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教師と式9

浮竹は、神鬼の京楽から連絡を受けて、刑事であった浮竹のマンションにきていた。

刑事であった浮竹は、鬼神の京楽の血のせいで覚醒し、鬼になってしまい、警察も辞めてしまったという。

「いるか。俺だ。浮竹だ」

『ああ、ちょっと待ってね』

『‥‥‥‥誰?』

鬼となってしまった浮竹は、浮竹を見て鬼神の京楽の服の袖をつかんで隠れる。

「俺は、お前の友人だった者だ」

『友人?俺は知らない』

「じゃあ、新しく友人になろう」

『春水とらない?』

「ああ、とらない。俺には俺の京楽がいる」

式の京楽が、浮竹の隣から鬼の浮竹を見て、頭を撫でる。

『春水にそっくり‥‥‥でも、春水じゃない』

「鬼神の京楽、当分の生活費と新しいマンションを用意しておいた。家具などは揃っているから、着替えとかをもっていくだけで引っ越しできる」

浮竹は、200万は入っていそうな封筒を渡してくる。

『ごめんね。ありがとう。浮竹がこうなちゃったからねぇ。そろそろ引っ越したいとも思っていたんだよ。お金はいつか必ず返すから』

「別に返さなくてもいいぞ?金には困ってないしな」

『とりあえず、最低限の荷物をまとめて新しいマンションに引っ越しするよ。警察の中から怪異が生まれたと知られると厄介だし』

「オートロック式だ。不審者は通れないだろ」

『高そうなマンションなんだね。ありがとう』

浮竹と京楽と、一緒についてきた白哉は車に鬼となった浮竹と鬼神の京楽の荷物をつめこんで、彼らが新しく生活を始めるマンションまで案内した。

そこは、高級マンションであった。

「ここの最上階だ」

『教師の浮竹って、すごい金持ちなんだね』

「俺じゃなくって俺の親が財産をもっていただけだがな」

最上階の部屋に案内すると、鬼の浮竹がバルコニーに出てはしゃぐ。

『高いし広い!』

「落ちたら大変だから、ほどほどにしておけよ」

浮竹の言葉に、鬼の浮竹は頷く。

『春水、こっちきてくれ。いい眺めだぞ』

鬼神の京楽は、鬼の浮竹の元にいってバルコニーから下の景色を眺めて、息を止める。

ここから落ちたら、鬼とはいえただではすまないだろう。

広がる景色を見渡して、鬼神の京楽はぐうううと腹を鳴らした鬼の浮竹のために料理を作ってやることにした。

『食材、買いにいかなくちゃ』

「そうだろう思って、適当に買ってきておいた。白米もあるぞ。炊飯器でたくだけだ」

『何から何まで‥‥‥本当に、ありがとう』

鬼神の京楽は浮竹に頭を下げる。

「よせ。気にするな」

「そうだよ。浮竹の好意なんだから、かしこまらずに受けとっときなよ」

式の京楽はそう言って、自分の部屋のように寛ぎだしてテレビをつける。

「家具は、これで足りるか?」

浮竹の言葉に、今はぼんやりしている鬼の浮竹をそっとしておいて、京楽が部屋中を見た。

『うん、問題ないよ。むしろ前の家の家具より揃ってる』

「ちなみに、賃貸だがこの部屋は1月50万だ]

『うへあ。払えそうもない』

鬼神の京楽は遠い目をする。

「俺の好意だ。払う必要はない。それより、今後どうしていくつもりだ?警察を辞めて現金収入がなくなっただろう。いつまでの俺の金で生活をする気もないのだろう?」

『ああ、うん、ちょっと小説家にでもなろうかと思ってる』

「小説家?」

『うん。暇つぶしで書いた小説をコンテストに出したら、新人賞とったんだよね。そのつてで、小説書いてやっていくよ。売れなきゃまた何か考える』

「そうか。たまにあやかし退治でお前たちの力を借りることもあるかもしれないが、その時はよろしく頼む」

浮竹は、じっと鬼神の京楽の傍にいる鬼の浮竹の頭を撫でる。

「俺はお前の春水をとったりしないぞ」

『ほんとに?』

「これが俺の京楽だ」

式の京楽の首根っこをつかむ浮竹。鬼の浮竹は、匂いをかいで不思議そうに首を傾げる。

『春水と同じ匂いがする。でも、春水じゃない』

「主、そろそろ時間だ。会合があったのであろう?」

「ああ、白哉教えてくれてありうがとう。遅刻するところだった」

『祓い屋の会合かい?』

鬼神の京楽は、浮竹の心配をする。

『会合で、悪い術者と会うかもしれないよ』

予兆のような言葉だった。

「まぁ、祓い屋といっても犯罪まがいの奴もいるからな。慣れている」

「主、早くせねば遅刻するぞ」

「ああ、白哉先に車を出しておいてくれ」

「分かった。京楽も行くぞ」

「あああ、ボクは浮竹の傍にいるのおお」

「ばかなことを言っていないで、こい。兄jは主の命令に逆らうつもりか」

「そんな気はないけど‥‥‥‥」

京楽は、鬼の浮竹を気に入ったようだった。飴玉をあげて、頭をなでてから白哉のあとを追う。

「しばらくは、覚醒しきるまでぼんやりしていたり、精神年齢が低くなっているかもしれないが、1週間もすれば元に戻るだろう」

浮竹は鬼になった浮竹の様子を見て、そう判断した。

『そんなことも分かるの?』

「人が鬼になったのも見たことがある。たいていは力に飲まれて暴走するが、もう一人の俺なら大丈夫だろう。では、会合があるので行く」

『浮竹、行ってらっしゃい言える?』

『ん。ん-、行ってらっしゃい』

浮竹は、微笑んで鬼の浮竹の頭を撫でる。

「行ってきます」

祓い屋の会合は、出ないと最近のあやかし事情に疎くなるし、お互いどうやっているのか探り合う場所でもある。力を誇示する場の意味もあった。

浮竹は最強と恐れられた桜の花神に京楽と、従うはずのない高貴すぎる強い椿の花鬼の白哉を従えている。

他にも数体式をもっていた。

「あの男には会いたくない。会わないと言いのだが」

浮竹は、京楽と白哉を従えて会合に出たが、会いたくなかった人物は結局会合には来ず、安心して自分の館に戻るのだった。

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