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魔王と勇者と23

浮竹がいる魔王城には、今日もエトナ教の神官がきていた。

「浮竹様、どうか私たちをお導きください」

「はいはい、帰った帰った。浮竹は確かにエトナの子だけど、ボクの伴侶だからね」

「おのれ魔王め。浮竹様をたぶらかすか」

「いや、浮竹は浮竹の意思でボクの側にいるんだから」

「京楽の言う通りだ。俺は俺の意思で京楽の側にいるし、エトナの子だからといってエトナ教も新エトナ教も、どちらにも組するつもりはない」

浮竹は、エトナ教の神官に冷たく言う。

「エトナの子である光輝く翼をもちながら、エトナの慈悲を与えないつもりか!」

だんだん暴言になってくる神官たちを、京楽がまとめて魔法でエトナ教の神殿に追い返す。

「助かった、京楽」

「エトナ教はちょっと野蛮だね」

「新エトナ教も似たようなものだ」

「覚醒したことが神エトナによって世界中に知らされたからね。魔神になたった元魔王のボクみたいに、一握りの者が知っているだけならよかったんだけど」

「まぁ、エトナ教が今が勢いづいているからな。聖女教は大分勢力が弱くなった」

「宗教はこりごりだよ」

「そういえば、魔王教もあったな」

「ああ、最初はあったよ。うざいからボクがつぶしたけど。エトナ教と新エトナ教も、必要であればつぶすよ。まぁ、最初に潰すのは聖女教だけどね」

京楽は、聖女教をつぶすためにいろいろと手を打っていた。

藍染と17代目聖女の子、聖者カインの保護も視野に入れている。

「魔王京楽、覚悟!」

聖女教の刺客が現れるが、京楽はファイアボールの魔法を詠唱破棄で唱えて消し炭にしてしまった。

「まったく、聖女教はろくでもないねぇ。藍染は、今のところ魔神になれないのに気付いているのかな?」

「いろいろ情報を集めているから、気づいているんじゃないか」

「そういえば、聖剣セイクリッドアポカリプスを奪いにこないね」

「聖剣セイクリッドアポカリプスで聖者を贄にしても、魔神になれないと分かったからじゃないか?」

「魔王京楽、聖女アナスタシア様のために‥‥ぎゃあああああああ」

「しつこいね。聖女教の者は魔王領地に住めなくなる法律作ろう」

次々と現れる刺客はどれも聖女教で、さすがにエトナ教と新エトナ教はいなかった。

そして京楽は、翌日には聖女教の者は領地からの撤退を法律にいれた。いると分かった場合、家と財産を没収するとしたので、多くの聖女教の者たちが京楽の納める魔王領から消えていった。

「聖女教をつぶすつもりだな”!魔王京楽を暗殺する」

「はいはい。暗殺するならせめて姿くらい隠してね」

「ぎゃああああああああああ」

「魔王京楽、伴侶のエトナの子がどうなってもいいのか!」

今度の刺客は、浮竹を人質にとった。

「あーあ、怒らせちゃうよ?」

「エトナの怒りを受けよ」

浮竹は、光輝く12枚の翼を出して、刺客を羽でずたずたにする。

「ぎゃあああああああああ」

こんな調子で、魔王城にには刺客の死体を掃除するメイドまでいた。

「メイドといえば、フェンリルの俺は元気にしてるだろうか」

「なんなら、様子見に行く?」

「お前、さぼる口実見つけるつもりだな」

「ぎくり」

「ほら、俺も手伝ってやるから、仕事終わらせよう」

「うん、ごめんね」

京楽は浮竹に謝る。

浮竹は、京楽の仕事を大臣たちに任せれるものは任せて、京楽しかできない仕事だけを片付けさせて、半日かかる仕事が2時間でかたづいた。

無論、浮竹が一緒に仕事をしたおかげだ。

「ああ、今日の分が終わった!明日は休みだし、元魔王のボクのところに泊まりにいこうかな」

「いいな。俺も泊まりにいきたい」

「もちろん、一緒だよ」



「ということで、遊びにきた」

『勇者の俺、紅茶はダージリンでいいか?』

「ああ、いいぞ」

『泊まっていくんだろう?一緒に寝ような?』

「ああ。お前はしっぽがふかふかだから寝心地がいいんだよな」

『ふふ。俺のしっぽ、いいだろう?』

フェンリルの浮竹は、真っ白いしっぽをゆらりと揺らす。

「あ、これ魔王城のシェフが作った仙桃を使ったジェラートだ」

『わぁ、うまそうだな!溶ける前に食べないと!それにしても、仙桃なんて高いもの、よく手に入ったな?』

「俺への貢物の中にあった。エトナ教徒がお布施やら貢物をもってくるんだ。いらないっていってるのに、置いて帰ってしまってな。仙桃は珍しいから、ジェラートに入れてもらった。疲労回復、状態異常を治す効果がある」

『ボクが食べも大丈夫かな?』

「大丈夫なはずだぞ。魔神だからって、何かがあるわけでもないだろう」

『いただきます‥‥‥ん、よく冷えてておいしいね。仙桃って、桃より味が濃いんだね』

ちなみに、仙桃のジェラートは溶けないようにアイテムポケットに入れて持ち運びした。アイテムポケットの中は時が止まっていて、溶けることはない。

「ボク、木苺のジェラートが食べたいかも」

珍しい京楽のリクエストに、フェンリルの浮竹は尻尾を揺らす。

『じゃあ、木苺つみにいこう。勇者の俺と』

「え、ボクは?」

『京楽の相手をしていてくれ』

「だってさ。チェスでもする?」

『チェスか。久しぶりだが、これでも昔は‥‥‥』



「木苺、いっぱいとれたな」

『これでジェラートだけでなくパフェも作ろう』

浮竹は、つんだ木苺で、フェンリルの浮竹がデザートを作るのを手伝った。

「ぶ、不器用ですまん。魔王城ではいつも料理はシェフがしてくれるから」

『はじめてにしては、よくできたほうじゃないか?味はいいぞ?』

木苺のジェラートをスプーン一口分すくい、フェンリルの浮竹は感想を言う。

「なんだか、照れるな」

『照れてる勇者の俺、かわいいぞ!』

「かわいいのはお前だろう。しっぽが素直だ」

フェンリルの浮竹のしっぽはぶんぶん振られていた。

『京楽たち、夕飯にしょう。デザートは、俺と勇者の俺が作った木苺のジェラートとパフェだ』

「へえ、浮竹料理できるんだ」

「教わりながらだがな」

京楽は、浮竹が一人で作った木苺のジェラートを渡される。

「あ、なんかいいね、こういうの。普通の夫婦みたいで」

「夫婦というか、俺たちは結婚しているだろう」

「それもそうだね」

浮竹と京楽は笑いあう。

フェンリルの浮竹と元魔王の京楽も、つられて笑う。

『浮竹、ボクの分のジェラート半分あげる』

『いいのか!?』

しっぽをぶんぶん振って、フェンリルの浮竹は元魔王の京楽から、ジェラートを半分もらった。

『冷たくておいしい。俺と勇者の俺が作ったんだが、うまいな』

目をきらきらさせるフェンリルの浮竹のしっぽは、ちぎれんばかりに振られるのであった。


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