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さくらさくら

季節は巡り巡る。

また、春がやってきた。

梅の花も散り、白哉のもっている千本桜の季節だ。

朽木家の屋敷では、今桜が見ごろな季節を迎えていた。

恋次と恋仲になって、10年以上の年月が経っていた。

この思いは、変わらない。

恋次が愛しい。いないと、不安になる。恋次が笑うと、心が穏やかになる。

「隊長、今日も花見っすか?」

恋次が、一人桜の散る縁側で酒を飲んでいると、勝手に入ってきて、白哉から酒を奪い、恋次は自分でも飲んだ。

「何をしにきた」

「隊長の顔を見に。この屋敷では出入り自由にされてますんで」

「そうか。桜が見ごろなのだ。お前も、花見をするか?」

「隊長が花見するなら、俺もします」

最初は、生意気な副官だと思っていた。力を求め、噛みついてきて、まるで野良犬のようだった。

ユーハバッハとの戦いで新たな卍解を手に入れて、恋次はまた変わった。

白哉をこえたいという願いは変わらないが、噛みついてくるようなことはなくなった。

元から好きだと言われていた。その思いに答えられなかったのは、緋真の存在が大きい。

冬に椿の花をもらった。

隊花だから、朽木家は椿がおおかった。

髪に飾られて、悪い気はしなかった。愛しさがあふれ、あの椿はいまだに氷室で氷に閉ざされたまま、残されている。

「恋次。愛している」

「隊長!?いきなり、どうしたんすか!酒の飲みすぎっすか!?」

「違う。ただ、純粋に愛しいと思ったからだ」

「あーもう、あんたは俺をあおるのうまいですね!」

恋次は、白哉にかみつくようなキスをする。

外なので、それ以上のことはしなかった。

「ふふ‥‥あの野良犬のようだった恋次が、今や血統書つきの犬のようだな」

「人を犬扱いしないでください」

「犬のようだと、他に言われたことは?」

恋次は、言いにくそうに。

「ルキアと一護からなら‥‥‥」

そう言って、顔を赤らめた。

「たまに見せるお前の恥じらいは、かわいいな」

「な!かわいいのは、隊長のほうです!」

縁側に座り込んで、なぜか置いてあったもう1つの盃で、酒を注ぎ恋次は飲む。

「これ‥‥かなり強いっすね。大丈夫ですか、隊長。酔いつぶれたりは」

「もう、とっくに酔っている」

「ですよね。素面の隊長が、俺を犬扱いすることはあれど、血統書つきとかいうことないっすから」

「眠い」

「ああ、もう、いきなり寝ようとしないでください!」

縁側でごろりと横になって、白哉は眠そうに目を閉じた。

「隊長、隊長!!!」

恋次の声が、遠い。

眠りに滑り落ちていった。



夢を見ていた。

緋真と、花見をする夢を。

「見てください、白哉様。桜が満開です」

「緋真、あまりはしゃぐでない。今日は体調がいいとはいえ、そなたは病の身。いつ倒れてもおかしくはないのだぞ」

「私が死んでも、愛しい方ができたら、結婚してくださいませね?」

「バカなことを。私は、そなた以外を愛するつもりはない」

嘘をついた。

今、白哉は恋次を愛している。

「すまぬ、緋真」

「いいえ、白哉様、私は幸せです。私を好いてくれた方が、また別の誰かを愛して、前へ向かって進まれている。緋真は、白哉様を空から見守っています」

「緋真!」

そこで、目を覚ました。

傍には、恋次が眠っていた。

眠っていてくれてよかったと、安堵する。

恋次は、白哉の口から緋真の名前が出ることを、あまり好きではない。

もういない、恋敵なのだ。

「恋次‥‥私には、お前が必要なのだ」

恋次の赤い髪を撫でて、白哉は恋次に触れるだけのキスをする。

「恋次‥‥愛している」

「俺も愛してますよ、隊長」

「恋次、いつから起きて‥‥」

「隊長に髪撫でられたあたりからっす」

白哉は、恋次の赤い髪をひっぱった。

「いてててて」

「寝たふりをするな」

「すみません、つい。でも、睦言をしているわけでもないのに、隊長に愛してるって言われて、すごく嬉しいです」

「戯言だ。忘れろ」

「そんなこと、できません」

恋次は、白哉を押し倒す。

「ここで抱けば、1ヵ月の禁欲になるが、いいのか?」:

「わぁ、すみません。禁欲だけは勘弁です!」

恋次は白哉の上からどくと、白哉を抱きしめた。

「桜の中の隊長って、いつ見ても心がざわつきます。このまま一緒に千本桜が散るように、隊長自身も散ってしまうんじゃないかって」

「昔も、同じようなことを言っていたな」

「覚えてるんすか」

「かすかに、だがな。私は私だ。桜のように、散ったりはせぬ」

「わかっちゃいるんですけどね‥‥‥」

恋次は、白哉を抱きしめる腕に力をこめてから、舌が絡み合う深い口づけをした。

「隊長。あんたは、俺の太陽だ。ないと、生きていけない」

「その言葉、そっくり返す」

「隊長‥‥」

「禁欲1か月」

「うっ‥‥」

恋次は、ため息をつきながら、白哉から離れる。

「今度は、ルキアや一護も誘って、花見しましょう」

「それまたよいな」

ちなみに、一護はルキアの夫だ。

本当の死神になって、13番隊の副隊長をしている。

「恋次、お前はもう朽木家の家族も同然」

「そう言ってもらえると嬉しいっす」

恋次は、嬉しそうに笑いながら、白哉をまた抱きしめるのであった。


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