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黒猫と白猫の亜人58

「魔王の俺、助けてくれ!!」

いきなり浮竹がやってきて泣きながら言うものだから、魔王の浮竹は何事かと、幽鬼の京楽と共にまずは落ち着かせた。

「京楽が、森で狩人の罠にかかって!外そうとしたんだが、俺の力だけじゃどうにもならなかったんだ!」

『どこの森だ!?』

「コモドの森」

『あの一帯は、強力な魔物が出るね。黒猫のボクのことだから、大丈夫だとは思うけど急ごう』

3人は、コモドの森にやってくると、早速罠にかかった京楽を発見する。

『魔封じも使われているな』

『ここらの魔物は魔法も使うからね。素材が高く売れるから、罠をしかけたんだろうさ』

幽鬼の京楽が、ばか力で京楽の足に食い込んでいる罠を壊す。

「ん‥‥‥浮竹?」

『衰弱してるね。ヒーリング』

幽鬼の京楽が回復魔法をかけるて傷は塞がるが、衰弱はなかなか治らないので、とりあえず魔王城にいって、水分をとって安静にすることになった。

『確か、コモドの森での狩りは禁止されているはずだな。あの森は魔物でも希少なものが多い。どこの狩人が罠をしかけたか、探れるか京楽』

『任せてよ。犯人が残した魔力の匂いから‥‥この魔王城の城下町にいるね』

『分かった。場所まで案内してくれ』

「どうするんだ?」

傷のせいで熱を出した、京楽の額の水に濡れたタオルを取り換えてあげながら、浮竹が首を傾げる。

『首、もいでくる』

『ボクたちの友人を傷つける結果になったし、密猟しようとしてたんだ。それなりの罰を受けてもらわないとね?』

魔王の浮竹と幽鬼の京楽は、犯人の家をつきとめて中に入る。

「ぴぎゃあああ」

「ぴいいぴいい」

そこには、たくさんのケージにつめこまれた、希少な魔物や動物がいた。

全部、保護条令が出ていて、捕まえはいけない種族であった。

「ひいい、魔王様、幽鬼様、このような場所に何の御用で?」

『お前だな。コモドの森に罠をしかけたのは。あの森での狩猟は禁止されている。俺の大切な友人が、罠にかかって酷い怪我をした』

「ひいいいいい、すみません、すみません」

『これ全部、レッドリストの種族だよね?しかもこの子たち、捕まえたら死罪になる子も含まれてるね?』

男は、青ざめた顔で、床に頭をこすりつける。

「許してくださいいいい」

『浮竹、首もぐっていってたけど、ボクに任せて?』

「ひいいい」

幽鬼の京楽は、肉食性の希少な魔物をケージから解き放つ。

『さぁ、君のエサが目の前にあるよ?』

京楽が、魔物を男に導く。

「ぎゃあああああああ!!!」

男は、生きたまま魔物に食われて死んでしまった。

『これ、首もいだほうが楽じゃなかったのか?』

幽鬼の京楽が、残酷に笑う。

『だってこいつ、黒猫のボクを傷つけたんだよ。この種族の魔物は、捕まえると死刑だし。首はねるような楽な死に方させるべきじゃないよ』

『それもそうだな』

魔王の浮竹は納得して、幽鬼の京楽と一緒に魔王城に戻ることにする。

家の中にいた希少な動物や魔物は、部下の者に命令して、元の生息地で野生に返すことにした。

「あ、京楽、気づいたか!?」

「ボクは‥‥確か、猫の姿で罠にかかって‥‥」

「魔王の俺と幽鬼の京楽に助けてもらったんだ」

魔王の浮竹と幽鬼の京楽がちょうどやってきた。

『ああ、意識が戻ったか。大分衰弱していたので、俺の血を飲ませた』

『君がかかった罠をしかけた奴は、殺しておいたから』

いつもはぼーっとしてることの多い幽鬼の京楽だが、怒ると恐ろしい。

「殺したの?そこまでしなくてもいいんじゃ」

「甘いぞ、京楽。もしもあのまま捕まっていたら、黒猫の亜人だってばれて、絶対売られてた」

浮竹が、京楽の半身を起こした背中を撫でる。

「ああ、でも罠にかかったのがボクでよかった。浮竹だったら、ボクがその罠をしかけた相手殺してた。そうだね、生きたまま昆虫に食わせるとか‥‥‥」

魔王の浮竹は、幽鬼の京楽とどこか考えが似てると思った。

二人の京楽は、普段は大人しく無害なのだが、怒らすと残忍になって怖くなるようだ。

少し魔王の浮竹は、そんな二人に呆れる。ここまで一緒か、とも思った。

『何はともあれ、無事でよかった』

魔王の浮竹が、浮竹の頭を撫でる。

『白猫の俺が、ずっと心配してたんだぞ?』

「うん、心配かけてごめんね、浮竹」

京楽は、浮竹を抱きしめる。

魔王の浮竹と幽鬼の京楽がいることも忘れて、軽くキスしてからディープキスを繰り返す。

『おっほん』

魔王の浮竹が咳払いをすると、浮竹は真っ赤になって京楽を突き飛ばす。幸い、京楽はベッドに半身を起こした状態だったので、怪我はなかった。

『ふふふ。仲、いいね?』

『微笑ましいな』

幽鬼の京楽と魔王の浮竹に茶化されて、浮竹はますます真っ赤になる。

「ま、魔王の俺、あっちに行こう」

魔王の浮竹の手をとって、浮竹は別の部屋に移動する。

「泣いてたら、沢山できた‥‥‥」

世にも稀な高貴なる、白猫の亜人のみが作り出せる、国をも建国でき、または戦争の火種にもなるような額の白涙石が、ころころ転がっていた。

『これは‥‥‥全部、宝物庫行きだな』

「す、すまん。京楽のこと思って泣いてたら、どんどん結晶になって、止まらなかった」

魔王の浮竹は、浮竹の猫耳を柔らかく撫でると、その頭全体を撫でた。

『お前が悪いんじゃない。でも、この件は俺との秘密だ。いいな?』

「うん」

浮竹は、怒られなかったのでぱぁぁと笑って、京楽たちがいる方に戻っていく。

『はぁ‥‥‥宝物庫が、しまいには白涙石でいっぱいになったりして』

そんな贅沢なため息をつきながら、魔王の浮竹も浮竹の後を追って、京楽たちのところに戻るのだった。

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