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二人のティリア「約束」

疑似太陽炉をつんだ機体が襲撃をかけるようになってきた。戦いは激しさをまし、ほんの僅かな休息も、いつ終わるのだろうかと内心で想うほどの激しい戦闘が繰り広げられる。

疑似太陽炉をつんだ敵機と、地上で戦いの火花を散らす。

なんとか撃退し、つかの間の平和がトレミーに訪れた。

「あなたが、いつかいなくなりそうで怖いのです」

ティエリアが、ロックオンの部屋で、彼に抱き付いた。

ロックオンは、デュナメスで大きな銃で敵を遠距離から叩き打つ、どちらかというと後方支援型のタイプである。接近戦ができないわけではないが、やはり接近戦はどちらかというと後方射撃ができないため、後方射撃で敵を撃ち落とす時よりは、腕が落ちてしまう。
そんなところを、敵にたくさん囲まれでもしたら。

ロックオンがいなくなるなんて、考えたこともなかったのに、新型の機体たちは疑似太陽炉をもっている。稼働条件がフラッグなどとは違う。ガンダムと互角にやりあえる腕の持ち主だっているだろう。

以前ロックオンが負傷し、ティエリアはヴァーチェで護衛をして、ロックオンをデュナメスごと回収したことがあった。大した傷ではなかったが、平和だった頃のティエリアの心は、大きく揺れ動いていた。

「あなたの側にずっといたい。あなたがいなくなるなんて嫌だ」

嗚咽まじりに、ロックオンの服を握りしめる。ロックオンは、静かにティエリアの頭を撫でた。

「俺がお前さんを置いていくなんてそんなことないから」

「本当に?」

「ああ、本当だ」

強く抱きしめられて、唇を重ねあわせる。中性のティエリアにとって、苦手だった肌を重ねる行為ももう慣れた。
舌が絡むほどに貪りあって、離れる。

ティエリアは眼鏡を外した。

涙が自然と流れてくる。

こんな、こんなことで。ロックオンがいなくなると考えただけで、泣いてしまうなんて。僕は、俺は、私はなんて弱くなってしまったんだろうか。
ヴェーダにリンクできていた頃と、まるで別人のようになってしまった。
それでも、ロックオンを手に入れた今、昔に戻りたいとは思わない。

「約束してください。離れないと。死なないと」

「ああ。いくらでも約束するさ」

「あなたは軽い」

「いやこれ性格だからな」

「それでも僕はあなたを信じる」

信じるしかいないのだ。そうしないと、胸が不安で潰されそうになる。

「今日はジャボテンダー体操をしましょう」

「おいおいこんな時にか」

「こんな時だからです」

ぶんと、ティエリアの手からジャボテンダーがうなり、ロックオンをべしっと叩く。

IQは高いのに、ロックオンと関わるとかわいくアホになるティエリア。いつもジャボテンダーの抱き枕を片手に、朝食はジャボテンダーの分までドリンクを置くというアホさ加減。

いっちにさんしと、二人してジャボテンダー体操をはじめるアホが二人トレミーにいました。
平和なので、誰も咎めません。

暗い気分に陥った時には、こうやって気分転換をするのだった。


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