あなたの手で、殺してくださいⅥ
二人別々にシャワーを浴びる。
浴槽に湯をはり、ティエリアは肩まで浸かって足を伸ばす。
ジャボテンダーさんも、今日も一緒にお風呂だ。
風呂からあがり、パジャマを着て、ジャボテンダーがすった水分をぎゅうっとしぼり、デイジーさん開発の「一発で乾くんです」を起動させて、ジャボテンダーは一発で乾いた。
ティエリアは、乾いたジャボテンダーをぶんと、勢いよく刹那に投げつける。
お約束のように、それは刹那の顔に当たった。
「少し、ライルの様子を見に行ってくる」
「止めておけ」
「だめだ、彼も大切な仲間だから」
ティエリアは、ジャボテンダー柄のパジャマにジャボテンダーのスリッパと、ジャボテンダーづくしで、アニューの部屋にはいる。そこにライルの姿はなかった。
そのまま、ライルの部屋に向かって、勝手に暗号を入力してロックを解除する。
ライルは、ベッドの中で、天井を見ていた。
「ライル」
「心配しなさんな。あれから展望台に、この部屋で・・・何度もあんたに慰めてもらった。もう、泣いたりしないから」
「そう」
ライルは一生分の涙を流したかのように、はれぼったい目をしていた。
泣きつくした。いっぱい泣いた。泣くことが、ライルには必要だったのだ。
「もう、刹那に当たったりしねぇよ」
「私のお願いを、聞いてくれるかな?」
「は?」
ティエリアは、哀しそうな顔をしていた。
「見たでしょう。私の心の奥を。ブラックボックスを」
「それは・・・・」
「私の心の基盤は壊れている。だから、これ以上壊れない。どんなに辛いことがあっても」
「ティエリア・・・・」
「もしも、私が、イノベイターとして覚醒し、自分の自我が保てなくなったそのときは、君が引き金を引いてくれ。
刹那には、多分できない」
「おいおい、なに物騒なこといってんだ」
「言い切れないんだ。私は、自分が人間であると思っている。でも、イノベイターにあることに変わりはない。リボンズ・アルマークに支配され、皆に害を及ぼすようであれば、あなたの手で、殺してください」
「ティエリア」
「お願いです。刹那はきっと躊躇うから。あなたの手で、殺してください」
「分かった」
「残酷なことを頼んでごめんなさい。でも、自分の意思でどうしようもなくなってしまうかもしれない。今回のアニューのように」
「・・・・・・・・アニューは、戻ろうとしてた」
「知っています。でも、リボンズがねじ伏せた」
「リボンズ。絶対に、この手で殺してやる」
ティエリアは、すぐに刹那の部屋に戻った。
「ライルは大丈夫だったか?」
「うん。大分落ち着いたみたい」
ティエリアは、刹那の手を握る。
「どうした?」
「やはり、張れてしまったな」
刹那の、ライルに殴られた頬をそっとなでるティエリア。
「仕方ない」
刹那の言葉に、ティエリアは天使のように微笑んだ。
刹那。
君に覚悟があれば、僕を撃てるかい?
刹那。
君に自覚があれば、僕を敵とみなせるかい?
刹那。
どうか、願わくば。
そんなときが訪れた時は、審判をつげる鐘の音のように。
ライル、その手で僕の・・・・私の命を、絶ってください。
私は、誰も傷つけたくはないのです。
身勝手なお願いですみません。
もしも、私がリボンズに支配され、イノベイターとして覚醒してしまったら。
そこで、私は終わり。
あなたの手で殺されることを、切に願う。
ニールの血をひく、あなたに。それが、せめてもの・・・私の、償い。
あなたから、皆からニールを奪った私の償い。
あなたの手で、殺してください
浴槽に湯をはり、ティエリアは肩まで浸かって足を伸ばす。
ジャボテンダーさんも、今日も一緒にお風呂だ。
風呂からあがり、パジャマを着て、ジャボテンダーがすった水分をぎゅうっとしぼり、デイジーさん開発の「一発で乾くんです」を起動させて、ジャボテンダーは一発で乾いた。
ティエリアは、乾いたジャボテンダーをぶんと、勢いよく刹那に投げつける。
お約束のように、それは刹那の顔に当たった。
「少し、ライルの様子を見に行ってくる」
「止めておけ」
「だめだ、彼も大切な仲間だから」
ティエリアは、ジャボテンダー柄のパジャマにジャボテンダーのスリッパと、ジャボテンダーづくしで、アニューの部屋にはいる。そこにライルの姿はなかった。
そのまま、ライルの部屋に向かって、勝手に暗号を入力してロックを解除する。
ライルは、ベッドの中で、天井を見ていた。
「ライル」
「心配しなさんな。あれから展望台に、この部屋で・・・何度もあんたに慰めてもらった。もう、泣いたりしないから」
「そう」
ライルは一生分の涙を流したかのように、はれぼったい目をしていた。
泣きつくした。いっぱい泣いた。泣くことが、ライルには必要だったのだ。
「もう、刹那に当たったりしねぇよ」
「私のお願いを、聞いてくれるかな?」
「は?」
ティエリアは、哀しそうな顔をしていた。
「見たでしょう。私の心の奥を。ブラックボックスを」
「それは・・・・」
「私の心の基盤は壊れている。だから、これ以上壊れない。どんなに辛いことがあっても」
「ティエリア・・・・」
「もしも、私が、イノベイターとして覚醒し、自分の自我が保てなくなったそのときは、君が引き金を引いてくれ。
刹那には、多分できない」
「おいおい、なに物騒なこといってんだ」
「言い切れないんだ。私は、自分が人間であると思っている。でも、イノベイターにあることに変わりはない。リボンズ・アルマークに支配され、皆に害を及ぼすようであれば、あなたの手で、殺してください」
「ティエリア」
「お願いです。刹那はきっと躊躇うから。あなたの手で、殺してください」
「分かった」
「残酷なことを頼んでごめんなさい。でも、自分の意思でどうしようもなくなってしまうかもしれない。今回のアニューのように」
「・・・・・・・・アニューは、戻ろうとしてた」
「知っています。でも、リボンズがねじ伏せた」
「リボンズ。絶対に、この手で殺してやる」
ティエリアは、すぐに刹那の部屋に戻った。
「ライルは大丈夫だったか?」
「うん。大分落ち着いたみたい」
ティエリアは、刹那の手を握る。
「どうした?」
「やはり、張れてしまったな」
刹那の、ライルに殴られた頬をそっとなでるティエリア。
「仕方ない」
刹那の言葉に、ティエリアは天使のように微笑んだ。
刹那。
君に覚悟があれば、僕を撃てるかい?
刹那。
君に自覚があれば、僕を敵とみなせるかい?
刹那。
どうか、願わくば。
そんなときが訪れた時は、審判をつげる鐘の音のように。
ライル、その手で僕の・・・・私の命を、絶ってください。
私は、誰も傷つけたくはないのです。
身勝手なお願いですみません。
もしも、私がリボンズに支配され、イノベイターとして覚醒してしまったら。
そこで、私は終わり。
あなたの手で殺されることを、切に願う。
ニールの血をひく、あなたに。それが、せめてもの・・・私の、償い。
あなたから、皆からニールを奪った私の償い。
あなたの手で、殺してください
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