エンシェントエルフとダークエルフ9
魔王ヴェルの配下の四天王の一角である灼熱のシャイターンは唯一の女性で、見た目は20代前半だが、実年齢は600を上回っていた。
ダークエルフで、ダークエルフの寿命は千年程度だが、魔王ヴェルに忠誠を誓う形で千年以上を生きるだろう。
「最近、あたしの子供だっていうダークエルフが、Aランクの冒険者になったって聞いてね。ちょっと会いにいこうと思ってさ」
灼熱のシャイターンは、つい数週間前にSランクの冒険者5人に挑まれて、返り討ちにして殺した。
基本人間と魔族は中立であるが、やはり人間世界にとって魔王や魔族は忌み嫌う存在であり、灼熱のシャイターンもダークエルフのいわゆる魔族に分類される種族で、子を成したはいいが、なんと皮膚の色が白かったのだ。
子の名前は京楽春水。
人間たちの住むウッドガルド大陸のイアラ帝国で、Aランクの冒険者をしていた。
Sランクになりそうな上位ランキングに、産んで捨てた実の息子の名前があって驚いた。
影からの調査で、シャイターンが捨てた後、かわいそうだとダークエルフの住民に拾ってはもたっが、幼い頃にダークエルフたちが魔大陸に移住するついでに、また捨てられた。
今度京楽を拾ったのは、なんとエンシェントエルフの族長だった。
牢屋に幽閉されて生き延びたが、その牢屋には秘密の外に続く道があり、浮竹十四郎というエンシェントエルフの少年と巡り会い、互いに冒険者ギルドに登録して、その浮竹は京楽のパートなーだという。
ダークエルフが冒険者ギルドに登録など普通はできなくて、肌が白いのをいいことに、ウッドエルフと種族を偽っているらしかった。
「はん、あたしの血を引いているくせに、白い肌のできそこないのくせに、Aランク冒険者だって?しかもSランク冒険者になりそうな上位ランキングに入ってるのが余計に気に食わない。ちょっと身の程を弁えてもらうために、顔でもだそうかね」
灼熱のシャイターンは、その名の通り炎を操る。
「フレイムウィング!」
風の魔法とかけあわせた炎の翼を背中にはやせて、魔大陸から僅か2日でウッドアルド大陸のイアラ帝国にまできていた。
移動速度が半端ではなかった。
通常、ワイバーンにのっても半月近くかかる。
それほどに、魔大陸の魔都セズゴリスと距離が離れていた。
灼熱のシャイターンの名は、伊達ではなかった。
炎を纏いながら、町に飛び降りと、住民や冒険者たちは悲鳴をあげて逃げていく。
「魔族だああ!!ダークエルフが攻めてきたぞお!」
「ちっ、うっさいね。この見た目はあれか・・・」
シャイターンは、浅黒い肌の色を白く見せる魔法をかけた。
「あれ、ダークエルフはどこに行った?」
騒ぎを聞きつけてやってきたBランク以上の冒険者たちは、怯えているふりをしているシャイターンに騙されていた。
「あの、あのダークエルフなら、西のほうに向かいました!」
顔も声も変えて、人間に嘘の情報を流す。
「そうか、ありがとう!」
「西だ!西に魔族のダークエルフが現れたはずだ、迎え!」
「ふんっ、人間たちはいつも愚かだ」
シャイターンは、南に向かって歩きだした。
時刻は夕暮れ。
冒険に出ていても、そろそろ戻ってくる頃合いだろう。
浮竹と京楽のマイホームでは、浮竹と京楽が今日の依頼を終わらせて、夕食を一緒にとっていた。
「誰だい、そこにいるのは」
「ああ、おまえがあたしの息子か。まぁ、見てくれは悪くないが、やはり肌の色があれだな。産んだが、捨てて正解だった」
「まかさ、あなたは・・・・灼熱のシャイターン!?」
「そのまさかさ!」
シャイターンは変装の魔法を解いた。
真っ赤な髪に、浅黒い肌の20代前半のダークエルフだった。
ただ、伝わってくる魔力はSランク冒険者の比ではなく、京楽はまずは浮竹を庇った。
「あなたは、僕を捨てたはずだ。今更何をしにきた!」
「いやねぇ、SランクになりそうなAランク冒険者にお前の名前があって、身の程を弁えらせるつもりのできたのさ」
いつの間に移動したのか、京楽の首には短剣が突きつけられていた。
「この子かい。パートナーの浮竹十四郎というのは」
「浮竹、逃げて!」
浮竹は恐れることもなく、堂々としていた。
「京楽の母上とお見かけする。灼熱のシャイターンであるのは分かった。だが、今の京楽は俺のものでもある。まだまだSランク冒険者になるには力不足だし、Sランク冒険者になったとしても、魔王軍に手出しするつもりはない」
「はっ、言うねぇ。京楽、できそこないのお前には勿体ないパートナーだねぇ」
「京楽は出来損ないなんかじゃない。一度捨てた子だろ。魔大陸に帰れ」
「おお怖い怖い。いずれ、この子がダークエルフであることは、ばれるよ。それでも、一緒にいたいというんだね?」
「ああ。ダークエルフであるのがばれて冒険者ギルドを追われるようになったら、違う拠点を探す。どうしても見つからなければ、魔大陸で冒険者するかもな」
「ちょっと、浮竹、本気なの?」
「本気だが?魔大陸にも冒険者ギルドはあるだろう?」
「あはははは!大した大物だよ、気に入ったよ、お前。京楽がダークエルフだというのがばれて人間国家で冒険者稼業できなくなったら、魔大陸においで。あたしの名前で推薦してやるよ」
「じゃあ、今はまだこの国で京楽がダークエルフであるということは」
「ああ、秘密にしといてやるよ」
それだけ言い残すと、シャイターンは炎の翼を生やしてすぐに見えなくなってしまった・
「はあ。心臓が口から飛び出すくらいに緊張した」
「やっぱり、浮竹も無理してたの?」
「当たり前だろう。相手は魔王の四天王が一人、灼熱のシャイターンだぞ。そんなのが母親だなんて、お前の人生は苦労の連続だな」
「僕が、シャイターンの息子だからって、幻滅したりしないの」
「何を言っている。京楽は京楽だ。親なんて関係ない」
そう言い切られて、京楽は浮竹に抱き着いた。
「愛してるよ、浮竹」
「ああ、俺もお前を愛してる」
口づけを交わし合い、いつしか息が乱れるほどにお互いの唇を貪っていた。
「今日はもう、寝よう。灼熱のシャイターンが出たと、明日からきっと大忙しだ。まぁ、クエストに参加するだけで金がもらえるから、ラッキーだがな」
「そうだね。シャイターン・・・僕の母親は魔大陸に戻ったことだろし」
「それにしても、京楽がシャイターンの子か。シャイターンには確か、他にも数人子がいたはずだが。お前だけが捨てられたのか」
「うん。肌の色が白いからね。ダークエルフたちに育ててもらったけど、赤子~幼少期までで、後は君んとこのエンシェントエルフの村で、幽閉されて育った」
「よく百年もの間、そんな生活を我慢できたものだな」
「だって、君が頻繁に来てくれたし、牢屋から外にでる秘密の抜け道も教えてくれた。人間の年齢で12歳になって冒険者登録して、僕の人生は楽しいし嬉しいことの方が多いよ」
「明日からも大変だが、また頑張ろう。Sランク冒険者を目指すために」
「うん、そうだね」
しばらくの間、灼熱のシャイターン探しのクエストがあったが、一向に見つからないので、捜索は切り上げられて、参加者にはランクに応じた報酬金が出るのであった。
ダークエルフで、ダークエルフの寿命は千年程度だが、魔王ヴェルに忠誠を誓う形で千年以上を生きるだろう。
「最近、あたしの子供だっていうダークエルフが、Aランクの冒険者になったって聞いてね。ちょっと会いにいこうと思ってさ」
灼熱のシャイターンは、つい数週間前にSランクの冒険者5人に挑まれて、返り討ちにして殺した。
基本人間と魔族は中立であるが、やはり人間世界にとって魔王や魔族は忌み嫌う存在であり、灼熱のシャイターンもダークエルフのいわゆる魔族に分類される種族で、子を成したはいいが、なんと皮膚の色が白かったのだ。
子の名前は京楽春水。
人間たちの住むウッドガルド大陸のイアラ帝国で、Aランクの冒険者をしていた。
Sランクになりそうな上位ランキングに、産んで捨てた実の息子の名前があって驚いた。
影からの調査で、シャイターンが捨てた後、かわいそうだとダークエルフの住民に拾ってはもたっが、幼い頃にダークエルフたちが魔大陸に移住するついでに、また捨てられた。
今度京楽を拾ったのは、なんとエンシェントエルフの族長だった。
牢屋に幽閉されて生き延びたが、その牢屋には秘密の外に続く道があり、浮竹十四郎というエンシェントエルフの少年と巡り会い、互いに冒険者ギルドに登録して、その浮竹は京楽のパートなーだという。
ダークエルフが冒険者ギルドに登録など普通はできなくて、肌が白いのをいいことに、ウッドエルフと種族を偽っているらしかった。
「はん、あたしの血を引いているくせに、白い肌のできそこないのくせに、Aランク冒険者だって?しかもSランク冒険者になりそうな上位ランキングに入ってるのが余計に気に食わない。ちょっと身の程を弁えてもらうために、顔でもだそうかね」
灼熱のシャイターンは、その名の通り炎を操る。
「フレイムウィング!」
風の魔法とかけあわせた炎の翼を背中にはやせて、魔大陸から僅か2日でウッドアルド大陸のイアラ帝国にまできていた。
移動速度が半端ではなかった。
通常、ワイバーンにのっても半月近くかかる。
それほどに、魔大陸の魔都セズゴリスと距離が離れていた。
灼熱のシャイターンの名は、伊達ではなかった。
炎を纏いながら、町に飛び降りと、住民や冒険者たちは悲鳴をあげて逃げていく。
「魔族だああ!!ダークエルフが攻めてきたぞお!」
「ちっ、うっさいね。この見た目はあれか・・・」
シャイターンは、浅黒い肌の色を白く見せる魔法をかけた。
「あれ、ダークエルフはどこに行った?」
騒ぎを聞きつけてやってきたBランク以上の冒険者たちは、怯えているふりをしているシャイターンに騙されていた。
「あの、あのダークエルフなら、西のほうに向かいました!」
顔も声も変えて、人間に嘘の情報を流す。
「そうか、ありがとう!」
「西だ!西に魔族のダークエルフが現れたはずだ、迎え!」
「ふんっ、人間たちはいつも愚かだ」
シャイターンは、南に向かって歩きだした。
時刻は夕暮れ。
冒険に出ていても、そろそろ戻ってくる頃合いだろう。
浮竹と京楽のマイホームでは、浮竹と京楽が今日の依頼を終わらせて、夕食を一緒にとっていた。
「誰だい、そこにいるのは」
「ああ、おまえがあたしの息子か。まぁ、見てくれは悪くないが、やはり肌の色があれだな。産んだが、捨てて正解だった」
「まかさ、あなたは・・・・灼熱のシャイターン!?」
「そのまさかさ!」
シャイターンは変装の魔法を解いた。
真っ赤な髪に、浅黒い肌の20代前半のダークエルフだった。
ただ、伝わってくる魔力はSランク冒険者の比ではなく、京楽はまずは浮竹を庇った。
「あなたは、僕を捨てたはずだ。今更何をしにきた!」
「いやねぇ、SランクになりそうなAランク冒険者にお前の名前があって、身の程を弁えらせるつもりのできたのさ」
いつの間に移動したのか、京楽の首には短剣が突きつけられていた。
「この子かい。パートナーの浮竹十四郎というのは」
「浮竹、逃げて!」
浮竹は恐れることもなく、堂々としていた。
「京楽の母上とお見かけする。灼熱のシャイターンであるのは分かった。だが、今の京楽は俺のものでもある。まだまだSランク冒険者になるには力不足だし、Sランク冒険者になったとしても、魔王軍に手出しするつもりはない」
「はっ、言うねぇ。京楽、できそこないのお前には勿体ないパートナーだねぇ」
「京楽は出来損ないなんかじゃない。一度捨てた子だろ。魔大陸に帰れ」
「おお怖い怖い。いずれ、この子がダークエルフであることは、ばれるよ。それでも、一緒にいたいというんだね?」
「ああ。ダークエルフであるのがばれて冒険者ギルドを追われるようになったら、違う拠点を探す。どうしても見つからなければ、魔大陸で冒険者するかもな」
「ちょっと、浮竹、本気なの?」
「本気だが?魔大陸にも冒険者ギルドはあるだろう?」
「あはははは!大した大物だよ、気に入ったよ、お前。京楽がダークエルフだというのがばれて人間国家で冒険者稼業できなくなったら、魔大陸においで。あたしの名前で推薦してやるよ」
「じゃあ、今はまだこの国で京楽がダークエルフであるということは」
「ああ、秘密にしといてやるよ」
それだけ言い残すと、シャイターンは炎の翼を生やしてすぐに見えなくなってしまった・
「はあ。心臓が口から飛び出すくらいに緊張した」
「やっぱり、浮竹も無理してたの?」
「当たり前だろう。相手は魔王の四天王が一人、灼熱のシャイターンだぞ。そんなのが母親だなんて、お前の人生は苦労の連続だな」
「僕が、シャイターンの息子だからって、幻滅したりしないの」
「何を言っている。京楽は京楽だ。親なんて関係ない」
そう言い切られて、京楽は浮竹に抱き着いた。
「愛してるよ、浮竹」
「ああ、俺もお前を愛してる」
口づけを交わし合い、いつしか息が乱れるほどにお互いの唇を貪っていた。
「今日はもう、寝よう。灼熱のシャイターンが出たと、明日からきっと大忙しだ。まぁ、クエストに参加するだけで金がもらえるから、ラッキーだがな」
「そうだね。シャイターン・・・僕の母親は魔大陸に戻ったことだろし」
「それにしても、京楽がシャイターンの子か。シャイターンには確か、他にも数人子がいたはずだが。お前だけが捨てられたのか」
「うん。肌の色が白いからね。ダークエルフたちに育ててもらったけど、赤子~幼少期までで、後は君んとこのエンシェントエルフの村で、幽閉されて育った」
「よく百年もの間、そんな生活を我慢できたものだな」
「だって、君が頻繁に来てくれたし、牢屋から外にでる秘密の抜け道も教えてくれた。人間の年齢で12歳になって冒険者登録して、僕の人生は楽しいし嬉しいことの方が多いよ」
「明日からも大変だが、また頑張ろう。Sランク冒険者を目指すために」
「うん、そうだね」
しばらくの間、灼熱のシャイターン探しのクエストがあったが、一向に見つからないので、捜索は切り上げられて、参加者にはランクに応じた報酬金が出るのであった。
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