黒猫と白猫の亜人36
「サタナシア・オルタナティブ。落ち着け」
京楽は、瞳を金色にしていた。
浮竹が泣いて、また白涙石を作り出したせいであった。
「あれは、浮竹の大切なもの。お前がもつべきものじゃない」
サタナシア・オルタナティブは告げる。
(あれは、世界を変える値段がする)
浮竹は、白涙石を不思議そうに見ていた。
「俺が、魔王の俺にあげたものより大きくて、温かい」
その白涙石は、まさに極上品。その1つだけで、国が建ちそうな金額がする品だった。
京楽は、それを浮竹が持ち歩くのを危険だとみなして、魔王の浮竹と幽鬼の京楽を呼んだ。
『それは白涙石。非常に貴重で高価なもので、それ1つで戦争になったり、国1つが建ったりする。今回の白涙石は、最高級の代物だな。白猫の浮竹と黒猫の京楽以外と、俺と京楽以外には触れない結界を施しておこう』
『白猫の浮竹。君の涙は、白涙石を生み出す可能性がある。泣くなとは言わないけど、もし泣いて結晶ができたら、人間には見せないこと。白哉君なら見せてもいいけど』
「すごく高いってのは分かった。涙を流しても、結晶にならなければいいんだな?」
「うん、そうだね。とりあえず、この白涙石をどうするかだね」
『よければ俺が、国宝として預かっておこう』
『あ、それが一番心配ないかもね。浮竹は世界で一番強いから』
「そうしてくれると助かる。俺だと、持っていたらどこかに落としてなくしてしまいそうだから」
『国宝をなくす‥‥‥ある意味、すごいな』
『国宝として、厳重に保管しよう』
魔王の浮竹と幽鬼の居楽は、その日浮竹と京楽の家に泊まることにした。
魔王の浮竹は、一度魔王城に戻り、白涙石を国宝を入れてある宝物庫の奥の金庫にいれて、厳重に結界をはっておいた。
『さて、これで大丈夫だ』
問題は、また浮竹が白涙石を生み出してしまうかもしれないことだった。
『今回は、どうして泣いたんだい?』
優しく幽鬼の京楽が聞いてくる。
「友達の猫が、老衰で死んでしまったんだ」
京楽も、涙ぐんでいた。
「おじいさん猫でね。あと半年は生きれるって獣医に言われていたんだけど、突然でね」
「俺の、おじいさんみたいな猫だった。だから、悲しくて泣いてしまった」
戻ってきた魔王の浮竹が事情を聞いて、そうかと浮竹の頭を撫でる。
『いい猫だったんだな』
「いいおじいさんだったんだ。すごく優しくて」
浮竹がまた涙を零すが、結晶にはならなかった。
『じゃあ、お墓建ててあげないとね?』
「まず、白哉の手でさよならを言ってもらわないと。猫の魂が、猫神様のところへ戻らない」
白哉は、老衰した猫をよくかわいがっていたので、白哉にとってもショックな出来事だった。
「ナターシャに、お別れを。みんな、別れをしてやってくれ」
白哉の家の猫たちがみんな集まって、ナターシャという死んだおじいさんの猫ににゃあにゃあと話しかけて、別れを惜しむ。
「うぬうう、我も悲しいぞおおお。うおおおん」
サタンも泣いていた。
サタンともよく会話相手になってくれて、サタンにとってもおじいさんのような存在だった。
「じゃあ、これでお別れだ」
白哉は、ナターシャの遺体を棺に入れて、百合の花をいっぱい供えて、火葬することになった。
「さよなら、おじいさん」
「さよなら、ナターシャ」
「さよならなのだ。うおおおん」
「さらばだ、私の愛しき猫よ」
猫神様の大神官である恋次が、ナターシャの魂を猫神様の元に導いていく。
「ナターシャさんの魂は、無事、猫神様の元にいきました。魂の輪に還り、違う生き物として輪廻転生するまで、しばし魂の休憩です」
ナターシャのお墓は、白哉の庭の猫たちの墓場になった。
白哉は、老齢の猫でも保護しているので、すでに何匹かの猫を看取っていた。
「おさかな、供えておくな?」
浮竹が、かくしていた干した魚を墓の前に供えた。
ちなみに、浮竹と京楽は猫の姿だった。
恋次は人の姿をしていたが。
にゃあにゃあと、ナターシャの死を悲しむ仲間の猫たちの声を聴きながら、ナターシャの冥福を祈る。
「うおおおおん」
サタンは、すごく泣いていた。
同じ猫が死ぬ場面を見るのは、初めてなのだ。それが仲が良いとなおさらに悲しいようであった。
「ごめんな、魔王の俺。せっかく泊まりにきてくれたのに、悲しい雰囲気で」
『構わない』
浮竹と京楽は、人の姿になり、白哉に許可をとって魔王の浮竹と幽鬼の京楽を自分たちの一軒家に泊めることになった。
夕食を自分たちの家でとることになった。運ぶのは、白哉の家の者がしてくれた。お風呂に入り、寝る間際になる。
『魂は、死すれば輪廻の輪に戻る。悲しいが、またいつか会える』
寝る前、浮竹の部屋で魔王の浮竹はそう言って、浮竹の頭を撫でた。
浮竹は、こくんと頷く。
『死する魂もれば、生まれてくる魂もある。そういうことだよ』
幽鬼の京楽も、浮竹の頭を撫でた。
京楽はもう悲しみはなさそうで、眠そうにしていた。
「寝ようか。また明日、ナターシャのお墓で祈ろう」
「そうだね」
魔王の浮竹と幽鬼の京楽は、死という概念が遠いので、死者との別れの辛さを知ってはいるが、ごく身近には感じれない。
浮竹と京楽が悲しがるのを、少し遠くから見るのだった。
京楽は、瞳を金色にしていた。
浮竹が泣いて、また白涙石を作り出したせいであった。
「あれは、浮竹の大切なもの。お前がもつべきものじゃない」
サタナシア・オルタナティブは告げる。
(あれは、世界を変える値段がする)
浮竹は、白涙石を不思議そうに見ていた。
「俺が、魔王の俺にあげたものより大きくて、温かい」
その白涙石は、まさに極上品。その1つだけで、国が建ちそうな金額がする品だった。
京楽は、それを浮竹が持ち歩くのを危険だとみなして、魔王の浮竹と幽鬼の京楽を呼んだ。
『それは白涙石。非常に貴重で高価なもので、それ1つで戦争になったり、国1つが建ったりする。今回の白涙石は、最高級の代物だな。白猫の浮竹と黒猫の京楽以外と、俺と京楽以外には触れない結界を施しておこう』
『白猫の浮竹。君の涙は、白涙石を生み出す可能性がある。泣くなとは言わないけど、もし泣いて結晶ができたら、人間には見せないこと。白哉君なら見せてもいいけど』
「すごく高いってのは分かった。涙を流しても、結晶にならなければいいんだな?」
「うん、そうだね。とりあえず、この白涙石をどうするかだね」
『よければ俺が、国宝として預かっておこう』
『あ、それが一番心配ないかもね。浮竹は世界で一番強いから』
「そうしてくれると助かる。俺だと、持っていたらどこかに落としてなくしてしまいそうだから」
『国宝をなくす‥‥‥ある意味、すごいな』
『国宝として、厳重に保管しよう』
魔王の浮竹と幽鬼の居楽は、その日浮竹と京楽の家に泊まることにした。
魔王の浮竹は、一度魔王城に戻り、白涙石を国宝を入れてある宝物庫の奥の金庫にいれて、厳重に結界をはっておいた。
『さて、これで大丈夫だ』
問題は、また浮竹が白涙石を生み出してしまうかもしれないことだった。
『今回は、どうして泣いたんだい?』
優しく幽鬼の京楽が聞いてくる。
「友達の猫が、老衰で死んでしまったんだ」
京楽も、涙ぐんでいた。
「おじいさん猫でね。あと半年は生きれるって獣医に言われていたんだけど、突然でね」
「俺の、おじいさんみたいな猫だった。だから、悲しくて泣いてしまった」
戻ってきた魔王の浮竹が事情を聞いて、そうかと浮竹の頭を撫でる。
『いい猫だったんだな』
「いいおじいさんだったんだ。すごく優しくて」
浮竹がまた涙を零すが、結晶にはならなかった。
『じゃあ、お墓建ててあげないとね?』
「まず、白哉の手でさよならを言ってもらわないと。猫の魂が、猫神様のところへ戻らない」
白哉は、老衰した猫をよくかわいがっていたので、白哉にとってもショックな出来事だった。
「ナターシャに、お別れを。みんな、別れをしてやってくれ」
白哉の家の猫たちがみんな集まって、ナターシャという死んだおじいさんの猫ににゃあにゃあと話しかけて、別れを惜しむ。
「うぬうう、我も悲しいぞおおお。うおおおん」
サタンも泣いていた。
サタンともよく会話相手になってくれて、サタンにとってもおじいさんのような存在だった。
「じゃあ、これでお別れだ」
白哉は、ナターシャの遺体を棺に入れて、百合の花をいっぱい供えて、火葬することになった。
「さよなら、おじいさん」
「さよなら、ナターシャ」
「さよならなのだ。うおおおん」
「さらばだ、私の愛しき猫よ」
猫神様の大神官である恋次が、ナターシャの魂を猫神様の元に導いていく。
「ナターシャさんの魂は、無事、猫神様の元にいきました。魂の輪に還り、違う生き物として輪廻転生するまで、しばし魂の休憩です」
ナターシャのお墓は、白哉の庭の猫たちの墓場になった。
白哉は、老齢の猫でも保護しているので、すでに何匹かの猫を看取っていた。
「おさかな、供えておくな?」
浮竹が、かくしていた干した魚を墓の前に供えた。
ちなみに、浮竹と京楽は猫の姿だった。
恋次は人の姿をしていたが。
にゃあにゃあと、ナターシャの死を悲しむ仲間の猫たちの声を聴きながら、ナターシャの冥福を祈る。
「うおおおおん」
サタンは、すごく泣いていた。
同じ猫が死ぬ場面を見るのは、初めてなのだ。それが仲が良いとなおさらに悲しいようであった。
「ごめんな、魔王の俺。せっかく泊まりにきてくれたのに、悲しい雰囲気で」
『構わない』
浮竹と京楽は、人の姿になり、白哉に許可をとって魔王の浮竹と幽鬼の京楽を自分たちの一軒家に泊めることになった。
夕食を自分たちの家でとることになった。運ぶのは、白哉の家の者がしてくれた。お風呂に入り、寝る間際になる。
『魂は、死すれば輪廻の輪に戻る。悲しいが、またいつか会える』
寝る前、浮竹の部屋で魔王の浮竹はそう言って、浮竹の頭を撫でた。
浮竹は、こくんと頷く。
『死する魂もれば、生まれてくる魂もある。そういうことだよ』
幽鬼の京楽も、浮竹の頭を撫でた。
京楽はもう悲しみはなさそうで、眠そうにしていた。
「寝ようか。また明日、ナターシャのお墓で祈ろう」
「そうだね」
魔王の浮竹と幽鬼の京楽は、死という概念が遠いので、死者との別れの辛さを知ってはいるが、ごく身近には感じれない。
浮竹と京楽が悲しがるのを、少し遠くから見るのだった。
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