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魔王と勇者と33

フェンリルの浮竹と、魔神の京楽が、浮竹と京楽のいる魔王城にやってきた。

手には何やら荷物をもって。

『勇者の俺!フェンリルの姿で抜け落ちた毛を集めて、クッションを作ってみたんだ!』

フェンリルの浮竹は、尻尾をぶんぶん振って、クッションを手渡してくる。

「ふかふかだな」

『そうだろう』

「よし、俺もクッション作ってみるか」

『え、いいのか?お前の羽はそうそう抜け落ちないのだろう?』

「そろそろ羽の交換を考えていた頃だ。羽毛のクッションなら、そこそこいいのが作れるだろう」

浮竹は、12枚の翼を広げて、羽毛を新しいものに変える。

『うわぁ、羽毛がいっぱいだぁ。とびこんでいいか?』

「羽毛まみれになるぞ?」

『浮竹、ほどほどにね』

魔神の京楽にそう言われたが、羽毛の海にフェンリルの浮竹は頭からつっこむ。

「浮竹、ちょっといきなり全部の羽を入れ替えることないんじゃないの?クッション以外も作れそうな量だけど」

京楽は、浮竹の抜けた羽を手にとる。

ふわふわだった。

「せっかくだから、羽毛布団も作ろうと思ってな」

『勇者の俺、羽毛がふかふかで止まらないいいい』

羽毛の山にダイビングしているフェンリルの浮竹を助け起こし、浮竹は魔法で羽毛をクッションと羽毛布団の中身にしてしまった。

『むう、もう少し羽毛で埋もれたかったのに』

『浮竹、無理いわないの』

魔神の京楽が、フェンリルの浮竹の頭を撫でる。

『そのクッションと羽毛布団はもらってもいいのか?』

「ああ、かまわない。エトナの力は抜いてあるから、ただの羽毛クッションと羽毛布団だ」

「浮竹、羽のいれかえって一気にするんだね」

「そうだぞ。俺の羽にはエトナの力が宿っているから、抜け落ちでもしたら大変だ。一定期間たつと、エトナの力を失って全部抜け替わるようにしている」

「翼が12枚もあるからねぇ」

結局、クッションは4つと羽毛布団は2つできた。

『羽毛布団、2つとももらっていいのか?』

「ああ、いいぞ」

『浮竹、お礼言わなきゃ』

『あ、そうだな。ありがとう、勇者の俺!』

浮竹は苦笑する。

「ただ、羽毛を変えたかっただけで、その副産物だから気にするな」

フェンリルの浮竹は、アイテムポケットに羽毛のクッション2つと羽毛布団を2ついれた。

残りの2つのクッションは京楽と浮竹の分だ。

「我ながら、ふかふかだな。フェンリルの俺のクッションもふかふかだ」

『へへへ、ただ抜け落ちるのはもったいないと思ってな』

「毛皮‥‥‥」

『だ、だめだぞ!?いくら勇者の俺でも、俺の毛皮はあげられないからな!』

「言ってみただけだ」

浮竹は、フェンリルの浮竹の怯えように首を横にふる。

フェンリルの浮竹は、羽毛クッションをアイテムポケットから取り出して、早速使ってみた。

『羽毛のクッションと布団、ありがとうな?』

「べ、別に喜んでほしいから作ったんじゃないからな!」

「ツンデレだ」

『ほんとだ、ツンデレだ』

『素直じゃないねぇ』

「う、うるさい。ほっとけ!」

浮竹は赤くなって照れる。

「今日のお茶は抹茶だよ。茶菓子はたい焼き」

「たい焼き‥‥東の島国のものだな」

『中に何か入っているな!甘くておいしいぞ!』

「あんこといって、東の島国で主に使われている甘味料だよ」

『うまいな!それにこの抹茶というお茶、ちょっと苦いけどおいしい』

フェンリルの浮竹は、たい焼きのおかわりを要求する。

『浮竹、ほどほどにね?夕飯も近いんだから』

『甘いものは別腹だ』

『言うと思ったよ』

魔神の京楽も、たい焼きを食べて抹茶を飲む。

『この茶葉、よければもらえないかな』

「いいぞ。これだ」

「魔神のボク、抹茶気に入ったの?」

京楽が訊ねる。

『うん。少し苦いけど、この味好きだね』

『ああ、忘れてた。勇者の俺、ダージリンの最高級の茶葉が手に入ったんだ。やる』

「すまん、ありがとう」

『えへへへへ。いつも世話になってる勇者の俺に、プレゼントだ!』

フェンリルの浮竹は、尻尾をぶんぶん振って、夕飯に用意されたフルコースのメニューを平らげていく。

『いつ食べても、魔王城の食事はうまいな!』

「おかわりあるから、遠慮せずに食べてね」

京楽がそう言うと、フェンリルの浮竹は5回おかわりをした。

『浮竹、ほどほどにね?』

『むう、うまいからもっと食いたいのに』

『魔王城のシェフを困らせちゃだめだよ?』

『分かった』

材料がそこをつきかけていたので、6回目のおかわりを諦めたフェンリルの浮竹に、京楽も浮竹も安堵するのであった。


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