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あるモンスターテイマー

一護はモンスターテイマーだった。

ある日、強いモンスターのテイムを求めて魔物の森という場所に入ったのだが、迷子になった。

「まいったな。どっちからきたんだっけ」

そんな一護を守るのは、小さなフェンリルの子供だった。まだ小さいが、フェンリルとしては覚醒していて、氷のブレスは吐けるし、中級魔法までなら使えた。

「おい、そこの貴様」

「ん、空耳か?」

「そこの貴様だ!」

一護が声のする方を見ると、小さないのししの子供がいた。

「なんだ、罠にはまったのか」

小さないのししの足には、罠の歯がくいこんでいた。

「私は高貴なる存在だぞ。さぁ、遠慮なく私をこの罠から解放するがよい」

「生意気ないのししだな。まぁ、ガキだし食べられても食いでなさそうだしな。助けてやるか」

一護は、いのししの子供を助けた。

「よく助けてくれた。私はこの森の女王の朽木ルキアという。礼に、お前にテイムされてやろう」

「は?いのししの子供だろ。どう見ても弱そうだし虚言癖ありそうだから却下」

「はぁ!?この高貴なる私の言葉を疑うのか!」

「どこが高貴なんだよ!ただの汚いいのししの子供だろ!言葉はしゃべれるから、モンスターみたいだけど」

「汚いとはなんだ!」

「まぁいいか。テイムしてやるよ」

「テイムされてやろう。喜べ」

「ルキアつったっけ。メスか?」

ルキアは、人型になった。

十代半ばくらいの少女の姿になっていた。わりと気品がありそうな顔立ちに、衣服も高価そうなものを着ていた。

「人化できるのか」

「森の女王である私がお前にテイムされてやったのだ。喜べ。今日から貴様は私の下僕だ」

「いや、普通反対じゃないか?」

「うるさい!森の女王の力を見よ!」

ルキアは呪文を唱えると、緑を出した。

ちょっとだけ、雑草が生えた。

「つかえねぇ」

「しゅ、修行中なのだ!」

「ざこモンスターだな。一応テイムしちまったから、衣食住の面倒は見てやらないといけないか」

「だ、誰がざこモンスターだ!私は森の女王だぞ!」

「はいはい。じゃあその衣服だと目立つからこの服着ろ」

一護は、ルキアに自分のかえの衣服を渡す。ルキアの着ている衣服は高価そうで、目立った。

「名前、一応教えとく。俺は黒崎一護。Aランクのモンスターテイマーだ」

「私は朽木ルキア。森の女王だ。き、着替えるからあっちむいてろ」

「いや、まぁ少々かわいいけど、そんな貧相な体見ても俺は嬉しくないし」

「貧相とはなんだ!これから育つのだ!」

一護は、後ろを向いた。その間にルキアは一護の服に着替える。

だぼだぼだった。

それを、一護はかわいいと思ってしまった。

「お前‥‥‥まぁまぁかわいいな」

「美しいと言え!」

「はいはい。んで、雑草を生やす以外に何ができるんだ?」

「ふ。緑を支配できる‥‥‥‥といいなぁ。兄様が権限をもっていらっしゃるから、今は雑草を生やすので精一杯だ」

一護は深くため息をついた。

「つかえねぇ」

「う、うるさい!あと、癒しの魔法が使える。ほら、自分の足の怪我も自分で治したのだ」

「お、まじか!ヒール系ができるモンスターほしかったんだ」

「ふふふふ。役に立ちそうであろう?」

「まぁ、言葉使いが気になるけど、まぁいいか。ルキア、今日からよろしくな」

「うむ。もっと感謝しろ」

こうして、モンスターテイマーの一護はルキアという自称森の女王のモンスターをテイムするのであった。




「よく食うな」

「う、うるさい。ここ数日あの罠でほとんど何も食せていなかったのだ」

一護は、ルキアに食事を提供した。

ここは、魔物の森から一番近い町だった。

宿屋で飯を頼み、ルキアと一護は人間の食事、いつも連れ歩いているフェンリルの子供には肉を食べさせていた。

「女将、おかわり」

「おいおい、まだ食うのかよ。簡便してくれよ」

「まだまだ食えるぞ」

「1回の食事は銀貨1枚まで。今日は特別だぞ。もう銀貨3枚分食ってる」

「なんだ、貴様は貧乏なのか?」

「いや、フェンリルにも装備買ってやりたいし、今のとこクエストはこなしてるけど貯金中だからな。強いモンスターはオークションで売ってるときもあるから」

「ふむ。まぁ、私の衣服を売る許可をやろう。あの服は金貨20枚になる」

「まじかよ!早速売ってくる」

「あ、一護!」

ルキアが止める暇もなく、一護はルキアが着ていた服を手に道具屋までいって売っぱらい、金貨20枚もらってきた。

「いや、助かる。もっと食っていいぞ」

「むう。本当に売ってしまうとは。兄様からもらった服なのに」

「お前の兄ってことは、森の王の朽木白哉か?」

「ああ、そうだ。何故、兄様の名を?」

「お前、まじで森の王の朽木白哉の妹なんだな。白哉は森の王として有名だ。テイムできるような存在じゃない。高次元生命だ。森の王といったら朽木白哉だ。精霊王の一種だろ」

「そうだ。兄様は偉大な存在なのだ」

「その妹がこれか。緑の雑草生やすだけが精一杯なのに、自称森の女王」

ルキアは、顔を真っ赤にして怒る。

「わ、私はまだ修行中なのだ!それに森の管理は兄様がしている」

「ふーん。あ、宿は一緒の部屋だからな」

「き、貴様、最初から私の体が目当てで!」

「はいはい。もっと成長して大人になってから言ってくれ」

「一護、貴様!」

「まぁ、それなりにかわいいけどな」

くしゃりと頭を撫でられて、ルキアは顔を赤くする。結局、宿はルキアと一護は一緒の部屋でベッドも2つあった。ソファーにはフェンリルの子供が寝ることになった。

「兄様。私は、しばしの間この一護という男と旅をしてみようと思います」

ルキアは、真夜中に窓辺のプランターの緑にそう話しかけると、眠った。

黒崎一護というモンスターテイマーと、朽木ルキアという森の女王との旅は、ここから始まるのであった。

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