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黒猫と白猫の亜人6

王国の貧民街で、疫病がはやりだした。

人に感染する疫病で、亜人には感染しない。それを知った京楽と浮竹は、白哉が感染する危険があるため動けないので、白哉に代わって炊き出しなどをした。

白哉はとても優れている。

はやった疫病が、かつてオルタニア帝国ではやったものだと突き止めて、錬金術で特効薬を作り出して、早くも量産の体制をとった。

「ありがたや、ありがたや」

病気にかかっていない貧民たちは、京楽と浮竹の炊き出しに感謝して、病人の分ももらっていく。

「なぁ、京楽」

「なんだい」

「人間って、なんでこんなに貧富の差があるんだろうな?」

京楽は生まれたのは猫の獣人の里だった。黒猫の亜人が生まれたと騒ぎになったが、里の者全員に愛されて、育ってきた。

王国にやってきて、はじめて人間には貧富の差がこんなにもあるのだと気づいた。

「仕方ないよ。貴族や王族は、恵まれているから。白哉君は、4大貴族だけど、こうして貧民にも手を伸ばす。いい貴族だと思うよ?」

「うん。白哉は金持ちだけど、困っている人をよく助けるから、いい貴族だ」

浮竹の中の貴族のイメージは、平民を虐げる貴族であった。

記憶をなくしているが、かつて貴族に虐げられ、性的暴行を受けていたので、浮竹の中の貴族のイメージは悪い。

「さぁ、炊き出しが終わったら、特効薬を配ろう」

「ああ」

京楽と浮竹は、猫神様の使いと言われて、貧民から崇められた。

「猫神様の使いのお方。感謝申し上げます。特効薬で、まだ幼い息子が一命をとりとめました」

「感謝なら、4大貴族の朽木白哉にするといい」

「でも、実際私たちを救ってくれたのは、あなた方猫神様の使いのお方です」

「あーうーん。ボクたち、猫神をあんま信じていないんだよね」

「あら。てっきり、猫神様の神官かと」

「そういや、猫神の神官とか恋次は言っていたな。疫病をよせつけないようにって、白哉の傍にいるけど‥‥‥本来なら、あいつが率先して貧民街を助けるべきなのに」

「まぁまぁ、浮竹、落ち着いて。特効薬も配り終わったし、後は白哉の傘下の教会が炊き出しやら病人の世話をするって」

浮竹と京楽は、白哉の家に帰還する前に念入りに体と髪を洗って、新品の服を着る。万が一にでも、白哉のところに病原菌をもちこまないためだった。

「浮竹、京楽、兄らのお陰で特効薬も配り終えたし、助かった」

「白哉が、貧民街に手を刺し伸ばすから、俺たちも手を刺し伸ばしたに過ぎない。それにしても、他の貴族はくそだな。貧民街を放置してる」

「まぁ、税をあまり納めない元はスラム街の住民だからな。王国の城下町を巡る壁の内側に入れただけ、ましなのだ」

「昔は、スラム街あったのか。今の貧民街より、酷かったのか?」

「人がすぐ死んで当り前の世界だった。犯罪の温床地帯で、女子供は昼でも街を歩けない、そんな有様だった。私の亡き父上が改革を行い、スラム街の住民を城壁の中に入れた。犯罪はなくならないが、騎士団が巡回するようなっているので、大分ましになった」

「そっか‥‥‥白哉君も苦労してるんだね」

京楽は、白哉の頭を撫でる。

「ああっ、ずるい!」

奥のほうに隠れていた恋次が出てきて、白哉を京楽から引きはがす。

「れ、恋次」

「あ、恋次君、君は猫神の神官だろうに。貧民街に一番に手を差し伸べるべきは、君のはずなんだよ」

「俺は、好きで猫神の神官になったんじゃねぇ。白哉さんの安全のほうが守る価値がある。実際、貧民街のやつらが、助けてほしいとこの家に群がってきた。騎士団に任せたけど、白哉さんは対応しようとしていた。疫病の者もいる中、だぞ」

「恋次、もうよい」

白哉が割って入る。

「でも、白哉さん」

「兄は、もう帰れ」

「嫌です。今日は泊まっていきます」

「はぁ‥‥もう、好きにせよ」

恋次は、ガッツポーズをとるが、白哉は疲れていたので早めに就寝してしまい、夜行性になって暇な恋次は、京楽と浮竹の家を訪ねてきた。

「こんな時間になんだい、恋次君」

「白哉さんが寝ちまった。俺は最近夜行性になってるから暇で」

浮竹も目を覚ます。

ちょうど、深夜の0時になったところだった。

「恋次君、こっちにこい」

浮竹が、恋次を手招きする。

「なんすか、浮竹さん」

ゴン。

浮竹は、恋次の頭にベッドの近くに置いてあった木材を手にとると、恋次の頭を殴った。

ベッドをちょっと改装しようと用意していた木材であった。

「ちょ、浮竹!?恋次君、大丈夫?」

恋次の返事はない。

完全に気絶して、白目をむいていた。

「これで、眠ったことになるだろ」

「浮竹、いくらなんでもやりすぎなんじゃあ。スリープの魔法を使うとか、方法はあるでしょ」

「めんどくさい」

浮竹は、ベッドのわきに気絶した恋次をね転がして、一応毛布をかけてやる。

それから、大きな欠伸をした。

「俺は、もう一回寝るぞ」

「あ、ボクも寝る」

結局恋次は、朝まで意識を取り戻さないのであった。

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