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スケッチラフ

今日は先週に続いて、美術の授業がある。
クラスの二人一組になって、相手を鉛筆でデッサンするという簡単なもの。
簡単でいて、絵心がないとこれがなかなかに難しい。

「黒崎君、ご機嫌よ~う~」

ケイゴか水色とでも組もうかと思っていたら、ルキアが制服のスカートの裾をつかんで、猫かぶりの性格で挨拶してきた。
「一緒に組みませんこと?」

「たつきちゃん、私と組もう!」
向こうでは織姫とたつきが組むようであった。

「いや、俺はチャドに頼む」
「あ~ら、もう石田君と組んでしまわれたみたいですわ~」
何度聞いても、ルキアの変なこの言葉遣いには、鳥肌が立つ。

「じゃ、俺水色と」
「あーごめん、ケイゴと組んじゃった」
「じゃ、じゃあそこらの誰かに・・・・」

ルキアを振り切ろうとするが、ぎぎぎぎと、すさまじい力で腕をつかまれた。
「おい、私のモデルになれるのだぞ。こんな栄誉なことはほかにあるまい」
耳元での低いささやき。だから、それがいやなんだつーの。

「お前の絵のセンスは知ってるからいやなんだ!」

「あらおほほほ、褒められても何も出ませんわよ黒崎君」

結局、ルキアとペアを組んでデッサンスケッチをすることになった。場所は自由なので、背景もかかねばいけないので屋上を選んだ。空なら適当に雲かいて終わりだし。

まずは、一護が口に薔薇を加えて、変なポーズをとったルキアをデッサンした。適当なので、顔とかは雑だ。
(なんだよあのポーズ。口に薔薇くわえるとかどんなだよ・・・・)
心には思ったが、口には出さない。
口は災いの元になる。
それを一護は重々承知であった。

「では次は貴様がポーズをとれ。こうだ」

くねっ。
ヒーローゴッコの戦闘員のような変なポーズをとるルキアの言葉を無視して、適当に屋上の柵に体重を預けて空を見上げた。
綺麗に晴れている。
蒼穹。

「ふむ、こうか。こうだな。いや、こうか!!」

たくさんの鉛筆を用意したルキアは、自前のスケッチブックに、しゃしゃしゃと線を走らせていく。
「なぁ、もういいか。首が痛くなってきた」
「できたぞ!」
「ああ?もうか?」
「見ろ!!!」

一護は見た。制服を着たチャッピーらしい物体が空を飛んでいるのを。
空に浮かんでいるのは鳥か?
なんか枯葉にみえる。
太陽にかかれた顔はなんかすごい渋いものがある。ここだけタッチちげぇ。
飛んでいるチャッピーは、マントまでつけていた。
名札があって、黒崎一・・・ピーってかかれてた。

「ピーってなんだよ、ピーって!!!そもそもこれのどこが俺だ!」

「何をいう!兄様も褒めた私の絵の才能を否定するのか」

「ああ、全部否定してやるよ!このチャッピーマニアのへたくそが!」

「ええい。貴様なぞこうしてくれる」

「うわあああ!」

ルキアは怒って油性マジックを取り出して、一護の顔にチャッピーを描きだした。

ルキアの作品は、なぜかすばらしいと後日掲示板に飾られたそうな。

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