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黒猫の皇妃10

性懲りもなく、近衛騎士採用試験に、海賊の頭である阿散井恋次がきていた。

「おーい、ルキア」

「恋次!?貴様、仲間はどうした!海賊は!?」

「海賊やめた。俺はこの国の、皇族の血の流れを受け継ぐ侯爵家の人間だから、皇帝の一護でも処刑はできないはずだ」

「ほお。いい度胸してるじゃねーか」

一護が、ルキアを下がらせて、剣を構える。

「俺は、近衛騎士になりにきたんだ。ルキアを守るために」

「私も騎士だぞ!守られなくとも、自分の身は自分で守れる」

「俺に拉致られてたじゃねーか」

「あれは!一護、とにかく剣をおさめてくれ」

「仕方ねえな」

一護は、剣を鞘におさめる。

「ま、俺は近衛騎士の試験受けてくる。またな、ルキア、一護」

「呼び捨てにすんな!」

一護は怒っていたが、恋次を処刑するだとか、簿縛するだとかは言わなかった。

阿散井恋次は、本当に皇帝の血の流れをくむ侯爵家の跡取り息子で、父親は帝国の執務大臣であった。


「気に入らねぇ。ルキア、恋次が近衛騎士になっても、油断するんじゃねえぞ」

「分かっている」

やがて、恋次はあっけなく近衛騎士の試験に受かり、ルキアではなく一護の護衛に配置された。

「なんでてめぇなんて守らなきゃなんねーんだよ」

「そりゃ、こっちの台詞だ!」

二人はいがみ合うが、それなりに仲はよく、ルキアを安心させた。

「一護、恋次、アップルパイを焼いてみたのだ。食してくれ」

「おいルキア、恋次になんてやることねーぞ」

「んだよ、一護。やる気か?」

「なんだよ、この赤猿!」

「オレンジツンツン頭が!」

「何を!?」

「なんだよこの野郎!」

「二人とも、仲良くせんか!」

ルキアが、二人に蹴りを入れる。

「いってええ。ルキア、何するんだよ!」

「ルキア、どっちの味方なんだよ!」

ルキアは、いがみ合う二人の口に、切ったアップルパイをつめこむ。

「うまい」

「うめぇ」

「貴様らの二人分と、浮竹殿と京楽殿にも焼いた故、渡してくる」

「あ、俺もいく。京楽さんに本借りてたんだ」

一護は、ルキアと並んで歩き出す。

恋次は、昼食休憩なので、護衛から外れて食堂に向かった。


「京楽殿、浮竹殿」

「お、ルキアちゃんじゃないの。元気?一護くんもいるのか」

「アップルパイを焼いた故、おすそわけに」

ルキアがアップルパイを差し出すと、京楽が受け取った。ついでに、一護は京楽に借りていた本を返す。

「ありがとうね。ルキアちゃん。浮竹は、その、寝込んでるから」

「何か病気にでも!?」

「いや、そういうわけじゃ」

「ちょっと調子が悪いだけだ」

浮竹が現れて、アップルパイを食べた。

「うまいな。一人で作ったのか?」

「侍女に、手伝ってもらった。作り方を知らなかったので」

「ありがとうな、ルキアちゃん」

「いえ‥‥‥‥」

ルキアは、京楽と浮竹の関係に顔を赤くしつつ、去っていく。

「ありゃあ、感づかれちゃったかな?」

「俺たちの関係を知っていたら、普通気づくだろう」

浮竹の首には、キスマークが残っていたのを、ルキアは目撃してしまったのだ。

「いちゃつくのはいいが、あんましルキアに影響出さないようにな」

「はいはい、分かったよ一護くん」

「承知している」

一護は、ルキアが去っていった後を、走って追いかけた。


「ルキア!」

「一護?」

「たまには、城下町に出てみないか。お忍びで」

「でも、見つかったらまた家臣に怒られるぞ」

「んなの、どうとでもなる。昼時だし、町の酒場にでも行こうぜ」

「う、うむ‥‥‥」

一護とルキアは、黒いフードつきの外套を着て、城下町に出かけた。

人々で賑わっていた。

「あの酒場だ。俺が贔屓にしてる店」

「わりと、小ぢんまりしているのだな?」

酒場はそんなに広くなかったが、ほぼ満席だった。奥のカウンターに座る場所を見つけて、一護とルキアは座る。

「ラム肉のソテーとフィッシュカレー、あとレモネードを二人分」

「あいよ!」

酒場は女主人と給仕の娘が三人。

「何かにつまった時、たまに息抜きにここにくるんだ」

「そうなのか」

「ルキアを連れてきてなかったなぁって思って」

「ふふ、嬉しいぞ一護。また、お前のことを一つ知った」

「酒は今日は飲まないのかい、一護の旦那」

「じゃあ、エールを二人分」

「そっちの子が、ルキアちゃんかい?」

「ああ、そうだ」

「かわいらしい子だね。そういや、黒猫の亜人が子を産む方法が見つかったって知ってるかい?」

その話題に、一護が食いついた。

「まじか!」

「ああ。なんでも、黒猫の亜人の子が成せないのは、生まれつきの呪いだそうだから、特殊な方法で解呪すれば、子ができるそうだよ」

「その話、詳しく聞かせてくれ」

一護は、黒猫の亜人が子を成せる術を知り、すぐに錬金術師を呼んで、ルキアに解呪を試みた。すると、呪いは解けた。

「ルキア。俺の皇妃になってくれ」

「一護‥‥‥喜んで」

ソウル帝国504年。

16代目皇帝黒崎一護は、ソサエティ王国の四大貴族出身の黒猫の亜人の少女を妃として、朽木ルキアは正式な一護の妻として、皇妃になるのであった。




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