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小説掲載プログ
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たまには優しい 院生時代の部屋

「ふんふーん」

京楽が、鼻歌まじりで洗濯物を干していた。

浮竹の洗い物も洗ってくれて助かったのだが、ベランダを見ると普通の院生の服以外にも、ずらりと浮竹のパンツが並んでいた。

アレ用のパンツで、汚れてしまったので洗っているらしかった。

その枚数、実に10。

最近、浮竹のパンツをまた盗まなくなったが、代わりに院生服が1着どこかへいってしまった。

どこだと探すと、京楽がアレ用のパンツと一緒に干していた。

手後れだった。

すでに、院生の服はナニに使われて、浮竹はもうあの院生服は着れないなと思った。

毎日院生の服で過ごすので、お互い10着くらいはもっていた。

1着がなくなったところでどうってことないのだが、ちゃんと分からせておかないと、京楽は浮竹の院生服を全部盗みそうだった。

ちょうど、学院の授業も終わり、夕食も食べ終わて湯浴みもして、自由時間になっていた。
寝るのは11時~0時くらいなので、あと3時間以上はある。

「京楽、ここにこい」

「何、浮竹」

(*´Д`)ハァハァと荒い息をついた京楽がやってくる。

「浮竹の匂い・・・すんすん。浮竹、今日もかわいいね」

「お前、院生の服1着盗んで、ナニに使ったな?」

ぎくりと、京楽が目を逸らす。

「ちゃんとこっちを見ろ、京楽。俺は怒っているわけじゃない」

「うん・・・ごめん」

「と思ったら大間違いだこのバカ!何院生の服までナニに使ってやがんだお前!今度、違う院生の服を盗んだら、お前のパンツコレクション、鬼道で全部灰にしてやる!ついでに、お前の大事な大事な俺の写真をプリントアウトした抱き枕も灰にしてやるから、覚悟しろ!」

叱られた犬のように、小さくなる京楽。

「だって最近、浮竹が触らせてくれないから」

この前、最後の砦のパンツを奪われそうになったのだ。警戒も、普通はする。

浮竹は、溜息をついてベッドの上に京楽を座らせた。

飴と鞭。

さっきは鞭だ。飴も忘れてはいけない。

「ほら!」

手を開いて、こいと意思表示すると、京楽は喜んで浮竹に抱きついた。

「すんすん・・・浮竹のいい匂いがする。甘い花の香・・・君に触れるの、1週間ぶりだね」

抱き締め返すと、京楽はしばらくの間浮竹を離さなかった。

「いい加減、どけ」

「やだ」

「ちょっと、もう30分以上この体勢なんだぞ。いい加減疲れてきた」

「僕は全然疲れてないもーん」

ずるずると京楽を引きずって、移動する。

それでも、京楽は抱き着いて離れなかった。

「この駄犬が!」

蹴りをいれると、それさえ喜ぶ京楽に、不安を抱く。

こいつ、耐性ができてきてるのか。

仕方なく、浮竹は京楽を引きずって、べッドに腰かけると、その顎をとらえて口づけした。

最初から濃厚なやつを。

「ん・・・・」

ぴちゃりと、舌が絡みあう口づけを繰り返す。

京楽の手が、浮竹の背中に回る。

そのまま、ベッドでもつれあった。

「んん・・・・」

やわやわと輪郭を確かめられた。

抱き締める腕に力がこもる。

「んあっ・・・・」

指を、口の中に入れられた。

それに舌を這わせる。

そのまままた口づけられた。

「ん・・・・」

10分ほどそうしていただろうか。

京楽が舌を引き抜いていく。つっと、銀の糸が伝った。

かっと、自分の行動と痴態に、体が熱くなった。

「浮竹・・・・僕だけの浮竹・・・・かわいい・・・・・」

腰に、硬いものが当たった。

「ん・・・言っとくが、抱かせてはやらないぞ」

「うん。キスだけで1回いっちゃたから、僕も満足だよ」

「キスだけで!?」

「君とのキス、1週間ぶりだった。凄く気持ちよかった。浮竹は?」

「悪く、なかった・・・・」

声を漏らすほど、腰にくるキスだったが、浮竹はそのつもりはなかったので、情欲を抱きはしなかった。

だが、京楽は情欲の塊だ。

浮竹がその気になったら、すぐにでも抱いてくるだろう。

「ん・・・暇だ。明日の予習でもする」

けっこう、院生生活は学院に通って自由時間になると、暇になるものだ。

「ん・・・あ・・・・・」

くらりと。

視界が揺らいだ。

「浮竹!?」

「ちょっと・・・熱がでてきたみたいだ。最近、臥せっていなかったから大丈夫と思っていたが、やはり俺の体は弱いな」

「病弱なのは仕方ないよ。吐き気とかない?」

「悪寒がする」

「冬だしね。暖かくしないと。ベッドで横になって、毛布と布団かぶって。湯たんぽ作ってくるから」

こういう時の、京楽はとても優しい。変態じゃない。だから、浮竹は京楽を嫌えないのだ。

「解熱剤、出してくれ・・・」

「うん」

水の入ったコップと一緒に渡されて、飲んで30分くらいしたら、少し熱がさがったのか、悪寒はするが眩暈はましになった。

「明日は・・・・元柳斎先生の授業があるから、休むわけには・・・・」

「浮竹、無理は禁物だよ。熱が下がらなかったら、引きずってでても君を帰らせるからね」

恩師である山本元柳斎重國の授業には、浮竹は少々体調が悪くても出てしまい、その結果悪化させて山本元柳斎重國からも怒られていた。

でも、どうしても授業を受けたくて、無理をする。

でも最近は無理やり京楽が引っ張って帰らせるので、山本元柳斎重國も怒ることが少なくなった。

「先生の授業に出たい・・・・」

「熱が下がったら、出てもいいよ。でも、下がらなかったら、僕が許さない」

うとうとと、解熱剤の成分に含まれる睡眠薬成分で、眠くなってきた。

「分かった・・・無理は、しない・・・・・」

それだけ言うと、浮竹は眠ってしまった。

かわいいかわいい浮竹は、山じいのことになると無茶をする。悪化すると分かっているのに、無茶をする。それを引き留めるのは僕の役目。

山じいからも「十四郎に無理をさせぬように」と言われている。

「明日、熱がさがっていたらいいね」

額に冷やしたタオルを置いて、京楽は眠ってしまった浮竹の唇にちゅっと、音をたてて触れるだけのキスをした。

浮竹が急に熱を出すから、その気になっていた息子さんは静かになってしまった。

まぁいいかと、京楽もベッドに横になり、消灯するのだった。

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