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黒猫と白猫の亜人56

白哉は、亡くなった妻であった緋真の七回忌を行っていた。

白哉は大陸でも名高い四大貴族の朽木家の当主である。亡き妻、緋真との間には子ができず、その後に白哉が好きになったのは、猫神様の大神官である恋次だった。

恋次は男性なので、白哉のこと思う親戚たちが見合いの話を幾度ももちかけてきたりした。

七回忌をなんとか済ませて、ハエのようにたかる貴族たちを無視して、一息つく。

「浮竹、京楽も済まない。私の都合で、兄らに迷惑をかけた」

「そんなことないぞ白哉!白哉の奥さんだたってことは、俺たちにとっても大事な人だ!あ、恋次君は別にどうでもいいけど」

「酷い!」

浮竹の言葉をこっそり聞いていた恋次が、嘆く。

「君は猫神様の大神官でしょ?こんなにしょっちゅう神殿を抜け出して平気なの?」

「平気じゃないけど、今日は白哉さんの大切だった人の七回忌ってことで、特別に休みもらってますんで」

「じゃあ、そうじゃないときは?」

「こっそり抜け出してます。大神官なんて、出番あんまないし。猫神様の祭事がない時は、たいていのことを大司教がしてくれます。まぁ、掃除とか雑用おしつけられますけど。ばれたらまぁお説教と減俸くらい」

「君、白哉君が好きなのをいいことに、食事たかりにきてない?」

「ぎくっ」

「そうなのか、恋次君」

「そ、そんなことないっすよ。給料は‥‥まぁ、そこそこもらってますから」

目を泳がせる恋次を、白哉は仕方なく恋次の分まで今日の夕食を出すように、メイドに言っておく。

「恋次。兄は、私と夜を共にしたいと言いながら、何気に食事代をケチっているな?正直に答えよ。嘘をついたら、1カ月は抱かせてやらぬ」

「はい、飯たかってます。すんません」

1カ月の禁欲がきついのか、恋次は素直に白状した。

「うわぁ、恋次君、みじめ」

「みじめだな。猫神様の大神官が聞いて呆れる」

京楽と浮竹はそう言うが、恋次にしてみれば神殿を抜け出すたびに減俸で、なかなか白哉に会いに行く時間が作れないので、無断で抜け出して会いにきているのだ。

大神官は雑用がけっこう忙しく、月に4回くらいしか会いにこれない。

白哉と会いたいので、恋次は週に3日は会いにきていた。

減俸はされまくりで、大神官としてそれなりの給金を本来ならもらっているはずなのだが、金貨15枚くらいしか実際もらっていなかった。

普通の人間(亜人含む)一人が生活するには、月に金貨20枚はいる。

少ししゃれた服を買おうとすると、金貨5枚がふっとぶとか当り前の世界。

恋次も金貨15枚では流石にやっていけない。

でも、白哉に会いたいので、神殿は抜け出す。結果、金貨15枚まで減俸される。

大神官の給料は、本来なら金貨150枚はある。それが15枚。

どれだけ減俸されているのかと、つっこみたくなる額であった。

「まぁよい。兄が会いに来てくれないのは寂しいからな」

「白哉さん、大好きだーーーー」

浮竹と京楽の目の前でキスをしてくるものだから、白哉は顔を赤くして、恋次を投げ飛ばす。

「あああ、愛がきくううう」

「アホだな」

「アホだね」

その日はそのまま夜を皆で共にした。

久し振りに白哉と寝れるので、浮竹も京楽も、恋次さえも猫の姿で、白哉の豪華すぎるふかふかのベッドで丸くなって眠った。

朝起きて、浮竹が人の姿になって服の腕をまくる。

「今日の朝食は俺が作ってやろう」

「浮竹、兄は料理ができたのか?」

「最近、魔王の俺のところで修行してきたんで、8割は成功する。2割は見た目は同じだけど味はダークマターだ」

「白哉君、浮竹をとめてえええ」

ダークマターを食わされると分かって、京楽が白哉に助けを求めるが、白哉は許可した。

「私は、ダークマターでも兄が作ってくれるものなら食すぞ?」

「ああ、白哉大好きだ!」

浮竹が白哉に人の姿でハグするものだから、恋次が嫉妬する。

「離れてください!白哉さんは俺のものです」

「恋次君にも、ダークマターな?」

にこにこ浮竹がスキンシップの邪魔をされて、そう言う。

浮竹は厨房に消えていき、オムライスを4人分作ってもってきた。

見た目はおいしそうだった。匂いもいい。

「京楽お前にはこれな?」

「浮竹、味見した?」

「するわけないだろう」

からからと、浮竹は明るく笑う。

「で、俺の分がこれで、♡マークをケチャップでつけたのが白哉の分で、こっちが恋次君の分」

浮竹は、できたてのオムライスを食堂の席についた皆の前に置く。

「「「「いただきます」」」」

皆で、そう言って食べた。

「ぴぎゃあ!」

まず、京楽が一口食べて、気絶した。

「やっぱり、京楽の分はダークマターか。京楽の分を作ると何故かダークマターになるんだよな」

それは愛なのだろうか。

「ぎょええええええ」

恋次の分もダークマターだった。

「なんすかこれ!じゃりじゃりしてて酸っぱくて甘くて辛い!」

「浮竹家に伝わる、秘伝の黒い液体を隠し味に使ってみたんだ」

「なんすかその危ないものは!」

「恋次、黙って最後まで食せ」

「拷問だあああ」

そう言いながらも、涙を流しなながら恋次は浮竹の作ったダークマターを完食した。

「お、全部食べるとは思ってなかった。京楽みたいに、気絶してそのまま食べなくてもいいのに」

「あ、白哉さんはめましたね!?」

「ふふっ」

白哉はもだえ苦しむ恋次を見るのが楽しいのか、面白そうに小さく艶やかに笑う。

「浮竹、兄の料理、なかなかうまかった」

「だろう?今日は2割の確率のダークマターが2個もできてしまった。ちょっと残念なできだが、白哉にダークマターがいかないなら、それでいい」

浮竹は、自分でもダークマターを処理できる。

恋次の分がダークマターでもおかまいなしだ。

その日の昼食と夕食は、ちゃんとしたシェフが作ったもので、京楽もまだいる恋次も、泣いて喜びながら食すのであった。

「むう、また食事皆の分作りたいな」

「兄が望むのであれば、厨房をいつでも貸すぞ?」

「ありがとう、白哉!」

浮竹は、それからも昼食やら菓子を作って京楽と恋次を気絶させるのであった。




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