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小説掲載プログ
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あんたは俺のもの

「白哉!」

一護がそう呼ぶと、白哉は微かな笑みを浮かべて、一護を迎え入れた。

「ルキアとは、どうだ」

「ああ、ルキアとはうまくいっている」

愛してやまない義妹と付き合っている一護のことを、白哉はそれなりに好いていた。

一護なら、ルキアを幸せにしてくれると。

「隊長、一護と何を話してるんすか?」

「恋次、貴様には関係のないことだ」

その言葉に、恋次はむっとなった。

「関係なくない。俺と隊長はできてる。そういう仲だから一護、この人と仲良くするのもほどほどにな」

「恋次!」

白哉の怒った顔など、初めて見たかもしれない。

「恋次、貴様という男は・・・・一護、兄はもういけ」

「ああ。ルキアのことは俺に任せてくれ。それと恋次、俺は浮竹さんと京楽さんができてることを知っている。そういうことで嫉妬するなら、白哉がかわいそうだ」

「兄は・・・・優しいな」

かちんときた。

恋次には、白哉だけなのに。

「なんすか、まるで俺が優しくないみたいなものいい」

「恋次、貴様は乱暴だ。言葉も行動も」

「とろとろに優しくしたら、あんたは俺だけを見てくれますか」

「無理だな」

「じゃあ、やや乱暴になっても仕方ありませんね」

一護が去ったのを確認してから、白哉を抱き締めてキスをする。

「その気にならぬ・・・・・」

「じゃあ、そういう気になるようにしてあげます」

白哉は、恋次と距離をとった。

「貴様のことは好いておるし、それなりに特別だと思っている。それだけでは、足りぬのか?」

白哉が、悲しそうに目を伏せた。

長い睫毛が、頬に影を作る。

夜烏のような瞳は潤み、訴えかけてくる。

だめだ、今抱いては。白哉を傷つけつことにしかならない。

「あんたがそんな顔するなんて・・・・俺のこと、本当に特別なんすね」

そう分かっただけでも、十分だった。

「言ったであろう。それなりに特別だと」

「それなりってなんすか?」

「他にも特別はいる。ルキアのように」

「ルキアはまぁ・・・・仕方ないっすね」

男にしては華奢な身体を抱き寄せる。

「ん・・・・・・・」

舌が絡むキスを繰り返すと、白哉の夜烏のような瞳に艶がでる。

「その気になりました?」

「ならぬと、言っておる。させたとしても、心は開かぬぞ」

「それじゃ意味がない。確かにあんたの体も欲しいけど、一番欲しいのはあんたの心だ。俺を愛していないのは分かっている。でも、好きでいてほしい」

白哉は頑なに、恋愛感情では亡き妻の緋真のみを愛している。

恋次と体を交わせるような関係になって、10年ほどになっただろうか。

未だに、心を完全に開いてくれない。

きっと、緋真の存在が、今はもうないとしても、心に在る限り、完全に恋次のものにすることはできないであろう。

そう分かっていても、白哉の全てが欲しかった。

体も、心も。

「いつになったら・・・・あんたは、俺だけのものになってくれるんすか」

「さぁな。永劫に、私は貴様一人だけのもにはならぬであろうな」

「いつか、その心も全部、俺で満たしてみせる」

「できるものなら、やってみろ」

恋次は、噛みつくようなキスを、白哉に与えた。

「まるで野良犬だな」

「どうとでも。あんたは、俺のものだ」

恋次の世界は、ルキアと共にあった。ルキアを養子に迎えた白哉の姿を一目見た時から、運命は変りだした。

研磨し自己鍛錬を繰り返し、6番隊の副官となり、白哉に近づいた。

そして、その心と体を手に入れる隙をずっと伺っていた。体の方はわりと簡単に手には入れたが、心がどうしても完全に手に入らない。

緋真の存在に、嫉妬をしまくった。

「私は、私だ」

「それでも。俺のものだ」

まるで、自分に言い聞かせるように。恋次は、そう囁くのであった。


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