黒猫と白猫の亜人14
その日は、京楽が白哉の猫になってちょうど1年目の日だった。
京楽も浮竹も、自分の誕生日を知らない。
なので、出会った日を誕生日にしていた。
「ハッピーバースデー、京楽」
「ありがとね、浮竹」
浮竹からの贈り物は、かつおぶしだった。
「かつおぶし‥‥‥しかも丸ごと」
京楽は苦笑しながら、もらう。
「これを兄に」
白哉からのプレゼントはクッションだった。
「私はこれを」
ルキアからは、人の姿になった時、猫耳が見られるとやばい時用に、おしゃれなデザインの帽子を。
恋次からは、媚薬をもらった。
「恋次君、なんつーものを渡してるんだ!没収!」
浮竹が怒って、京楽から媚薬を取り上げる。
「ああ、使ってみたいのに」
京楽が残念がるが、浮竹は使われるのは嫌だといって、廃棄処分してしまった。
「京楽さん、ストックはたくさんあるんで、使いたくなったらこっそり俺に言ってください」
「まさか、白哉君に使ってるの?」
「たまに、ですね」
「こらそこ!」
浮竹だけでなく、白哉も怒る。
二人は正座をさせられた。
「主役が正座というのは恰好がつかんな。京楽、普通にしていていいぞ」
「白哉さん、俺は?」
「日が沈むまで正座だ」
「そんなああああ」
恋次の悲しい悲鳴を聞きながら、浮竹と享楽は人の姿で京楽のバースデーケーキを食べた。
「これ、おいしいな」
「まぁ、一応私の家のシェフが作ったものだからな。そこらへんの店で買うよりはおいしくできていると思う」
「うん。甘さがまったりとしてていいね。今度、作り方教えてもらえる?」
「シェフに伝えておく」
「今度は、浮竹の誕生日がくるでしょ?その時に、ボクが作ったバースデーケーキを食べてもらいたい」
浮竹はやや赤くなる。
「見せつけてくれますねぇ」
「恋次、兄は口を閉じていろ。今度何かいらぬことを言ったら、猿轡(さるぐつわ)をさせる」
「酷いいいいいい( ;∀;)」
泣き出す恋次を皆無視して、京楽の誕生日を祝った。
ふと、京楽と浮竹が住む離れの一軒家に、すごい魔力と禍々しい魔力をかんじて、京楽と浮竹でなく、白哉もルキアも驚く。
「ああ、気にしないで。魔王の、ボクらの友達だから」
「魔王が友達?まぁ、敵意はないようだが。くれぐれも無茶はしないように」
白哉は、魔王に関わりたくないのか、ルキアと一緒に念のために見張りを立てる。
『いやぁ、今日が君の誕生日だって聞いてねぇ。浮竹が、どうしても渡したいものがあるって』
『渡したいものがあるのは、京楽のほうだろう?』
京楽と浮竹の住む一軒家に現れたのは、魔王の浮竹と幽鬼の京楽だった。
『ノックしたけど、反応ないので勝手にあがらせてもらったよ。施錠しないと、危ないよ?』
「白哉君の敷地で盗みを働くバカはいないさ」
『これ‥‥‥ボクが作った紅茶クッキー。おいしいと思うから、後で食べてみて?』
「ありがとう」
京楽が受け取ると、幽鬼の京楽は僅かに微笑む。
『俺からはこれだ。高級茶葉セット』
「いいね。お茶にする?紅茶のクッキーはボクが後でいただくので、普通のクッキーが茶菓子になるけど、いいよね?」
『俺は別に構わん』
『ボクも』
「じゃあ、俺が茶菓子のクッキー用意してくるな?京楽は茶をいれていてくれ」
魔王の浮竹からもらった高級茶葉は、いろんな紅茶の茶葉が入っていて、京楽はアッサムの紅茶の茶葉を選んで、紅茶にして出した。
「この茶葉セット、いいね。誰かに贈り物にするのにすごく喜んでもらえそう」
『なんなら、今度数セットもってこようか?』
「え、いいの?」
そこで浮竹が現れて、クッキーを持ってくる。
「この前、白哉のところのシェフに習って作った自作のクッキーだ。口にあうといいんだが」
『おいしいぞ』
『おいしいね』
「浮竹は家事もこなすから。料理の腕もけっこういいんだよ」
京楽も、浮竹の作ったクッキーを食べて、紅茶を飲んでほわりとなる。
「なんか、こういうのいいな。友達同士でおしゃべりしあって、お茶会とか」
2時間ほどして、魔王の浮竹が帰ると言い出したので、京楽と浮竹は見送る。
『また、遊びにくる』
『今度は、泊まりかもね』
「ああ、いいぞ。布団と毛布、用意しとくな?」
京楽も、手を振っていた。
ドクン。
鼓動の音がして、京楽がその場に蹲る。
「どうしたんだ?」
「ボクの中のナニカ‥‥‥サタナシア・オルタナティブが、何か言おうとしてる」
(魔王と深く関わるな。サタンになりたいのなら、止めはしないが)
そう、京楽の内側から声が聞こえてきた。
「通称サタン。ボクの中のナニカ。そうなる可能性は極めて薄いんじゃないのかな。ボクはサタンの血肉を受け継いでいないし、意識として宿したこともない」
(確かにそうだ。0,01%の可能性にすぎぬかもしれぬが、念のためだ。私はまたお前の中に混じり溶け込んで眠る)
「京楽、大丈夫か?通称サタンって、お前‥‥‥」
「ボクは、赤子の頃実の父親にサタンの贄として捧げられた。サタンが宿り、ボクは息をふきかえして、サタンはボクの中にサタナシア・オルタナティブ、通称サタンをボクの中に残した。それはボクの中に溶け込んで、ボクと一つになったけど、時おりこうして意識を出す」
浮竹は、よく分からなくて混乱していた。
「ええと、京楽の中に通称サタンとかいう別人格がいるのか?」
「まぁ、似たようなものかな。ボクがサタンになる可能性は極めて0に近いから、大丈夫」
「京楽も、苦労してきたんだな」
浮竹に抱きしめられて、京楽はその背中に手をまわし、浮竹の頬にキスをする。
「でも、幸せだよ?そのおかげで生き返って、こうして君と会えて日常を過ごせるんだから」
「何か異常があった時は、遠慮なく言ってくれな?」
「うん」
魔王との交流。サタンは魔族ではなく大悪魔だ。大悪魔と魔族は似て非なる存在。
京楽は、思う。
魔王との交流で、いつかサタンが目覚めたとしても、制御下におけると。
京楽の意識は強かった。
通称サタンを捻じ曲げるほどに。
もしもサタンを手に入れたら‥‥‥‥その力で、浮竹と永遠を生きよう。そう思うのだった。
京楽も浮竹も、自分の誕生日を知らない。
なので、出会った日を誕生日にしていた。
「ハッピーバースデー、京楽」
「ありがとね、浮竹」
浮竹からの贈り物は、かつおぶしだった。
「かつおぶし‥‥‥しかも丸ごと」
京楽は苦笑しながら、もらう。
「これを兄に」
白哉からのプレゼントはクッションだった。
「私はこれを」
ルキアからは、人の姿になった時、猫耳が見られるとやばい時用に、おしゃれなデザインの帽子を。
恋次からは、媚薬をもらった。
「恋次君、なんつーものを渡してるんだ!没収!」
浮竹が怒って、京楽から媚薬を取り上げる。
「ああ、使ってみたいのに」
京楽が残念がるが、浮竹は使われるのは嫌だといって、廃棄処分してしまった。
「京楽さん、ストックはたくさんあるんで、使いたくなったらこっそり俺に言ってください」
「まさか、白哉君に使ってるの?」
「たまに、ですね」
「こらそこ!」
浮竹だけでなく、白哉も怒る。
二人は正座をさせられた。
「主役が正座というのは恰好がつかんな。京楽、普通にしていていいぞ」
「白哉さん、俺は?」
「日が沈むまで正座だ」
「そんなああああ」
恋次の悲しい悲鳴を聞きながら、浮竹と享楽は人の姿で京楽のバースデーケーキを食べた。
「これ、おいしいな」
「まぁ、一応私の家のシェフが作ったものだからな。そこらへんの店で買うよりはおいしくできていると思う」
「うん。甘さがまったりとしてていいね。今度、作り方教えてもらえる?」
「シェフに伝えておく」
「今度は、浮竹の誕生日がくるでしょ?その時に、ボクが作ったバースデーケーキを食べてもらいたい」
浮竹はやや赤くなる。
「見せつけてくれますねぇ」
「恋次、兄は口を閉じていろ。今度何かいらぬことを言ったら、猿轡(さるぐつわ)をさせる」
「酷いいいいいい( ;∀;)」
泣き出す恋次を皆無視して、京楽の誕生日を祝った。
ふと、京楽と浮竹が住む離れの一軒家に、すごい魔力と禍々しい魔力をかんじて、京楽と浮竹でなく、白哉もルキアも驚く。
「ああ、気にしないで。魔王の、ボクらの友達だから」
「魔王が友達?まぁ、敵意はないようだが。くれぐれも無茶はしないように」
白哉は、魔王に関わりたくないのか、ルキアと一緒に念のために見張りを立てる。
『いやぁ、今日が君の誕生日だって聞いてねぇ。浮竹が、どうしても渡したいものがあるって』
『渡したいものがあるのは、京楽のほうだろう?』
京楽と浮竹の住む一軒家に現れたのは、魔王の浮竹と幽鬼の京楽だった。
『ノックしたけど、反応ないので勝手にあがらせてもらったよ。施錠しないと、危ないよ?』
「白哉君の敷地で盗みを働くバカはいないさ」
『これ‥‥‥ボクが作った紅茶クッキー。おいしいと思うから、後で食べてみて?』
「ありがとう」
京楽が受け取ると、幽鬼の京楽は僅かに微笑む。
『俺からはこれだ。高級茶葉セット』
「いいね。お茶にする?紅茶のクッキーはボクが後でいただくので、普通のクッキーが茶菓子になるけど、いいよね?」
『俺は別に構わん』
『ボクも』
「じゃあ、俺が茶菓子のクッキー用意してくるな?京楽は茶をいれていてくれ」
魔王の浮竹からもらった高級茶葉は、いろんな紅茶の茶葉が入っていて、京楽はアッサムの紅茶の茶葉を選んで、紅茶にして出した。
「この茶葉セット、いいね。誰かに贈り物にするのにすごく喜んでもらえそう」
『なんなら、今度数セットもってこようか?』
「え、いいの?」
そこで浮竹が現れて、クッキーを持ってくる。
「この前、白哉のところのシェフに習って作った自作のクッキーだ。口にあうといいんだが」
『おいしいぞ』
『おいしいね』
「浮竹は家事もこなすから。料理の腕もけっこういいんだよ」
京楽も、浮竹の作ったクッキーを食べて、紅茶を飲んでほわりとなる。
「なんか、こういうのいいな。友達同士でおしゃべりしあって、お茶会とか」
2時間ほどして、魔王の浮竹が帰ると言い出したので、京楽と浮竹は見送る。
『また、遊びにくる』
『今度は、泊まりかもね』
「ああ、いいぞ。布団と毛布、用意しとくな?」
京楽も、手を振っていた。
ドクン。
鼓動の音がして、京楽がその場に蹲る。
「どうしたんだ?」
「ボクの中のナニカ‥‥‥サタナシア・オルタナティブが、何か言おうとしてる」
(魔王と深く関わるな。サタンになりたいのなら、止めはしないが)
そう、京楽の内側から声が聞こえてきた。
「通称サタン。ボクの中のナニカ。そうなる可能性は極めて薄いんじゃないのかな。ボクはサタンの血肉を受け継いでいないし、意識として宿したこともない」
(確かにそうだ。0,01%の可能性にすぎぬかもしれぬが、念のためだ。私はまたお前の中に混じり溶け込んで眠る)
「京楽、大丈夫か?通称サタンって、お前‥‥‥」
「ボクは、赤子の頃実の父親にサタンの贄として捧げられた。サタンが宿り、ボクは息をふきかえして、サタンはボクの中にサタナシア・オルタナティブ、通称サタンをボクの中に残した。それはボクの中に溶け込んで、ボクと一つになったけど、時おりこうして意識を出す」
浮竹は、よく分からなくて混乱していた。
「ええと、京楽の中に通称サタンとかいう別人格がいるのか?」
「まぁ、似たようなものかな。ボクがサタンになる可能性は極めて0に近いから、大丈夫」
「京楽も、苦労してきたんだな」
浮竹に抱きしめられて、京楽はその背中に手をまわし、浮竹の頬にキスをする。
「でも、幸せだよ?そのおかげで生き返って、こうして君と会えて日常を過ごせるんだから」
「何か異常があった時は、遠慮なく言ってくれな?」
「うん」
魔王との交流。サタンは魔族ではなく大悪魔だ。大悪魔と魔族は似て非なる存在。
京楽は、思う。
魔王との交流で、いつかサタンが目覚めたとしても、制御下におけると。
京楽の意識は強かった。
通称サタンを捻じ曲げるほどに。
もしもサタンを手に入れたら‥‥‥‥その力で、浮竹と永遠を生きよう。そう思うのだった。
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