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桜のあやかしと共に27

術者の浮竹と夜j刀神の家でお泊りをした浮竹と京楽は、今度は3億する高級タワーマンションの京楽の家に二人を招いた。

『ああ、あいかわずお金持ちって怖い。このベッド‥‥天蓋ついてるんだけど』

術者の浮竹が、京楽が割り当てた部屋を見て、その部屋に置いてあるアンティークや絵画を見て、気絶しそうになっていた。

「自由に使ってくれてかまわないよ。夜刀神のボクは、術者の浮竹と一緒に寝るんでしょう?」

京楽の言葉に、夜刀神がこうもり姿で術者の浮竹の頭の上にいて、もちろんだとばかりに頷く。

『ボクは浮竹から離れたくないからね』

「じゃあ、夕ご飯がでいたら呼ぶから、それまでまったりしててよ。今、浮竹が料理作ってるから」

『その、便利屋の京楽。ありがとう』

こうもり姿の夜刀神は人の姿をとると、術者の浮竹と京楽を二人きりにさせて、キッチンで料理を作っている浮竹をからかいに行った。

二人きりにすることにしたのだ。

『その‥‥この前の指摘とか‥‥泊めてくれたりとか』

術者の浮竹は、嬉しさからか、白い狐耳がひょっこり現れて、2つの尻尾も出ていた。

「尻尾と耳、出てるよ?」

『へ、あ、ほんとだ。えへへへへ‥‥夜刀神と同じ姿をしているからかな。それとも、お前が優しいからかな。精霊の俺だともっと甘えちゃうんだが』

京楽は、術者の浮竹には、愛しい浮竹とうり二つなので、なるべく優しく接していた。

「ねぇ。耳と尻尾、触っていい?」

『え、あ、いいぞ』

もふもふしたくて、京楽は術者の浮竹の耳と尻尾をもふもふした。

『ふふ、くすぐったい』

「耳と尻尾か。いいなぁ。ボクの浮竹にもあげたい」

『精霊の俺に、耳と尻尾をはやすのは無理だぞ。怪しい薬を使ったら、できなくもないが』

「そこまでして、浮竹に耳と尻尾を生やさせようとは思わないよ」

『うん。お前なら、そういうと思ってた。俺の耳と尻尾で我慢してくれ』

京楽は、遠慮なしでもふりまくった。

『ひゃん。あ、なんでもない!』

術者の浮竹は、真っ赤になって、もふもふされて気持ちよくなったなどと言えないでいた。

「そろそろ夕食ができるころだから、移動しようか」

『あ、ああ』

一方、キッチンでは。

「お前、じゃがいもの皮をむけと言ったが、なぜじゃがいもが残らない!」

『いやぁ、皮をむいてたつもりなんだけどなぁ』

「もういい。サラダを作ってくれ。野菜を洗って刻んで、ドレッシングをかけるだけだから、お前にでもできるだろ」

『野菜を切るね‥‥』

夜刀神は、包丁の上におかれたキャベツと睨み合いっこしていた。

「どうした」

『キャベツ、どうやって微塵切りにすればいいの』

「お前、そんなこともできないのか!」

『あはははは、怒った怒った。ジョークだよ。微塵切りくらいできるよ』

わりと手慣れた手つきで、夜刀神は、キャベツを微塵切りにしていく。

人参を同じように切って、ちぎったレタスと洗ったプチトマトをいれて、ドレッシングをかけてサラダは無事できあがった。

「やればできるじゃないか」

『君、ボクを過小評価しすぎでしょ。じゃがいもの皮むきは一番苦手なだけで、あとはわりとそつなくこなすよ?』

「夜刀神が料理だと‥‥明日、槍が降るな」

『酷い!』

浮竹は、笑いながらちゃんと皮を自分でむいて、一口サイズにきったじゃがいもと人参、玉ねぎを軽く炒めて、鍋にうつしてお湯をそそぎ、カレーのルーをいれた。

『それにしてもカレーだなんて。しかも普通の。君のことだから、またどこかのコースメニューみたいなの作ると思ってたよ』

「術者の俺が、高級なものは苦手そうだから、カレーにした。こったカレーを作ることもできるが、術者の俺が倒れては大変だからな」

『君も、変わったね』

「何がだ」

夜刀神は、昔を思い出す。

お互い、血の匂いを密かにさせて会っていた。

『誰かを愛することで、人もあやかしも変われるってことかな』

「?意味が分からない」

『「春」君と出会った頃の君に戻っているってことさ』

「まぁ、京楽は「春」でもあるからな。カレーができた。皿をもってきてくれ」

今回のメニューは、シーフードカレーにサラダ、フルーツヨーグルトだった。

『わぁ、いい匂い。おいしそうだな』

「おかわりの分もあるから、遠慮なく食べるといい」

『いただきます』

術者の浮竹は、浮竹の作ったシーフードカレーを食べて、幸福そうな顔をする。

『すごくおいしい』

「口にあっていたなら、よかった。サラダは夜刀神に作らせた」

『京楽、がんばったんだな』

『ボクも、少しは料理くらいできるよ?』

いつもは術者の浮竹に作ってもらうので、料理ができないように見えるが、一応料理はできた。

ただ、味のほうはなんとも言えないが。

「浮竹、ボクも手伝ったのに」

「お前はいつも手伝ってくれるから、今日はおやすみだ。術者の俺と話し込んでいただろう」

「いや、耳と尻尾が出てたからもふらせてもらってただけだよ」

「いいなぁ。なぁ、術者の俺、俺にも後で耳と尻尾をもふらせてくれ」

『え、別にいいが‥‥‥』

『ボクの許可をとりなさい』

「なんで、術者の俺の耳や尻尾を触るのに、いちいち夜刀神の許可が必要なんだ。お前など、無視だ無視」

『酷い!』

夕飯をとりながら、談笑する。

穏やか夜は更けていく。

『んー‥‥お腹すいた』

深夜になって、がっつくのもどうかと、控えめに食べた術者の浮竹は、お腹がすいて起きてしまった。

胸に抱いていたこうもり姿の夜刀神はよく眠っていて、そっとベッドから抜け出す。

「なんだ、起きてきたの。どうしたの?」

京楽が、同じように起きてきていた。

『それが‥‥恥ずかしい話だが、遠慮して食べたせいで腹が減って』

「ああ、カレーまだ残ってるから、食べるといいよ。レンジでチンしてあげる」

『す、すまない』

術者の浮竹は、ぐーとなる自分の腹に、赤面していた。

『便利屋の京楽は、何していたんだ?』

「んー、ちょっと混じりあった魂を、なじませてた。「春」と癒合したせいで、今まで使えなかった浄化や治癒能力も使えるようになったから。浮竹の負担も減らせれるだろうろと思って」

ちなみに、白哉は友人が泊まりにいくると言ったら、ネモフィラ畑で一夜を過ごすと、35階のベランダから飛び降りていった。

『あ、いい匂い』

「カレーは、少し寝かせるとさらにおいしくなるからね。これ、浮竹に食べさせようと思ってたシュークリーム。浮竹には内緒だよ?」

『二人だけの秘密か。なんだか楽しいな』

術者の浮竹は、レンジで温めてもらったカレーを食べて、シュークリームも食べた。

『うまい』

「老舗で買ったからね」

『高かったんだろう』

「まぁ、ほどほどにね」

ぴょこんと、また術者の浮竹は白い耳と2本の尻尾を出していた。

『あ、また出た』

「制御できないの?」

『ある程度はできるけど、嬉しいことや楽しいことがあると、無自覚で出てしまう』

「そっか。ボクと一緒にいるの、楽しい?」

『ああ、楽しいし、優しくしてくれるから嬉しいぞ』

京楽は、苦笑する。

「夜刀神が知ったら、ちょっと嫉妬しそうだね」

『夜刀神は、どうだろうな。嫉妬するのかな?』

「ボクだったら、浮竹が夜刀神とこうやって深夜に楽しく優しくってやってたら、少し嫉妬するけどね。「春」がまじったせいで、前みたいに激しく嫉妬することはなくなったよ」

『そうか』

「さぁ、まだ朝まで時間あるし、歯を磨いて寝なよ。ボクも寝るから」

『ああ。おやすみ』

「おやすみ」


朝になり、カレーの残りを食べようとした浮竹が、中身が空っぽになっているのに気づいて、こうもり姿の夜刀神にハリセンを食らわせる。

「お前、夜に勝手に食ったな!」

『誤解だよ!そんな女々しい真似はしないよ!』

「どうだか」

『あ、あの。ごめん、俺が夜に腹をすかせて、残っていた分全部食べてしまった』

「けっこう量あったぞ。大丈夫か?」

浮竹は、術者の浮竹に甘い。

『とてもおいしかった』

「それならいいんだ」

『ちょっと、ボクに謝罪はなし!?』

夜刀神がわめくが、浮竹は無視して朝食をつくりにキッチンに消える。

出された朝食は、バターをぬったトーストと、スクランブルエッグ、コーンポタージュスープだった。

「相変わらず、浮竹の作る料理はおいしいね。「春」であるボクもそう感じているよ」

『術者の俺、朝食を食べたら、ショッピングしよう』

「ああ、いいが」

術者の浮竹は、浮竹の手を握り、抱き着いた。

『やっぱり、精霊の俺は優しいな』

抱き着かれて、浮竹はどうしたものかという顔をしていたが、術者の浮竹の頭を優しく撫でた。

「そういえば、誕生日が近いんだったな。俺が、何か服をプレゼントしてやろう」

『本当か!?精霊の俺、できればペアルックにしよう』

「ええ?別に構わないが‥‥」

ペアルックでいると、まるで本当の双子のようだろうなと、二人の京楽は想像する。

『精霊の俺、大好きだ!』

手を握られて、いつもなら嫉妬おおおと言ってくる京楽は、「春」と融合したせいで、余裕の笑みで見守っていた。

夜刀神も、少し苦い顔をしているが、見守っていた。

朝食を食べ終えた4人は、安い服屋に出かける。術者の浮竹が高価な服なんていらないというので、安い量販店で買うことにした。

「これなんかどうだ?」

『春らしくていいんじゃないか』

術者の浮竹は、浮竹が選んだ服を試着して、ぴったりだったので買ってもらうことにした。

『ペアルック。精霊の俺も、同じ服を買おう』

「ああ」

こうして、ペアルックで手を繋ぎあったまま、術者の浮竹と浮竹は、背後から二人の京楽が見守る中、ショッピングを楽しむのであった。



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