魔王と勇者と5
勇者浮竹は、魔王京楽の城で厄介になっている。
魔王の派閥に入り、勇者としては人々に認められてはいるが、愛用していた勇者の証でもある聖剣エクスカリバーには見棄てられて、エクスカリバーはポンコツになり、世界でも最大の宗教である聖女教には未だに勇者として認められていない。
他にも勇者は浮竹を入れて三人存在した。
北の勇者浮竹十四郎、南の勇者黒崎一護、東の勇者朽木白哉であった。
南の勇者黒崎一護と東の勇者朽木白哉は聖女教で正式な勇者として認められており、何度か京楽と会っているが、京楽が平和主義者の魔王であるため、討伐にまでは至っていない。
聖女教でも、魔王排斥は当たり前であったが、魔王が京楽になってから、表だって京楽を退治しようとする者はいなかった。
それでも、魔王であるために時折刺客がくるが、魔王京楽の力は本物で、勇者にも引けをとらないので返り討ちにしていた。
「浮竹、朝だよ起きて」
「うーん、あと10分」
「もう昼前だよ。いい加減に起きないと、襲っちゃうよ?」
「お、起きる!」
浮竹は、がばりと起きて時計を見た。
11時20分をさしていた。
「うーん、昨日夜遅くまでモンスター退治していたせいで、寝過ごしてしまった」
「浮竹には感謝してるよ。本来ならボクが兵を派遣しなきゃいけないし、兵たちも無事に帰ってくる保証はない。それを、浮竹が担ってくれてるおかげで、兵たちは未開の地の開墾をできる。基本自給自足がモットーだからね、魔王軍は」
「魔王城にも広い畑が広がっているからな。何も城で野菜を育てなくてもいいとは思うが」
「無駄に広い薔薇園なんかを作るよりは、有意義でしょ?」
「まぁな。おまけに魔王自らが収穫するときている」
浮竹の中にあった魔王像は、京楽の存在で粉々になっていた。
「さて、朝食を兼ねた昼食をとったら、浮竹も野菜の収穫だよ」
「分かった」
質素な生活を送っていた時には考えられないような、豪華な昼食を食べて、浮竹は京楽と一緒に魔王城の畑の野菜を収穫した。
「レタスとトマトときゅうりがよく育ってるね。浮竹の意見を聞いて、肥料を変えたおかげかな」
「質のいい土地のわりには、へぼい肥料を使っていたからな」
「さて、今日もしばらく執務は大臣たちに任せているから、何をしよう?」
「カララッカに行ってみたい。白竜が出るそうだ。背中に乗せてもらいたい」
「カララッカか。転移魔法を使えばすぐに行けるから、お茶をしてから行こうか?」
「ああ」
浮竹と京楽は、最高級茶葉のアッサムの紅茶を飲みながら、専属シェフのつくったラズベリータルトを食べた。
そして、京楽の転移魔法でカララッカにやってきた。
北の地域にある魔王領の中でもさらに北にあるので、雪が降っていた。
「ほら、防寒具」
京楽は、アイテムポケットからコートとマフラーと手袋を出して、浮竹に与えた。
「お前の分は?」
「ボクは体温を自由に調整できるから、寒くないの。魔族の中でも、ボクは変わっているからね」
「あ、白竜だ!」
空を飛んでいく白竜を見上げる。
「おおい、ゼイアス!」
「む、魔王京楽か」
白竜は、浮竹のすぐ目の前に降りてきた。
「は、白竜と知り合いなのか?」
「うん。これでも結構長い時を生きているからね。他にもドラゴンの知り合いはいるよ」
「すごいな」
「ゼイアス、こっちの子はボクの派閥に入った勇者浮竹。君の背中に乗りたいそうだよ。乗せてあげてくれないかな?」
「魔王の頼みなら、無碍にはできんな。乗れ、人間の勇者よ」
「うわぁ」
浮竹は、はじめてドラゴンを見た。その広い背中に乗って、空を翔ける白竜と一緒になって空を飛んだ。
「すごいぞ、京楽!」
「人の子よ、勇者でありながら魔王と共にいるのは、いろいろ問題もあるだろうが、我の古き友である京楽と仲良くしてやってほしい」
「ああ、分かった」
白竜ゼイアスは、京楽のことを心配していた。
聖女教がある限り、魔王である京楽は完全に人と打ち解けあえない。
「京楽は、俺の大切な友人だ」
「その言葉を聞いて安心した」
ゼイアスの背から降りた浮竹は、京楽に微笑みかける。
「俺たちは、友人だよな?」
「ボクは、君を第3夫人にしたいんだけどね。まぁ、今の関係は友人かな」
「このゼイアス、魔王によき人の友ができて安心した。また我の背に乗りたくなったら、遊びにくるといい。歓迎しよう」
白竜ゼイアスは、それだけ言い残すと住処である洞窟に戻っていった。
「楽しめた?」
「ああ、お陰様で。はじめて本物のドラゴンを見て、背に乗れた。満足だ」
「じゃあ、寒いし魔王城まで帰ろうか」
「ああ」
魔王城に戻ると、夕方になっていた。
浮竹と京樂は、外で食事をして、湯あみをして同じベッドで眠る。
「いつか、君をボクのものにする」
腕の中で眠ってしまった浮竹に口づけて、京楽もまた眠るのであった。
魔王の派閥に入り、勇者としては人々に認められてはいるが、愛用していた勇者の証でもある聖剣エクスカリバーには見棄てられて、エクスカリバーはポンコツになり、世界でも最大の宗教である聖女教には未だに勇者として認められていない。
他にも勇者は浮竹を入れて三人存在した。
北の勇者浮竹十四郎、南の勇者黒崎一護、東の勇者朽木白哉であった。
南の勇者黒崎一護と東の勇者朽木白哉は聖女教で正式な勇者として認められており、何度か京楽と会っているが、京楽が平和主義者の魔王であるため、討伐にまでは至っていない。
聖女教でも、魔王排斥は当たり前であったが、魔王が京楽になってから、表だって京楽を退治しようとする者はいなかった。
それでも、魔王であるために時折刺客がくるが、魔王京楽の力は本物で、勇者にも引けをとらないので返り討ちにしていた。
「浮竹、朝だよ起きて」
「うーん、あと10分」
「もう昼前だよ。いい加減に起きないと、襲っちゃうよ?」
「お、起きる!」
浮竹は、がばりと起きて時計を見た。
11時20分をさしていた。
「うーん、昨日夜遅くまでモンスター退治していたせいで、寝過ごしてしまった」
「浮竹には感謝してるよ。本来ならボクが兵を派遣しなきゃいけないし、兵たちも無事に帰ってくる保証はない。それを、浮竹が担ってくれてるおかげで、兵たちは未開の地の開墾をできる。基本自給自足がモットーだからね、魔王軍は」
「魔王城にも広い畑が広がっているからな。何も城で野菜を育てなくてもいいとは思うが」
「無駄に広い薔薇園なんかを作るよりは、有意義でしょ?」
「まぁな。おまけに魔王自らが収穫するときている」
浮竹の中にあった魔王像は、京楽の存在で粉々になっていた。
「さて、朝食を兼ねた昼食をとったら、浮竹も野菜の収穫だよ」
「分かった」
質素な生活を送っていた時には考えられないような、豪華な昼食を食べて、浮竹は京楽と一緒に魔王城の畑の野菜を収穫した。
「レタスとトマトときゅうりがよく育ってるね。浮竹の意見を聞いて、肥料を変えたおかげかな」
「質のいい土地のわりには、へぼい肥料を使っていたからな」
「さて、今日もしばらく執務は大臣たちに任せているから、何をしよう?」
「カララッカに行ってみたい。白竜が出るそうだ。背中に乗せてもらいたい」
「カララッカか。転移魔法を使えばすぐに行けるから、お茶をしてから行こうか?」
「ああ」
浮竹と京楽は、最高級茶葉のアッサムの紅茶を飲みながら、専属シェフのつくったラズベリータルトを食べた。
そして、京楽の転移魔法でカララッカにやってきた。
北の地域にある魔王領の中でもさらに北にあるので、雪が降っていた。
「ほら、防寒具」
京楽は、アイテムポケットからコートとマフラーと手袋を出して、浮竹に与えた。
「お前の分は?」
「ボクは体温を自由に調整できるから、寒くないの。魔族の中でも、ボクは変わっているからね」
「あ、白竜だ!」
空を飛んでいく白竜を見上げる。
「おおい、ゼイアス!」
「む、魔王京楽か」
白竜は、浮竹のすぐ目の前に降りてきた。
「は、白竜と知り合いなのか?」
「うん。これでも結構長い時を生きているからね。他にもドラゴンの知り合いはいるよ」
「すごいな」
「ゼイアス、こっちの子はボクの派閥に入った勇者浮竹。君の背中に乗りたいそうだよ。乗せてあげてくれないかな?」
「魔王の頼みなら、無碍にはできんな。乗れ、人間の勇者よ」
「うわぁ」
浮竹は、はじめてドラゴンを見た。その広い背中に乗って、空を翔ける白竜と一緒になって空を飛んだ。
「すごいぞ、京楽!」
「人の子よ、勇者でありながら魔王と共にいるのは、いろいろ問題もあるだろうが、我の古き友である京楽と仲良くしてやってほしい」
「ああ、分かった」
白竜ゼイアスは、京楽のことを心配していた。
聖女教がある限り、魔王である京楽は完全に人と打ち解けあえない。
「京楽は、俺の大切な友人だ」
「その言葉を聞いて安心した」
ゼイアスの背から降りた浮竹は、京楽に微笑みかける。
「俺たちは、友人だよな?」
「ボクは、君を第3夫人にしたいんだけどね。まぁ、今の関係は友人かな」
「このゼイアス、魔王によき人の友ができて安心した。また我の背に乗りたくなったら、遊びにくるといい。歓迎しよう」
白竜ゼイアスは、それだけ言い残すと住処である洞窟に戻っていった。
「楽しめた?」
「ああ、お陰様で。はじめて本物のドラゴンを見て、背に乗れた。満足だ」
「じゃあ、寒いし魔王城まで帰ろうか」
「ああ」
魔王城に戻ると、夕方になっていた。
浮竹と京樂は、外で食事をして、湯あみをして同じベッドで眠る。
「いつか、君をボクのものにする」
腕の中で眠ってしまった浮竹に口づけて、京楽もまた眠るのであった。
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