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黒猫と白猫の亜人外伝3 サタンの子

ジョセフィーヌちゃんが産んだ子猫のうち、2匹が急死した。

にゃんにゃんと泣くジョセフィーヌちゃんとサタン。

特にサタンの落ち込みようったら半端なく、うおんうおんいって、泣いていた。

「ああ、まだ生後2か月なのに。かわいそうに我が子よ。せめて、父の胸でもう一度抱かせておくれ」

サタンは、死んだアリーちゃん、トムくんを胸に抱いて、お別れをする。

浮竹と京楽も、猫の姿で死んでしまったアリーちゃんとトムくんの体に体をこすりつけて、冷たくなっていく体に悲しんで、涙を零す。

白哉の飼っている猫の中には野良猫だった者もまじっていて、普通は去勢されるのだが、主にオスが去勢されるので、メスも外に出る子は去勢される。

ジョセフィーヌちゃんを含む、サタンの5匹の夫人は、まだ去勢されていない若い雌猫だった。

まさかサタンが白哉の元にくるなど思ってなかったので、夫人を迎えるとも思ってなかったので、子猫が生まれるなど思わなかったのだ。

生まれた子猫は、離乳して子猫時代を思いっきり甘やかされて育ってから、貴族の令嬢たちにもらわれていく。

中には、大商人の平民にもらわれていく子もいた。

白哉は、サタンの子猫を譲渡するにあたり、平民でもいいのだが、裕福な家を選んでいた。

決して飢えたり虐待されたりしないように、時折もらわれていった猫の様子を使者を派遣して見てもらっていた。

その条件で、譲渡をしている。

「サタン、今回は残念だったな。手厚く弔うゆえ、子猫たちをこちらへ」

「待て。我が血を与えれば、復活するかもしれぬ」

「だめだよ、サタン君。聖なる力以外で復活させると、アンデット系になる。悪魔のアンデットの子猫とか、誰も世話できないし、もらってもくれないし、サタン君でも世話できないよ?」

京楽の言葉に、サタンは嘆き悲しんだ。

「アリーちゃん、トム君‥‥‥‥うおおおおおおおん」

「うう、アリーちゃんトム君」

浮竹も、釣られてにゃあにゃあ泣き出した。

サタンの子猫と、たまに一緒に遊ぶ浮竹と京楽にとっても、悲しいできごとだったのだ。

「残された子たちを大切に育てないと」

「分かっておる。うおおん、どうか皆、アリーちゃんとトム君の分まで成長して、大きくなるのだぞ」

白哉は、アリーちゃんとトム君の体を譲り受けて、火葬して遺骨を小さな骨壺に納めて、猫たちの墓に埋葬する。

「うおーーーーん」

サタンは一日中泣いて、もう涙も枯れ果てるくらい泣いた。

昔なら、平気で人間を殺すようなサタンがだ。

猫になって猫人生を楽しむせいで、完全に猫になっていた。

しかも父性あふれる猫になっていた。

普通猫は、母猫が子猫の世話をして、雄猫は放置だ。

そんな中、サタンはよく子猫たちの面倒を見た。ぺろぺろと毛づくろいをしてやり、離乳時期がくるまで体温で温めたり、目があいてある程度成長して活発になってきた子猫たちの遊び相手をしてやった。

それは浮竹も京楽も同じで、ある程度成長したサタンの子猫たちを猫のおもちゃで遊んだりした。

「他の子猫たちも、念のため獣医に診せる。血液検査とワクチンを接種させるゆえ、残りの3匹の子猫を預かるぞ」

「うむ、苦しゅうないぞ白哉。我が子たちがうつる病気で命を落としたのなら、大問題だ。他の子たちを専門の獣医に診せてくれ」

白哉の家には、猫専門と猫と猫の亜人も診れる、二人の獣医を抱えていた。

「頼む」

「はい、白哉様」

猫専用の獣医は、白哉の手の中でにゃあにゃあ鳴く子猫を3匹受け取って、血液検査をした後、ワクチンを接種させる。

「血液検査では猫エイズも白血病にもかかっておらず、その他の病気もなく健康であることが分かった。たっぷり栄養を与えて、甘やかして育ててやれ」

サタンは、白哉から子猫を3匹返してもらって、その子猫たちの首をくわえて、母乳を出すジョセフィーヌちゃんの元に連れていく。

まだ完全に離乳時期ではなく、柔らかくした離乳食とミルクで育っていた。

ジョセフィーヌちゃんは、子猫たちに栄養価の高いミルクをあげるために、たくさん食べてたくさん飲む。

「にゃあにゃあ(アリーちゃんとトム君の分まで、精一杯お世話するわ)」

「うむ、うむ、その通りだジョセフィーヌちゃん。今回は残念であった」

白哉は、子猫でも育児放棄された子猫なども保護したこともある。時折仕事の合間をぬって、そんな子猫にミルクをあげたりもするが、通常は二人くらいの使用人に任されていた。

育児放棄された生後数日の赤ちゃん猫は、1~2時間おきに授乳が必要だ。それを乗り切っても、3時間おきくらいに授乳が必要だ。

子猫は免疫が高くなく、特に野良の産んだ子猫は栄養状態が芳しくない。

母猫の初期の授乳さえ許されなかった赤ちゃん猫を保護して、授乳をさせるが、か弱く命を落としていく子猫を、白哉はたくさん見てきた。

母猫がいるから、家猫であるからといって、安心はできない。

子猫はかわいいが、反面弱く、へたをすればすぐに命を落としてしまう。

なので、白哉は子猫の譲渡は離乳を終えて完全にキャットフードを食べて、ワクチンを接種して去勢済みの子を譲渡していた。

譲渡しても、5匹も夫人のいるサタンの子猫は、発情期になるとまた産まれてくる。

まぁ、譲渡の予約は多頭で飼いたいという申し込みも多いので、多頭飼育崩壊を起こしていないかを複数で欲しがる場合は確認してから譲渡する。

白哉の手から譲渡されていった子猫たちは、皆元気に幸せな家猫になっていた。

「あら、こちらの白猫が綺麗ね。この子が欲しいわ」

ある貴族の令嬢が、譲渡会にきて、浮竹の見た目が小さく子猫に見えたので、白哉にそう言うと京楽が貴族の令嬢に「この子はボクのだよ」と人の言葉でしゃべり、びっくりさせることも何度かあった。

そんなしゃべる猫を欲しがる者は多く、猫の亜人だと知っても、欲しがる。

中には拉致してまで欲しがる輩がいるので、譲渡会には騎士が何人かいた。

さて、今回の譲渡会では、16匹のサタンの子猫と、4匹の野良猫だった猫が産んだ子猫がもらわれていった。

サタンは、去っていく子猫たち一匹一匹を舐めて毛づくろいをして、お別れをしてから白哉に渡す。

サタンは、浮竹も舐めて毛づくろいをした。

「ひゃは、くすぐったい」

「ふははは、サタン様が毛づくろいをしてやっているのだ。金貨100枚の価値があるぞ」

高いだろう、多分。浮竹は思ったが、口には出さない。

「ボクも毛づくろいする」

「え、やだ」

「なんで!」

「京楽の、なんか変態っぽいから」

「ガーン」

そんな会話をする浮竹と京楽を見て、白哉は心を和ませる。

「では、我が毛づくろいしてやろう。金貨100枚の価値のあるテクニックを堪能せよ」

「うん、サタン君にお願いする」

「ガーン」

京楽はその日、ショックであまりキャットフードを食べなかったが、白哉の手からもらうチュールを食べまくるのだった。




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