城に一緒に行こう。作れるようになったホットケーキ食べさせてやる」
『わーい、勇者の俺の手料理!行く行く!』
『浮竹!』
『いいだろう、京楽?お前ももちろん一緒だ』
『仕方ないねぇ』
魔神の京楽は、フェンリルの浮竹の甘えた声にすぐに陥落する。
『お泊りの次は、そっちにお泊りにいくぞ』
「じゃ、そういうことで。京楽、仕事がんばれよ」
「ええええ。手伝ってくれないの?」
「フェンリルの俺をもてなすんだ。手伝わない」
京楽はしょげる。浮竹の仕事の能力はとても高く、手伝ってもらうといつもの3分の1以下の時間で終わるからだ。
『俺も魔王の仕事手伝う!』
「だそうだ。俺も手伝う」
「浮竹ってば、ほんとにフェンリルの浮竹に弱いんだから‥‥‥」
京楽はため息をつく。
『ボクの浮竹は、それくらいかわいいってことさ』
何気にのろける魔神の京楽を放置して、浮竹たちと京楽は転移魔法で魔王城に行ってしまう。
『ちょっと、ボクを置いてかないでよ!魔神なんだよ!?祟っちゃたうよ!?』
そんな声が、古城で響き、魔神の京楽は3人のあとを追って、魔王城に転移するのであった。
魔神の京楽とフェンリルの浮竹の住まう古城へ、浮竹と京楽は魔王の仕事を終わらせて、泊まりにきていた。
本当は日帰りの予定だったのだが、浮竹が満月の日のせいで犬くらいの大きさのフェンリル姿になったフェンリルの浮竹をもふりまくっていると、離れがたくかんじたせいだ。
『こしょばいぞ』
「かわいい。もふもふだ」
『フェンリル姿の俺も悪くないだろう?』
「ああ、かわいすぎてお持ち帰りしたくなる」
『ちょ、浮竹は渡さないよ!?』
魔神の京楽が、浮竹につっこみをいれる。
「心配しなくても、連れて帰ったりはしない。連れて帰っても、転移魔法ですぐ戻れるだろうしな」
『だからって、お持ち帰りはなしだよ』
「魔神のボク、心配しすぎ。浮竹は連れて帰ったりしないよ」
フェンリル姿から元に戻れないのは、満月の日である。
日付が変わったら、人間の姿になるので、京楽たちもそれほど心配していなかった。
『あれ、日付変わったのに元に戻れない』
「あ、すまん。俺がエトナの力でもっともふりたいと願ったせいだ。あと2~3時間は元に戻れないと思う」
『勇者の俺、俺のフェンリル化をコントロールしてしまうとは、やるな!』
フェンリルの浮竹は、犬のサイズでばっさばっさと尻尾を振る。
「はぁ‥‥‥癒される。魔王城で犬か猫でも飼おうかな」
「世話が大変だし、こうやって遠出したり泊っている日は部下の者たちに世話をおしつけることになるから、だめだよ」
「うう、分かっているんだ。だけど、こうもかわいいと飼いたくなる‥‥‥」
『俺はいつでもフェンリルの姿になれるから、もふりたくなったら言ってくれるといいぞ』
浮竹は、ふと気づいてアイテムポケットから、鮮やかな色彩の鳥の羽を取り出す。
『わぁ、綺麗だな』
「フェンリルの俺にやる。俺の背中の翼から抜け落ちた羽を加工したものだ。お守りになる」
『エトナの子の体の一部なら、効果はありそうだね』
魔神の京楽にも、浮竹は鮮やかな羽をあげた。
『光に反射する。綺麗な羽だな。勇者の俺の翼から自然に抜け落ちたのか?』
「いや、自分でむしった。エトナの子である限り、羽の一枚でも魔力がこもるからな。悪用されないために、自然と抜け落ちないようにしている」
『神の子も大変なんだな。俺は京楽のメイドさんだから、京楽を守ってメイドとして家事をするのが仕事だ。エトナの子は、神の力を他者にあげないといけないんだろう?』
「まぁ、確かにここ最近はエトナの慈悲として、病や怪我人を無料で癒している」
『すごいな!えらいぞ!』
しっぽをばっさばっさ振るかわいいフェンリルの浮竹に、浮竹は抱きしめて離さない。
『わぁ、ちょっと苦しいぞ』
「ああ、なんでこんなにかわいいんだ、フェンリルの俺!人の姿とってる時もかわいいが。かわいさ大爆発だな!」
『えへへへ、そうか?』
魔神の京楽は、じゃれあう二人を見てほんわかとなっていた。それは京楽も同じことだった。
「人の姿してお互い一緒に寝てるのもかわいいけど、フェンリル姿でもふられるのもかわいいね」
『そりゃ、ボクの浮竹だもの』
「何気にのろけてる‥‥‥」
時計は深夜の1時をさして、眠くなった浮竹とフェンリルの浮竹は、ベッドで一緒に丸くなって眠ってしまった。
浮竹は眠る時翼を消す。
フェンリルの浮竹は、犬サイズのフェンリル姿のまま、眠ってしまっていた。
「ボクたちも寝ようか」
『そうだね』
お互いが愛する浮竹たちは、夢の中だ。
フェンリルの浮竹は、浮竹が泊まりにくるとよく一緒に寝るので、自分たちが使用しているものの他に、もう1つ大きなベッドを買った。
今、浮竹たちが眠っているベッドだ。
そのそばで寝れるように、ベッドをあと2つ用意してあった。
それに横になり、京楽たちは浮竹たちをそっと見守りながら、眠りにつくのだった。
「おはよう‥‥‥ふああああ」
『おはよう』
フェンリルの浮竹は、人の姿になっていた。
浮竹は、昨日の名残だとばかりにその尻尾をもふりまくる。
『くすぐったいぞ』
「やっぱ犬飼いたい。なぁ、京楽」
「だめなものはだめ。それに、犬ならケルベロスのケロちゃんがいるでしょ」
「あれはモンスターじゃないか。まぁ、刺客を食べたりしてくれて便利でそこそこかわいいが、フェンリルの俺のかわいさに比べると‥‥」
浮竹は、フェンリルの浮竹を見る。人の姿をとっているが、感情に素直な白い尻尾と頭には白い耳がついていた。
『ふふ、俺ってそんなにかわいいか?』
「かわいすぎる。持って帰りたい」
『ふふ、俺は京楽のものだから、京楽の許可が出ないとお持ち帰りはできないぞ?』
『言っとくけど、許可なんてださないからね』
「ケチ魔神」
「やーい、けち魔神~~~」
京楽がからかいだす。
『君たちねぇ』
魔神の京楽は、呆れた声をだす。
『ケチ魔神なのか、京楽?』
『いや、違うから!』
「フェンリルの俺、魔王城に一緒に行こう。作れるようになったホットケーキ食べさせてやる」
『わーい、勇者の俺の手料理!行く行く!』
『浮竹!』
『いいだろう、京楽?お前ももちろん一緒だ』
『仕方ないねぇ』
魔神の京楽は、フェンリルの浮竹の甘えた声にすぐに陥落する。
『お泊りの次は、そっちにお泊りにいくぞ』
「じゃ、そういうことで。京楽、仕事がんばれよ」
「ええええ。手伝ってくれないの?」
「フェンリルの俺をもてなすんだ。手伝わない」
京楽はしょげる。浮竹の仕事の能力はとても高く、手伝ってもらうといつもの3分の1以下の時間で終わるからだ。
『俺も魔王の仕事手伝う!』
「だそうだ。俺も手伝う」
「浮竹ってば、ほんとにフェンリルの浮竹に弱いんだから‥‥‥」
京楽はため息をつく。
『ボクの浮竹は、それくらいかわいいってことさ』
何気にのろける魔神の京楽を放置して、浮竹たちと京楽は転移魔法で魔王城に行ってしまう。
『ちょっと、ボクを置いてかないでよ!魔神なんだよ!?祟っちゃたうよ!?』
そんな声が、古城で響き、魔神の京楽は3人のあとを追って、魔王城に転移するのであった。
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