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黒猫と白猫の亜人17

浮竹と京楽は、魔王城で一夜を過ごした。

豪華な夕飯を食べて、広すぎる浴場で風呂に入った。

新しい下着が用意されており、絹でできたバスローブが脱衣所にあった。

脱いだ服はすぐに洗濯に出されて、乾かされた。

魔王の浮竹の客人として扱われ、白哉の家も広くて綺麗だが、そこに荘厳さを取り入れたよう城で、ダブルベッドを二人分用意されている客室で夜を過ごす。

「なんか、枕が変わって眠れない」

「ボクは緊張で眠れない」

二人は2時間ほどごろごろうねうねしていたが、深夜の0時を時計が指さす頃には、寝ていた。

「んー、今何時?」

「2時」

「寝過ごしたあああ」

「構わないだろ。俺たちは自由気ままな猫の亜人なんだから」

「浮竹、とにかく起きて」

「うーん」

京楽に手伝われながら、バスローブから洗濯されてやたらいい匂いのする普段着に着替える。

「ほら、浮竹顔洗って」

「んー」

浮竹は、たまに朝に弱い。今は昼だが。

食堂に行くと、昼食が用意されてあった。それも豪華なものであった。

『また、遊んで泊まりにきてくれ。昨晩は楽しかった』

『ボクも楽しかったよ。朝は、そっちの白猫の亜人の浮竹に遊んでもらったよ?また、遊びに泊まりにきてね?』

「浮竹、道理でなかなか起きないわけだ」

京楽は、寝ぼけている浮竹が昼食を食べ終わると、浮竹をおんぶして、魔王の浮竹と幽鬼の京楽と別れをすませ、荷物をもって白哉の家にテレポートの魔法で戻ってきた。

すると、白哉がすぐに出迎えてくれた。

「心配したのだぞ。魔王の城に泊まると突然手紙をよこすから」

「ああ、うん。その、唐突でごめんね?でも、魔王はけっこういい人だから」

京楽が謝る。

「人間社会では、恐怖政治をやめたが、それでも反抗する国は滅ぼされる。とにかく、魔王と今後付き合うなら、怒らせてはだめだぞ?」

「ああ、分かっている、白哉」

「白哉さぁぁぁん!うーん、朝からあの二人がいないといちゃいちゃできて‥‥‥あ」

「「あ」」

浮竹と京楽は、白哉といちゃいちゃしていたらしい恋次を見て、声を出す。

恋次の衣服が少し乱れているのは、見間違いではないだろう。

「その、どうぞ続きを」

「ボクたちに構わないで?」

「だ、そうですよ、白哉さん。さぁ、俺の愛を‥‥‥‥」

バキっ。

凄い音がして見ると、恋次が頭を殴られて床にめり込んでいた。

「愛が、痛い」

そう言って、恋次は気絶した。

それを、浮竹が木の枝でつんつんする。

「浮竹、アホ菌がうつるからやめなさい」

「分かった。あ、白哉」

「なんだ」

「首の鎖骨のとこ、キスマークついてる」

白哉はやや頬を赤く染めて、衣服の襟をたてて、キスマークが見えないようにする。

「あ、そっちにもキスマークが」

「く、この駄犬もどきの駄猫が」

気絶している白哉にとどめとばかりに蹴りを入れて、白哉は仕事をするために書斎に戻ってしまった。



「今日は何する?」

「貧民街を見に行こう。ちゃんとなっているのか確かめたい」

浮竹と京楽は、久しぶりに貧民街に赴いた。

道路が綺麗に舗装されており、家も綺麗な家が建っていた。騎士が、貧民街も含めた街を巡回している。

「あ、一緒に牢屋にいたお兄ちゃんだ!」

ボールで遊んでいた一人の少女が、浮竹のところにやってくる。

「大人のお兄さんたちに聞いたの。お兄ちゃんたちが、助けてくれたって。でも、助けてくれたのに、なんで一緒の牢屋に入ってたんだろう?よく分からないけど、ありがとう!」

貧民街では、新しい商売が始まったりしていて、とても前の犯罪者がたくさんいるような同じ貧民街に見えなかった。

「白哉君の手腕かな。統治者として、あんなに優れている統治者はそうそういないねぇ」

「ああ、そうだな」

白哉の領地は、北の方角にあるが、王都の運営も任されていた。

「白哉は本当に偉いな。貧民街をここまで変えてしまうなんて」

「本当だね。これで貧富の差がもっとなくなれば、いい王国になるんだけどね」

教会の炊き出しは依然とあるようで、行列している人の姿が見える。

「貧富の差をなくす場合、共和国になるしかないね。ボクの住んでいた里は、アガリア共和国という、亜人たちが統べる共和国の一部だった」

「アガリア共和国‥‥‥確か、温泉で有名な国だな?」

「そうだよ。どこで知ったの?」

「白哉が、魔法の授業の時に歴史も教えてくれたんだ。この王国の成り立ちとか、近隣諸国がどうなっているかとか」

「へぇ」

貧民街のいろんな場所を見て回った。

まだ完全によくなっていない地域もあって、そんな場所の住民は、王都の中心の市場で小銭を稼いだり、物乞いになって金をもらったりしている。

盗みをおかす犯罪者はぐっと減ったらしい。

市場の簡単な作業を、白哉は貧民街の働き口を探している者たちに与えていた。

「夕暮れ時だし、帰ろうか」

「ああ」

浮竹と京楽は、手をつないで帰る。

浮竹の首の鈴が、チリンと鳴る。

風が出てきた。嵐がくる気配がした。




「俺、は?」

「浮竹十四郎様。猫神様の神子よ。どうか、我らをお導きください」

浮竹が起きると、巫女服を着せられていた。

「ここは‥‥」

「ここは、猫神様の神殿。神子様に選ばれたあなた様を、ずっと待っていました」

「京楽は?」

「あの黒猫の亜人なら、浮竹様の伴侶として禊(みぞぎ)をしてもらっております。もう少ししたら、お見えになります」

浮竹は頭がぼーっとしていた。何かの眠り薬をかがされたらしい。

「やあ、浮竹。なんかよく分からないけど、連れ去られて崇められてるみたい、ボクたち」

「恋次君と、連絡はとれるか?」

「大神官の阿散井恋次様ですね。お呼びいたします」

浮竹と京楽は顔を見合って、とりあえず自分たちの現状を知るために、恋次を呼んでもらうのであった。

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