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エンシェントエルフとダークエルフ10

森に放っていた、使い魔である黒リスのクロを呼ぶと、その背後からぽよんぽよんと黒いスライムがついてきていた。

「どうしたの、クロ」

「ちちっ」

「仲間になった?え、まじで。その子、貴重なブラックスライムでしょ」

ブラックスライムは、ごみを食べてくれるので、よく清掃の会社などで飼育されていた。

「野良のブラックスライムってこと?」

「ちちちっちー」

京楽は、クロの他にもこの前黒猫のクロ吉という猫を使い魔にした。

「ええ、仲間にしたから連れて帰る?大丈夫かなぁ」

クロは京楽の肩に乗り、反対側にブラックスライムが乗った。

「僕がテイムしたことになってるみたいだね。名前、考えてあげなくちゃね」

森からマイホームに帰宅すると、浮竹が黒猫に高級猫缶詰を与えていた。

「京楽、遅かったな。クロ吉がきてるぞ」

「遅かったやんけわれ。わいを使役するからには、高級猫缶詰とチュール用意しとけやわれ」

「まったく、クロ吉はグルメだねぇ」

いつもは気まぐれな野良ネコ人生を歩んでいるので、お腹がすきすぎた時に定期的に浮竹と京楽のマイホームに現れた。

黒猫であるが、ちゃんと人語を理解ししゃべれた。ちょっと態度はでかいが。

「ほれほれ、チュールをよこさんか」

「チチッ」

「うっせ。先輩だと?しるかわれ」

クロとクロ吉は、基本捕食者と天敵であるので、仲はあまりよろしくない。

クロ吉は数日前に使い魔、つまりは使役魔になった黒い猫だ。

クロは基本Bランク時代から使っている使い魔で、クロのほうが先輩で偉いのに、クロ吉はそれが気に入らなくて、いつも喧嘩腰だった。

「チチチ」

「なんや、やるんかわれ。食うぞこら」

「こら、クロもクロ吉も仲良くしなさい」

「チチ―」

「ふん」

「京楽、それよりその肩に乗っているのは、ブラックスライムのようだが、どうしたんだ?」

「いやねぇ、クロが連れてきたんだよ。珍しく野良のブラックスライムのようでね。僕がテイムしたってことになってるらしい」

「そうか。じゃあ、名前を考えてあげないとな?クロ助とかはどうだ?」

「どう思う、クロ助」

「ププル~~~」

そこに、剣士京楽のと精霊のところで飼われている、ビッグスライムのプルンが現れた。

「なんだ、プルン。今日もこの国にあの二人はきているのか?」

「ププルン!」

プルンは、ブラックスライム見て、嬉しそうにはねていた。

「え、兄ができた?こいつの、お前よりも年上なのか?」

「ププルー」

ブラックスライムは、京楽の肩からぽよんと音を立てて降りて、クロ吉が食べた猫缶詰の空き缶を食べてしまった。

「ププ!」

「凄いって言ってるな。あのな、ブラックスライムはゴミを食べてくれるんだ。人間の料理とかも食うけど、基本ゴミを食べる。野生では雑草なんかを食べてるな」

「ププルン」

プルンは、自分の好物の林檎をさしだした。

ブラックスライムは林檎よりも、奥にあった生ごみの入ったゴミ箱入り、ゴミをおいしそうに食べだした。

「ププ」

哀しくて青くなっているプルンを見て、浮竹はゴミを食べ終わたブラックススライムとプルンを引き合わせた。

「プルルン」

「くくるー」

ブラックスライムが初めて鳴いた。

ブラックスライムは基本鳴かないことで有名だった。

「すごいよこの子。鳴いたよ」

「くくるーくるくる」

もっとゴミ食べたい。

そういうブラックスライムに、プルンは食べた林檎の芯をあげると、ブラックスライムはそれを喜んで消化した。

「名前、はクロ助でいいのか?」

「ププルウン!」

「え、何、ブルンがいい?兄だからブルン?」

「プルンとブルンじゃ、ちょっとに過ぎていやしない?」

「まぁ、見た目は全然違うし、いいんじゃないか」

こうして、ブラックスライムの名前はブルンになり、プルンの兄的存在となった。

好物はゴミなので、ゴミをわざわざ捨てることがなくなり、かなり助かった。


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「今日はブルンとクロ吉を連れて、簡単な狩りをしよう。レベルアップさせるために」

森で、ブルンは雑草を食べながら、襲ってきたホワイトベアを、酸弾で倒してしまった。

「すごいな、酸を吐けるのか」

「くくるーーー」

クロ吉は、ホワイトラビットを爪と牙で仕留めてしまった。

「わいより強い魔物倒したってか?調子のんなやこら」

「くるくるー」

調子には乗っていないよ、僕はただホワイトベアを倒しただけだよ。

「それが調子に乗ってるいうねん!」

「ほらほら、クロ吉、いい子だから喧嘩しない。チュールあげるから」

「お、浮竹なかなか分かってるやんけ」

ちゅーるをおいしそうに食べながら、クロ吉は更なる獲物を求めて、森の中に入っていく。

この森は、そんなに強いモンスターはいないので、比較的安全で、よく初心者から抜け出したばかりの冒険者が依頼退治で受けるような場所だった。

「ホワイトバード×5、ホワイトスネイク、ホワイトラット×2。これでどうや」

「おお、クロ吉すごいな。LVも6つもあがってるじゃないか」

「くるるるーーー」

ブルンも、もう1匹ホワイトベアを退治した。

「お、ブルンもLVが2あがったな」

元からある程度LVが高かったので、クロ吉のようにLVが大きくあがることはなかった。

「よし、今日はお前たちの仕留めた魔物の肉で、鍋をしよう」

「浮竹、本気かい?ホワイトスネイクもホワイトラットも、食べれないことはないけど、別に食べなくてもいいんだよ」

「せっかくお前の使い魔がとってくれたんだ。ホワイトベアは毛皮も売れるから、あとはここで解体してしまおう」

浮竹と京楽は、器用にさばいて肉と皮をはがし、肉とホワイトベアの毛皮だけをアイテムポケットにいれた。

ホワイトバードの羽とか、ホワイトスネイクの皮、ホワイトラットの毛皮は素材にならないので捨てることにする。

それを、ブルンが消化してしまった。

「本当に便利だな、ブルンは」

「くくるー」

「ああ、クロ吉の食べたチュールに入れ物も食べてくれ」

「くくーー」

ブルンは、素直に食べてくれた。

今夜は、いろんなモンスターの肉を使った鍋料理であった。野菜やきのこの他に、魚介類も少しいれた。

クロは野菜を、クロ吉は魚介類を、ブルンは骨とか野菜の芯を食べていた。

「魔物肉を使った鍋だから、どうなることかと思ったけど、けっこうおいしいね」

「ホワイトベアの肉はわりと高価だからな。うまいって評判なんだ」

「そうなんだ。知らなかったよ」

「京楽は、飯を作る割には魔物の肉は使わないからな」

「食べれればいいけど、わざわざ魔物の肉を使う必要はにないでしょ?この世界にはちゃんと家畜もいて、その肉が食える」

「まぁそうなんだが・・・・・かけだしの冒険者だった頃は、よくこうやって魔物肉を焼いて食べたりしたな」

「ああ、懐かしいねぇ。もう何十年前のことだろ」

浮竹と京楽はエルフだ。人の10倍以上を生きる。

依頼を受ける回数も、駆け出しの頃は少なく、自由になってからやっと本当の冒険者になれたので、Cランクから本格的に冒険者を始めた。

今から5年前のことだ。

CランクからAランクにあがるには10年はかかると言われている。

それを半分の時間で成してしまったということは、冒険者としての適性があったのだろう。

幼い頃、戯れに森で遊び、モンスターを倒していたのだが、その経験が今を支えているのだ。

「ブルン、今度はプルンに会いにいこうか。お前のこと、兄だと慕っているようだし、ちょうど昨日引き受けたクエストの内容が、ロスピア王国のものなんだ」

「くくるーー」

ブルンは嬉しそうに浮竹の肩に乗った。

その時の色は真っ白で、ブラックスライムは喜ぶと正反対の色になると言われていたので、喜んでいることが分かった。

「兄弟か。なんかいいな」

「僕には兄弟姉妹はけっこういたらしいけど、捨てられたからね」

「俺は一人っ子だから。エルフ種族は普通一人しか産まない。おまけに婚姻もほとんど行われない。人口は減るばかりで、緩やかに絶滅に向かっている」

「人間種族が羨ましいね。性欲も旺盛なようだし」

「その言い方だと、ゴブリンのようだぞ」

クスリと浮竹は笑って、鍋の〆の雑炊を作った。

「くるるるーー」

「お、普通の雑炊も食べたいのか?」

「くるる」

「ほら、召し上がれ」

クロとクロ吉は、飯を食べるとさっさとそれぞれ森と町に帰ってしまった。

召還すれば、何処にいても何をしてても召還されるので、問題はなかったが。

「くるるーーー」

ブルンは、おかわりをした。

そして、器も食べてしまった。

「こらブルン、お皿は餌じゃないぞ”!」

「くるるーーー」

反省しているのか、黒と白の色になって明滅する。

それをちゃんと覚えたのか、今度からは皿は食べず、皿の汚れだけを食べてくれて、浄化もしてくれるので、皿洗いの必要もなくなるのであった。

ブラックスライムは、どんなゴミでも食べてくれるので、わりと高価なモンスターだ。ちゃんと飼われていると分かるように、契約の儀式をして、ブルンの体には灼熱のシャイターン一族がもつ、ハヤブサの紋章が刻まれるのであった。






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