忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
09 2025/10 2 3 9 11 13 14 15 16 17 1819 20 21 22 23 24 2526 27 28 29 30 31 11

黒猫と白猫の亜人45

浮竹は、人の姿でいる時に人攫いにおそわれそうになり、魔法を放った。炎の魔法であったが、人攫いたち魔法の護符で防御してしまう。

「この!」

浮竹が2発目の魔法を放とうとした時、甘い香りがした。

「え、あ‥‥‥俺は、誰だ?」

人攫いは、浮竹に特殊なお香をかがせて、拉致しようとした。

「あ、お前たちは誰だ?」

「白哉様の使いです」

「白哉の」

浮竹は一時的に記憶を忘れる忘れ香を、かがされていた。何も分かないが、白哉のことだけは覚えていた。

「白哉様がお待ちです。さぁ、一緒に行きましょう」

「うん」

馬車に乗ろうとしたところで、京楽が駆けつけてきた。

「この、邪魔をするな!今回必要なのはこの見目麗しい白猫の亜人なんだ!」

「浮竹を離せ!」

京楽は、馬車ごと風の魔法でずたずたに切り裂く。浮竹の身には一切傷がつかないように。

「ぎゃああああああ」

風の魔法で、人攫いたちはずたずたになって、死んでしまう。

「浮竹、大丈夫?」

「‥‥‥お前は、誰だ?」

「え?あ、このお香忘れ香!くそ、こんなもの!」

京楽は、お香を蹴り飛ばす。

忘れ香とは、嗅いだ者の記憶を一時的に消すお香だった。

「浮竹、君とボクは結婚しているんだ。ほら、お揃いの結婚指輪してるでしょ?」

「結婚‥‥‥白哉は?白哉はどこだ?」

浮竹は、白哉のことは覚えているようで、京楽を警戒していた。

「仕方ない‥‥猫の姿になって。白哉君のところに連れていくから」

「分かった」

浮竹は白猫の姿になると、京楽の手に抱きかかえられて、主である白哉の屋敷まで帰ってきた。

「白哉君、浮竹が‥‥‥‥‥」

事情を白哉に話すと、白哉は忘れ香の効果を消すお香を取り寄せると約束してくれた。

「白哉、抱いていてくれ。お前が主ということ以外、何も思い出せない」

浮竹は、猫の姿で白哉の腕の中にいた。

それから1週間経ったが、まだ浮竹は記憶を取り戻さず、忘れ香の効果を消すというお香も手に入り辛くて、難儀していた。

「白哉、頭撫でてくれ」

浮竹はすっかり白哉になつき、白哉の言うことをよく聞くが、京楽のことは忘れたままで、京楽と二人きりにすると怖がって、白哉を呼んで泣き出してしまうので、白哉と一緒にさせていた。

「浮竹さん、あんた白哉さんと距離近すぎ!」

「恋次だっけ。俺と白哉は結婚した仲なんだぞ」

「なんですと!?」

恋次が驚いて「酷いです、白哉さん、俺とは遊びだったんですか」とか言い出すので、白哉はとりあえず恋次の赤い頭を殴っておいた。

今の浮竹は、何も知らない子猫のように純真だった。

「京楽、このままでは浮竹はいつまで経っても記憶を戻さぬ。忘れ香の効果を消すお香は出回っていないのだ。かなり闇マーケットまで探したが見つからなかった」

「そんな!」

「魔王の、浮竹の手を借りるのはどうであろうか」

「魔王の!」

京楽はその手があったかと、嫌がる浮竹を抱きしめて、魔王城までテレポートする。

「ここはどこだ?」

『お、白猫の俺!少しだけ久しぶりだな』

「俺と同じ顔?お前は誰だ」

『え?』

『どうしたの、浮竹』

『白猫の俺が、俺のこと誰だって‥‥‥』

京楽が事情を説明する。

魔王の浮竹は、魔王城近辺でも忘れ香の効果を消すお香など出回っていないので、仕方なく自分の手を切った。

『ちょっと、浮竹?』

『魔王の血は、万能薬の代わりを果たす。一番手っ取り早い』

そう言って、血の数滴を浮竹に飲ませた。

血を飲んだ浮竹は、目を数度瞬かせた。

「魔王の俺!今、怪我治すからな?」

浮竹は、全てを思い出したようで、まずは自分のために傷を負った魔王の自分の傷を、魔法で癒そうとする。

『あ、そんなことしなくても勝手に塞がるぞ』

「それでも治す!」

浮竹は、魔法で魔王の自分の怪我を癒した。

「浮竹、ボクのこと思い出した?」

ゆっくり京楽が聞いてくるので、浮竹は長い息をつきながら。

「エロで色欲魔の京楽。俺の結婚相手で恋人で夫」

『エロの色欲魔。君、旦那なのにそう思われてるんだね』

幽鬼の京楽がクスリと笑う。

「ボクがエロいのは認めるけど色欲魔はないでしょ。君だけを愛してるよ?」

「うん」

浮竹は、京楽に抱きしめられながら、口づけをする。

『元に戻ってよかったな、白猫の俺!』

「わざわざ血を与えなくても、エリクサーとかあっただろうに」

『探すのがめんどくさかった。それに俺の存在まで忘れてしまっているとか、認めたくなかったからな』

『浮竹は、君の身を案じて血を与えたんだよ。本来、魔王の血は与えることは厳禁なんだけどね』

「そうなのか。すまない」

浮竹は、魔王の自分の頭を撫でる。

『ああああ、かわいい』

魔王の浮竹は、猫に姿になった浮竹を頬ずりして撫でまくり、喉の下をくすぐってゴロゴロいわせて、猫じゃらしで遊びはじめる。

「ああ、ボクの浮竹が‥‥‥この1週間ほとんど会話してなかったんだけど、まぁいいか」

記憶を失っている間、京楽のことを怖がり、二人きりになると浮竹は悲鳴をあげて泣き出すので、京楽は1週間一人で過ごし、浮竹の身は白哉に任せていた。

「魔王の浮竹ってすごいね。血が万能薬か‥‥‥神の秘薬エリクサーにも負けないね」

「にゃああん」

すっかり猫になって、猫じゃらしに夢中になる浮竹の隣で、同じく黒猫の姿になった京楽が猫じゃらしに反応する。

「ボクも遊んで」

『かまわんぞ?黒猫の京楽も、猫の姿になるとかわいいな』

京楽は、魔王城にいる間ずっと浮竹の傍にいて、傍にいられなかった1週間を埋めるようにしていた。

魔王城で豪華な食事をもらい、昼寝をして、チュールをもらい、猫用シャンプーで体を洗ってもらって、ブラッシングされて、猫じゃらしで遊んでもらう。

魔王の浮竹も幽鬼の京楽も、浮竹と京楽を甘やかす。

「はぁ、極楽」

「極楽だな」

魔王の浮竹と一緒に風呂に入っていた。薔薇風呂だった。猫の姿で猫かきをして泳いでいた。

『溺れないようにな?』

「大丈夫だ。いざとなったら人の姿に戻る」

「ボクも」

魔王の浮竹は、二人をうんと甘やかして、幽鬼の京楽と一緒に、猫の姿のままの浮竹と京楽と同じベッドで眠る。

肌寒い季節になってきたので、猫姿の浮竹と京楽はかわいい湯たんぽ代わりであった。

拍手[0回]

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら
新着記事
(10/12)
(10/12)
(10/10)
(10/10)
(10/10)
"ココはカウンター設置場所"