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京楽ホイホイ

「いやぁ、疲れたねぇ。喉も乾いたし」

学院で、打ち合いの試合が行なわれた。いつも京楽とペアになる浮竹は、今回はペアではなかった。護身術の一つとして身につけた蹴りの体術で、他を圧倒していたが。木刀で打ち合いになる前に、すでに決着をつけていたりした。

「何か飲み物もってくるよ。何がいい?」

「白い液体が飲みたい」

「えっ、それって僕の精液ってこと?」

「・・・・・・カルピスだ、死ね」

にこにこにこにこ。浮竹は、微笑んでいた。でも、目が笑っていなかった。

ドカッ。

股間を蹴り上げられて、京楽はその場に蹲って、自分が言った冗談を後悔していた。

浮竹には、この手の冗談は通じない。

浮竹が戻ってくると、林檎の天然水のペットボトルが2つあった。

「僕の分までもってきてくれたんだね」

ごくごくごくごく。凄い勢いで飲みだして、京楽の分まで飲みだした。

「ああああ」

「冗談だ」

飲みかけの飲料を渡した。喉の渇きをそのままにしてやれと思ったが、二人分も飲めず、結局飲みかけのものを京楽に渡してしまい、それは京楽にとってのご褒美になってしまった。

「浮竹の飲みかけの、りんごの天然水・・・・・ぺろぺろぺろ」

だめだこいつ。変態だったんだ・・・・。

「まぁ変態はこのあたりで置いといて・・・・・」

変態って、置いておけるものなのか?

「京楽、俺も行くんだが、一度健康診断を受けてみないか?」

「え、なんで?僕は健康だよ」

「そう見えて、実はここが悪かったとかいうことあるからな。俺は肺を見てもらったんだが、気管にも少し傷がいってて、この前処置してもらったんだ」

「へぇ」

「咳込んでたから、それで気管がおかしくなったらしい」

「僕も受けてみようかな。浮竹、それはいつ?」

「来週の日曜だ」

「分かった、あけておくよ」

こうして、京楽は健康診断を受けることになった。


次の週の日曜日。

4番隊の病院に、二人はいた。

「3番の方、脳のレントゲンを撮るので奥へどうぞ」

「3番は僕だ・・・・まぁ、何もないだろうけど」

そう言ってでてきた京楽を、少しして医師が呼び止めた。

「京楽春水君だね?」

「はあ、そうですが」

「脳に異常が見つかった」

その言葉に、浮竹が顔色を変える。

「すみません、京楽の友人なんですが、一緒に行ってもいいですか」

「ああ、浮竹君か。君も一緒に来なさい」

レントゲンをとった写真を見せられる。

「ここに、異常があるのが分かるね?」

「はぁ」

「異常?」

全然わからなかった。

「脳には脳内伝達物質(ドーパミン)が働く神経系統があります。それは脳の性欲の源です、精巣から分泌されるテストステロンがそれに大きく関与していて」

専門用語で、ちんぷんかんぷんだった。

「精神的な部分が大きいと思われるけど、簡単に説明すると、本来女性に向けて放たれるべき性欲が、違う他者に向かって働いています」

「あ、浮竹にだ」

「カウンセリングと、投薬の治療をおすすめします」

「んー。僕、別に困ってないしいいや」

「すみません、京楽の変態って、病気からきてるんですか?」

「どういえばいいのかな・・・・まぁ、ほとんどが心の問題だけど、病気からではないかな」

「よかった・・・・変態が病気じゃなくって」

「ちょっと何その言い方!浮竹、まるで僕の変態が病気からきてるって思わないでよ。純粋で繊細な恋心が君のパンツをかぶったり匂いをかいだりして、君の抱き枕をおかずに・・・!」

京楽の襟首を締め上げながら、移動した。

「あーはいはい。結局は健康体ってことだから、帰ろうか」

「うげー苦しいいいいい」

首を締め上げられたまま移動する。

念のため、男性ホルモンの働きを正常にする薬をもらったが、京楽はそれを飲まずに捨ててしまった。

「どうして捨てるんだ。女性をまた好きになれるかもしれないじゃないか」

「いや、僕は普通に今だって女性が好きだよ?でもそれ以上に浮竹を好きなだけで。女性の裸体と浮竹の裸体があったら、浮竹の方に吸い寄せられる」

「この変態が!ゴキブリホイホイに、もしも俺の下着があったら・・・」

「あ、絶対僕ひっかかるね!京楽ホイホイだ!」

「それいい案かもしれない・・・今度、作ろうかな・・・・・」

「ええっ!僕はゴキブリじゃあないよ!」

「似たようなものだろうがこの変態が!」

「酷い!僕とのことは遊びだったのね!あんなに愛してるって言ってくれたのに!」

「いつどこでだ!」

京楽の頭を拳でぐりぐりすると、京楽がギブアップした。

「痛い痛い、マジでそれ痛いから!」

「この変態が!」

「浮竹、それは僕にとって褒め言葉だよ!」

もう手遅れだ。

脳がいってしまっている。

薬を飲んでもだめだ。

変態だから、仕方ないか。

浮竹は、大きくため息をつくのだった。






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