黒猫と白猫の亜人4
「おーい、浮竹?」
「んー?」
浮竹は、白哉がもっている図書館で、魔法に関する本を読んでいたのだが、いつの間にか眠気がきて眠ってしまっていた。
「いかん、眠ってしまっていた」
「まぁ、時間はいくらでもあるんだから、急ぐ必要はないよ?」
浮竹は、京楽が魔法を使えると知って、自分も使えるのだろうかと白哉に聞いてみたのだ。結果、魔力が高く魔法は使えるそうだ。
本来なら、浮竹は王族であった。
隣国の王家の王女が、浮竹の本物の母親であった。
その母親は、浮竹が生まれた瞬間から王位継承権を与えず、ろくな教育もせずに暮らさせた。浮竹には妹がいたのだが、会うことも話すことも禁じられていた。
浮竹の義理の父に当たる者が、浮竹の美しさにやられて浮竹を犯したことで、それまで存在を黙視していた母親の王女は、浮竹を奴隷商人に売った。
その存在は流れ流れて、今は白哉を主とする、京楽と同じで白哉の猫だった。亜人であるが。
白哉にとっては、大切な友人であった。
浮竹が魔法を使いたいと言い出した時、家庭教師をつけようかという案も出たのだが、それなら自分が教えると京楽が名乗りでた。
しかし、京楽は人に教えるのが壊滅的に下手だった。
なので、白哉が暇な時に直接白哉から教えてもらい、あとは図書館で知識を増やしたり、瞑想して魔力コントロールがうまくなるようにがんばった。
「ファイア!」
浮竹が、手のひらに小さな火を生み出す。
それは、生活魔法とも呼ばれ、魔法が使える者の多くはその火を生活の基礎に使う。
「ウォータ!」
今度は、ふよふよと浮遊する水の玉が現れる。
「アース!」
石礫が生まれる。
「ウィンド!」
そよそよと、風がおこる。
浮竹は、魔法の基礎となる4大属性の魔法の全てが使えた。
それは、非常に珍しい。
普通、使える属性は2つまで。
更に、浮竹は氷、雷、光の属性の魔法も使えた。
京楽は風と火属性が使えた。
白哉は、4大貴族の朽木家当主らしく、基本の4大属性に氷、雷、光、闇、無、生命、緑の魔法が使えた。
生命や緑の魔法が使える者は、王国でも数えるほどしかいない。
白哉は生まれながらの魔法のサラブレッドであった。
「京楽、俺は4大魔法の他に氷、雷、光の魔法が使えるそうだ!白哉に、氷と雷と光の魔法を習おうと思う。4大魔法は、魔法書を読めば魔法が使えるから、師匠は必要ないと言われた。あと、京楽から魔法を教わるなと言われた」
京楽は、だーっと涙を流していた。
「魔力ぐーんと伸ばして熱いって感じてにょーんってすると、フレアサークルって魔法が使えるよ」
涙を流しながら、浮竹に教えてみる。
「うーんわからん。フレアサークル」
京楽の言った通りにしてみると、アイスランスの魔法が出た。
「やっぱり、京楽、お前魔法教えるの下手だな。魔法大学に通うことも考えてみたんだが、白哉が目立ちすぎるから駄目だと言われた」
「まぁ、ボクたち黒猫と白猫の亜人は、人間にとって珍しい上に一部の者からすれば喉から手が出るほど欲しい存在だからねぇ」
獣人マニアなら、まずコレクションとして奴隷にしたがる。
中には、剥製にしたがる者もいる。
世界は、黒猫と白猫の亜人に厳しかった。
「他の獣人は普通に往来しているのに、何故に俺たちの黒猫と白猫だけ、狩りの目的にされるんだろうな?茶色や白銀、金、赤、青といった猫の獣人は普通に暮らせるのに」
「ボクたちは、特別なんだよ。黒猫の亜人は、黒ミサに捧げるために臓物が必要になり、また一部の病気を治す薬とされている。効果なんてないのにね?」
「白猫の亜人は‥‥‥見目がいいから奴隷にされるとか。俺はなってないけど」
白哉の、記憶抹消の魔法はまだ効果があるようで、奴隷にされていた頃の記憶は浮竹の中にはない。
「明日、ボクの故郷でボクが通ってた魔法大学で魔法の講義があるんだよ。生徒でない者も受けれる授業なんだけど、出てみる?」
「出たい!」
「じゃあ、耳は帽子で隠して、尻尾は色を染めようか」
「ああ、そうか。京楽は、そうやって魔法大学に通っていたのか?」
「うん」
「じゃあ、申し込みだけしておくね?」
「ああ」
次の日になり、浮竹は白い猫耳をニットの帽子で隠して、白い猫の尻尾を茶色に染めて、同じくニットの帽子で黒い猫耳を隠し、尻尾を茶色に染めた京楽と、魔法大学の講義を受けた。
「無属性の、消滅魔法と重力魔法、圧巻だったな」
「そうだね。ボク、白哉君以外ではじめて無属性の魔法を使える人と出会ったことになるよ。教師になれるのかぁ。白哉君も、多分教師になれるね?」
「そうだな。白哉の教え方はいいから」
京楽の風の魔法のテレポートで、住んでいる王国に戻った浮竹と京楽は、猫の姿になった。
猫にたくさん囲まれている、浮竹瓜二つの人物を見つけたからだ。
通りすがりの猫に聞いてむる。
「あの人、誰だい?」
「にゃあ(知らないの?今の魔王だよ)」
「魔王‥‥‥浮竹、白哉君の家に戻ろう」
「ああ‥‥でも、声を交わしてみたい」
『あ、そこの黒猫と白猫、亜人だな?』
「行こう、浮竹」
京楽に急かされて、魔王なる自分と瓜二つの人物を何度も振り返って診ながら、浮竹と京楽は主である白哉の家に戻るのであった。
「んー?」
浮竹は、白哉がもっている図書館で、魔法に関する本を読んでいたのだが、いつの間にか眠気がきて眠ってしまっていた。
「いかん、眠ってしまっていた」
「まぁ、時間はいくらでもあるんだから、急ぐ必要はないよ?」
浮竹は、京楽が魔法を使えると知って、自分も使えるのだろうかと白哉に聞いてみたのだ。結果、魔力が高く魔法は使えるそうだ。
本来なら、浮竹は王族であった。
隣国の王家の王女が、浮竹の本物の母親であった。
その母親は、浮竹が生まれた瞬間から王位継承権を与えず、ろくな教育もせずに暮らさせた。浮竹には妹がいたのだが、会うことも話すことも禁じられていた。
浮竹の義理の父に当たる者が、浮竹の美しさにやられて浮竹を犯したことで、それまで存在を黙視していた母親の王女は、浮竹を奴隷商人に売った。
その存在は流れ流れて、今は白哉を主とする、京楽と同じで白哉の猫だった。亜人であるが。
白哉にとっては、大切な友人であった。
浮竹が魔法を使いたいと言い出した時、家庭教師をつけようかという案も出たのだが、それなら自分が教えると京楽が名乗りでた。
しかし、京楽は人に教えるのが壊滅的に下手だった。
なので、白哉が暇な時に直接白哉から教えてもらい、あとは図書館で知識を増やしたり、瞑想して魔力コントロールがうまくなるようにがんばった。
「ファイア!」
浮竹が、手のひらに小さな火を生み出す。
それは、生活魔法とも呼ばれ、魔法が使える者の多くはその火を生活の基礎に使う。
「ウォータ!」
今度は、ふよふよと浮遊する水の玉が現れる。
「アース!」
石礫が生まれる。
「ウィンド!」
そよそよと、風がおこる。
浮竹は、魔法の基礎となる4大属性の魔法の全てが使えた。
それは、非常に珍しい。
普通、使える属性は2つまで。
更に、浮竹は氷、雷、光の属性の魔法も使えた。
京楽は風と火属性が使えた。
白哉は、4大貴族の朽木家当主らしく、基本の4大属性に氷、雷、光、闇、無、生命、緑の魔法が使えた。
生命や緑の魔法が使える者は、王国でも数えるほどしかいない。
白哉は生まれながらの魔法のサラブレッドであった。
「京楽、俺は4大魔法の他に氷、雷、光の魔法が使えるそうだ!白哉に、氷と雷と光の魔法を習おうと思う。4大魔法は、魔法書を読めば魔法が使えるから、師匠は必要ないと言われた。あと、京楽から魔法を教わるなと言われた」
京楽は、だーっと涙を流していた。
「魔力ぐーんと伸ばして熱いって感じてにょーんってすると、フレアサークルって魔法が使えるよ」
涙を流しながら、浮竹に教えてみる。
「うーんわからん。フレアサークル」
京楽の言った通りにしてみると、アイスランスの魔法が出た。
「やっぱり、京楽、お前魔法教えるの下手だな。魔法大学に通うことも考えてみたんだが、白哉が目立ちすぎるから駄目だと言われた」
「まぁ、ボクたち黒猫と白猫の亜人は、人間にとって珍しい上に一部の者からすれば喉から手が出るほど欲しい存在だからねぇ」
獣人マニアなら、まずコレクションとして奴隷にしたがる。
中には、剥製にしたがる者もいる。
世界は、黒猫と白猫の亜人に厳しかった。
「他の獣人は普通に往来しているのに、何故に俺たちの黒猫と白猫だけ、狩りの目的にされるんだろうな?茶色や白銀、金、赤、青といった猫の獣人は普通に暮らせるのに」
「ボクたちは、特別なんだよ。黒猫の亜人は、黒ミサに捧げるために臓物が必要になり、また一部の病気を治す薬とされている。効果なんてないのにね?」
「白猫の亜人は‥‥‥見目がいいから奴隷にされるとか。俺はなってないけど」
白哉の、記憶抹消の魔法はまだ効果があるようで、奴隷にされていた頃の記憶は浮竹の中にはない。
「明日、ボクの故郷でボクが通ってた魔法大学で魔法の講義があるんだよ。生徒でない者も受けれる授業なんだけど、出てみる?」
「出たい!」
「じゃあ、耳は帽子で隠して、尻尾は色を染めようか」
「ああ、そうか。京楽は、そうやって魔法大学に通っていたのか?」
「うん」
「じゃあ、申し込みだけしておくね?」
「ああ」
次の日になり、浮竹は白い猫耳をニットの帽子で隠して、白い猫の尻尾を茶色に染めて、同じくニットの帽子で黒い猫耳を隠し、尻尾を茶色に染めた京楽と、魔法大学の講義を受けた。
「無属性の、消滅魔法と重力魔法、圧巻だったな」
「そうだね。ボク、白哉君以外ではじめて無属性の魔法を使える人と出会ったことになるよ。教師になれるのかぁ。白哉君も、多分教師になれるね?」
「そうだな。白哉の教え方はいいから」
京楽の風の魔法のテレポートで、住んでいる王国に戻った浮竹と京楽は、猫の姿になった。
猫にたくさん囲まれている、浮竹瓜二つの人物を見つけたからだ。
通りすがりの猫に聞いてむる。
「あの人、誰だい?」
「にゃあ(知らないの?今の魔王だよ)」
「魔王‥‥‥浮竹、白哉君の家に戻ろう」
「ああ‥‥でも、声を交わしてみたい」
『あ、そこの黒猫と白猫、亜人だな?』
「行こう、浮竹」
京楽に急かされて、魔王なる自分と瓜二つの人物を何度も振り返って診ながら、浮竹と京楽は主である白哉の家に戻るのであった。
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