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院生時代の部屋 クリスマス

「メリークリスマス、浮竹」

「メリークリスマス、京楽」

特進クラス全体で、クリスマスパーティーが開かれた。

女子たちは、クリスマスケーキを手に、意中の相手と話し出す。

浮竹と京楽も、たくさんの女子に囲まれた。

「浮竹君、京楽君、クリスマスクッキー焼いてみたの。食べてくれる?」

「ああ、ありがとう」

今日はクリスマスパーティーだ。

いつもなら接してこない女子たちも、積極的に浮竹と京楽にアピールしてくる。

浮竹と京楽は、できているわけではない。

なので、二人の仲はいいが、別に他の誰かと付き合ってもいいのだ。

「ねぇ、浮竹君なんのシャンプー使ってるの。いつも甘い花の香がするんだから」

それが、生来のものであると話しても、理解してもらえないであろう。

「浮竹はのシャンプーは花王道のものだよ。僕が買い与えているんだ」

「えー、花王道のなの!あの人気の!いいなぁ、京楽君、私も欲しいなぁ」

甘えてくる女子に、京楽はそっけない態度をとる。

「買えるチケットあげるから、勝手にかえば?」

こそこそと、女子たちが話し合う。

「浮竹君、クリスマスツリー見に行こ!」

女子3人に、無理やり部屋を連れ出される浮竹。

「え、ああ・・・・・」

京楽は、5人くらいの女子に囲まれていた。

見目は浮竹のほうがいいが、京楽は上流貴族。付き合うことができて、将来結婚までもっていけばたとえ死神になれなくてに、人生安泰だ。

「浮竹!」

「すまない、ちょっといってくる」

京楽は女生徒に優しいが、浮竹のこととなると、それもあやふやになる。

「君たち、どういうつもり。浮竹を連れ出して、僕に何か用?」

「やだなぁ、京楽君。何も、男の浮竹君じゃなくてもいいじゃない。あたしたちといいことして遊びましょうよ」

一人の女生徒が、京楽の腕に胸をあてた。

その胸を乱暴にもみしだくと、女生徒は叫び声をあげた。

「きゃあああああああ!」

「こんな関係がお望みかい?」

「き、京楽君・・・・」

「僕はね、浮竹以外に興味ないの。たとえ裸で迫ってこられても、たたないって断言できるよ」

「ためしてみないと分からないじゃない」

女子生徒の中でも、クラスの中心人物の一人が、京楽の手をとった。

そして、京楽を連れて寮の自分の部屋までくると、服をぽいぽいとぬいで、妖艶な姿で誘ってきた。

「さぁ、京楽君も・・・・」

服を脱がされてかけて、ぴしゃりとその手をはねのけた。

「君にはたたない。無理」

「刺激与えたら、たつから」

服の上から、裸の女生徒は京楽に刺激を何度も与えた。

「え、嘘・・・・・」

いっこうにたたないのだ。

「こんなのおかしい!」

「おかしいのは、君の頭でしょ。僕の金が目当てなんでしょ?」

「そ、そんなことないよ!京楽君が好きなの!」

「じゃあ、僕が浮竹のことを好きになって追いかけるまで、女の子追い掛け回してた時になんでこなかったの」

「そ、それは・・・・」

「もう気が済んだでしょ。僕は戻るよ」

「あ、待って京楽君!」

無視して、学院に戻ると、ざわざわとざわめいていた。

「どうしたの?」

「浮竹が、女生徒を襲ったって!」

「ちっ」

浮竹のところにいくと、肌も露わな女生徒が泣いていた。

「浮竹君が突然!」

「僕の浮竹が、そんなことするわけないでしょ」

やってきた京楽に、女生徒は目を見開く。今頃、リーダーである女生徒と睦みあっているはずの京楽がいたのだ。

「俺は、何もしていない・・・・・ぐ、ごほっ、ごほっ」

精神的な負担が体にきたのか、浮竹は咳込んで血を吐いた。

「きゃあああああ!」

「浮竹、大丈夫かい!?」

「すまない京楽・・・ここに、いたくない」

京楽は、浮竹を横抱きに抱き上げた。

「こんな体の浮竹が、君を襲ったって?証人をたてても、無駄だよ。山じいにいいつけられたくなかったから、そこをどくんだね」

女生徒たちは、顔色を蒼白にさせながら、どいた。

「ちょっと、やばいんじゃない?」

「アキラの計画通りにしただけじゃない!」

「でも、京楽君がここにいるってことは、アキラ失敗したんでしょ。あたしいやよ!京楽家に睨まれるなんて!」

「あたしも!」

「あたしもいや!」

「ちょっと・・・・私はどうなるのよ!」

肌も露わな女性が叫ぶ。

「知らない」

「あたしたち、何もしらない」

クリスマスパーティーは、教師を呼ぶ事態になった。


「げほっげほっ・・・・」

「医務室にいくかい?」

「学院にいたくない・・・・寮の部屋に、帰りたい・・・・」

寮の自室に戻ると、浮竹の血で汚れた院生の服を着替えさせて、室内着に着換えさせた。

ベッドに横たえて、肺の発作を起こした時の緊急用の薬を飲ませる。

ズキンズキンと肺が痛んだ。

「鎮静剤打つよ」

「ああ」

発作が酷くなる前に、落ち着かせる必要があった。

罠にはめられかけて、気が動転している浮竹の右手に、鎮静剤を打った。

「すまない・・・」

「いいから、大人しくしてて。直きに効くから」

「すまない・・・・・」

「浮竹・・・僕のかわいい、想い人。安心して、騒ぎが全部僕が収まらせるから」


京楽は、鎮静剤で眠った浮竹を置いて、一度学院に戻った。

教師がきて、どういうことかと詰め寄ってくる。

「女生徒が、結託して僕と浮竹をはめようとしたんだよ」

「そうなのか、お前たち」

「違います、先生!」

「あたしたち、アキラに言われた通りにしただけです。全部アキラが悪いんです」

京楽の裸で迫ってきた女生徒の名前だった。

院生の服を着て、そのアキラが現れた。

「君・・・停学は覚悟できているだろうな?」

「私じゃないんです!京楽君が、こうしろって!」

「京楽、どうなんだ?」

「めんどくさいから、山じい呼んでよ」

騒ぎの大きさに、山じいが呼ばれた。

「・・だそうです、山本先生」

「春水の言葉に嘘はなかろう。紫紺アキラ、主を2か月の停学処分とする」

「いやああああああ」

学院で、山じいの手から停学処分に陥った場合、護廷13隊入りの可能性が薄くなる。

アキラという女生徒は泣いた。

「退学にせぬだけ、感謝せよ。春水、これでよいな?」

「うん、山じい。わざわざこんな時間にありがとね」

「何、我が子のような春水のためじゃ。労は惜しむまい。それより十四郎がどうなっておる。血を吐いたと聞いたが」

「寮の自室で、鎮静剤を打ったから、寝てるよ」

「春水、はよう十四郎の傍にいてやれ。お主たちは二人で一つじゃ」

「じゃあ、そういうことだから、戻るね。紫紺アキラ。今度手を出してきたら、京楽家の名の元に、潰す」

「うわあああああああん」

泣く女生徒を無視して、京楽は寮の自室に戻った。

浮竹は、大人しく寝ていた。発作はもう大丈夫なようで、その日はいろいろごたついて、結局京楽はクリスマスクッキーを口にしただけで眠ってしまった。

「おはよう、京楽」

「おはよう浮竹。体は大丈夫かい?」

「ああ。早めに鎮静剤を打ってもらったおかげで、大きな発作にならずにすんだ」

もう、冬休みに入っていた。

「しばらく、学院には行きたくない。食堂を利用する以外は・・・冬の、自己勉強会も、欠席する」

「うん、そうしたほがいいよ。あの連中とは、6回生まで一緒なんだから。早く、忘れててしまうことを祈っているよ」

「ああ・・・・・」

浮竹は、上着をはおって京楽がもってきた弁当を食べた。

「散々なクリスマスだった」

「そうそう、クリスマスプレゼント用意していたんだ。もらってくれるかい?」

「高価なものじゃないだろうな!」

ビーズ細工の、ブレスレットだった。ちょっと拙くて、見た目はあんまりよくない。

「実家の母上からもらった本を見ながら、僕が作ったんだ。手作りだから、見た目はあんまりよくないけど・・・・」

「俺は、翡翠のブレスレットより、こっちを選ぶ、お前の手作り、素直に嬉しい」

はにかみながら笑う浮竹は愛らしかった。

「(*´Д`)ハァハァ好きだよ、浮竹。僕と一つになろう!」

「調子にのるな!」

脛を思い切り蹴り上げられて、悶絶する京楽だったが、浮竹の幸せそうな顔をみて、京楽も満足するのだった。

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