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おめでた~終章

「なぁ、一護。最近気分が悪いのだ。ムカムカするのだ。あと、食事の好みが変わった・・・生理がきていない。これはなんなのだ?」

一護、ルキア、白哉と並んで夕餉での会話に、一護は驚いて声も出ないようだった。

「ルキア、それはおめでただ」

「おめでた?なんですか、それは、兄様」

「子供ができたということだ」

「子供?子供は、コウノトリが運んでくるのではないのですか」

どこまで天然ぼけなんだ。

そう思いながらも、一護はガッツポーズをとった。

「一護。兄は、今後ルキアが出産するまで、夜の営みはなしだ」

それにがっくりする一護。

「兄様、私が出産!?私の体に、赤ちゃんが?」

「そうだ」

「やったぞ一護!無事生まれたら、なんと名付けよう!一護2世なんてどうだ!」

「前に考えてたって言ってたじゃねーか。女の子なら苺花、男の子なら一勇って」

「そうであった・・・・・赤ちゃんのためにも、栄養をとらねばな」

今はつわりはないので、食べれそうだった。

ルキアは、朽木家専用の医者に診てもらい、懐妊しているのがはっきりした。

今、3か月目らしい。

一護は、それを誰よりも先に家族に話した。ソウルチケットをもっているので、現世に行くのは簡単だった。

「ぬぁんだって!ルキアちゃんが懐妊!?このバカ一護の子を!?俺はおじいさんになるのか!」

父親の一心は、うれし泣きをはじめた。

「へー。一兄に子供かー。生まれたら、絶対連れてきてよね!」

「やっぱり、子供も死神なの?」

双子の妹たちの反応はそれぞれだった。

あとは現世で結婚した石田と石田織姫になった織姫に話した。

「おめでとう、黒崎君・・・じゃなかった、朽木君!」

「おめでとう、黒崎」

石田は、黒崎と呼ぶことにするようだった。

「茶虎は・・・・今どこにいるかわかんねーから、メールでもいれとくか」

尸魂界に戻って、死神仲間の友人や知人に報告する。

みんな、お祝いを言ってくれた。

「一護が父親かぁ。感慨深いのお」

「夜一さんは結婚とかしねーのか?」

「わしか?わしには・・・・・・」

「夜一様に近づくな、この上級貴族風情が!」

砕蜂が、がるるるると、警戒心むき出しにしていた。

「ああ・・・これいると、結婚なんてできそうにねぇな」

「そうじゃろ」

けらけら笑いだす夜一。

恋次に知らせると、恋次は自分のことにように喜んだ。

「今からベビーセット贈るって、早いか?」

「ちょっと早すぎるんじゃねぇか?男か女かもまだ分かってないんだぞ」

「何はともあれおめでとう、一護。ルキアを幸せにしてくれた上、子供まで授かるなんて天はルキアの味方だな」

「無事生まれてくるといいな」

「大丈夫だ!心配すんな!」

「そうだな。今までなんとかなってきたんだ。今回も大丈夫だろ」


その頃、朽木家では。

「兄様、懐妊したときはどう過ごせばよいのですか」

「身重になるまで、普通の生活を続けて良い。8か月を過ぎたころからは、休養をとれ。出産後は、産後休暇だ」

「おお、休みまくれるのですね!」

「子が流れる可能性があるので、あまり激しい運動は禁物だ。戦闘行為は自粛しろ」

「はい、兄様」

朽木白哉も、妻だった緋真は懐妊しなかったので、知識は書物で読んだものだった。

「何、大抵のことは一護がしてくれる。ルキアは、ただ黙して栄養をとり、子を慈しめばいい」

「そういうものなのですね!」

白哉も嬉しそうだった。義妹の他に家族が増えるのだ。一護が家族に加わったが、別段とうれしいわけではなかった。ただ、義妹の幸せを優先した。
そのために黒崎一護を朽木一護にして、人間だった一護を無理やり死神にしたのだ。


時はめぐる。

7か月が経ち、ルキアは女児を出産した。

「はぁはぁ・・・・・私の、赤ちゃん・・・・・・・」

「女の子だ。名前は、朽木苺花だな」

ルキアは、生まれたばかりの赤ちゃんを抱いた。

無事に生まれたというニュースは、すぐに瀞霊廷中に駆け巡った。

ベビー用品が、朽木家の一護とルキアの住んでいる別宅にあふれかえった。

「なんか微妙に重複してる品が多いんだよな」

「絵本とか・・・・どれだけ気が早いのであろうな?」

苺花をベビーベッドで寝かせて、一護はルキアにキスした。

「どうだよ、もう一人欲しくねぇか?一人っ子だと、可愛そうだろ・・・・」

「ん・・・そうだな・・・・」

久しぶりに体を重ねあう。

首が座るようになり、一護はルキアと苺花を連れて、現世の家族のところへきた。

「苺花ちゃんか!ルキアちゃんににてかわゆい!」

「おい、親父!いつまで苺花を独り占めしてるんだよ!」

「わーかわいい」

「目元は、一兄似じゃないか?」

双子は、苺花をあやしていた。

石田の家にも行った。雨竜も織姫も、祝福してくれた。

尸魂界に戻ると、屋敷に恋次の姿があった。

「どうしたんだ、恋次」

「おう。せっかく生まれたんだ。記念写真でも撮らねぇか?結婚式の時も撮ってただろ」

恋次は、自動カメラを設置して、ルキアと一護、苺花を抱いた白哉の隣に佇んだ。

パシャリ。パシャリ。何度か撮影して、終わった。


世界は廻る。時は弓のように過ぎる。

「今日も美人ですね、チカさん」

苺花は、8歳になっていた。

「待ってよ、お姉ちゃん」

弟ができた。名前は一勇。

「遅いぞ、一勇。今日は師匠に修行の稽古をつけてもらうのだ。一勇は見てるだけな。お前、弱いから」

「ずるいよ、お姉ちゃんだけ!」

「べーだっ!チカさん、師匠いますか?」

苺花が師匠と呼んでいるのは、一角だった。時折、恋次も師匠として稽古をつけてくれる。

「ああ、一角ならもうすぐくるんんじゃないかな」

「お姉ちゃん!」

「ああもう、うるさいな!」

ぽかりと一勇の頭を殴ると、一勇は泣きだした。

「お姉ちゃんがぶったー。うわーん」

一勇はまだ5歳だ。木刀を握るにはまだ早いので、見学だけだった。

「おい二人とも、仲よくしねーとだめじゃねぇか」

「「お父様!」」

「私もいるぞ」

「お母様まで!」

「どれ、今日は俺が訓練につきあってやるよ」

「本当ですが、お父様!」

「僕は?」

「一勇には、私が鬼道を教えてやろう」

「わーい、ありがとうお母様」


一護とルキア。

出会って、結婚まで3年。子ができるまで4年。
長女が8歳、長男5歳。

朽木一護、朽木ルキアの名は、朽木家に永劫と刻まれた。

次の当主は長男の朽木一勇。長女の苺花が当主となることを拒否したせいであった。

4人と、朽木白哉は長いこと朽木家を支えた。

やがて、4大貴族という概念がなくなるその日まで。

永遠に近い時を過ごすのであった。


         一護とルキア fin


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