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エンシェントエルフとダークエルフ12

イアラ帝国の帝都アスランで、第15回テイムモンスターお披露目会があった。

冒険者ギルドに登録している者は参加必須で、使い魔もテイムモンスターにあたるらしい。

テイマーの職業についている者たちは、思い思いのままに、複数のテイムモンスターを連れていた。

京楽が参加することになり、京楽はげんなりしていた。

できればふけたいが、すでに参加提出書を出しているために、クロ、クロ吉、ブルンを連れてお披露目会にでた。

「おお、すごいぞあいつ、グリフォンつれてやがる」

「あっちはシルバーウルフだ」

「あっちが一番すげぇんじゃねえ?ベビードラゴン連れてるぜ。幼生体のまま過ごすけど、一応ドラゴンだぜ」

「おい、あいつ見ろよ。リスに黒猫にスライムだぜ。だっせえええ」

そう言われているが、京楽は堂々と歩き、その後ろをクロとクロ吉とブルンがついていく。

「では、自己紹介と特技をお願いします」

藁人形の的が用意された。

グリフォンは、空を飛んで的めがけて奇襲をかけた。

シルバーウルフは吠えて、的めがけて噛みつき、牙で攻撃した。

ベビードラゴンは炎のブレスを吐いた。

クロはマッピングと隠密を見せて、クロ吉は人間と意思疎通できると会話して、簡単な魔法を唱えて的にあてた。

ブルンは、会場に設置されてあったゴミ箱までいき、ゴミを全部消化して、その後にヒーリング草を大量に食べて、桶の中に回復のポーションを流していく。一応、的には酸弾を投げておいた。

「おい、この黄金色のポーションって」

「ああ、確か傷が全回復して、欠損してしまった四肢まで戻って、おまけに疲労がとれて、魔力も回復するという、あの伝説のポーションじゃねぇか!」

ざわざわと、周囲が騒がしくなった。

「あの、これって伝説とまで言われたゴールデンポーションですよね」

「うん、そうだけど」

京楽が困った顔でいうと、冒険者たちが騒ぎ出した。

「俺に売ってくれ!小瓶1個で金貨2枚でどうだ!」

「いや、俺にうってくれ!小瓶1つで大金貨1枚だす」

「僕にも売ってくれ」

「その桶にある分は好きにしてくれて構わないよ。でも、もしもブルンをポーションを作らせるために攫おうとしたら・・・・・」

「俺と京楽が許さない。Aランク冒険者だ。知り合いにはSランク冒険者もいるし、ギルドマスターのキャサリン・ヒィル・ロベン・アーチもこちら側についているからな」

浮竹は、不審な動きをしていたCランク冒険者を睨んだ。

ブルンを誘拐しようとしていたCランクの冒険者は、震えあがった。

Aランク冒険者だけでも厄介なのに、Sランク冒険者に知り合いがいて、ギルドマスターとも親しいという。あのオカマのギルドマスターは、キャサリン・ヒィル・ロベン・アーチとうフルネームで、オカマだが元Sランク冒険者のTOPと言われていた人材である。ちなみに、貴族出身であった。お金持ちのオカマのギルドマスターだった。

「今回のお披露目会の優勝者は、京楽選手です!」

「ええ、お披露会なのに優勝とかあるの!?」

「ふざけるな!どう見ても俺のグリフォンのほうが強いじゃねぇか!」

グリフォンをテイムしていたテイマーが苦情をいうと、いつもは冒険者ギルドの受付嬢をしている女性は、静かにこう言う。

「グリフォンは確かにテイムするには希少かもしれません。でも、それならあのブラックスライムのほうが余計に希少です。それにあなたのグリフォンはただ空を飛んで的を攻撃しただけです。
それにくわえて、京楽選手のクロは、自動でマッピングスキルをもって、隠密で先にいってくれるとても役に立つ使い魔です。クロ吉は魔法を唱えれるだけでなく、人語を理解する知恵をもっておます。
何よりブルンというブラックスライムは、希少性の他に酸弾を的に浴びせてドロドロにしました。地面まで溶けてました。
実際に戦闘になったら、よほど強いモンスターでもない限り、やられるでしょう。何より、効果の高いゴールデンポーションを生み出します。ヒーリング草を食べただけで、ゴールデンポーションを作れる存在など聞いたことがないです。高位の錬金術士にも作るのが難しいのに」

「ちっ、もういいよ。優勝は京楽でいい」

ベビードラゴンやグレイウルフ、その他のモンスターをテイムしていた今回参加していた30人ほどのテイマーも、優勝は京楽であると認めた。

「それより、ゴールデンポーションを予約していいか」

ゴールデンポーションの購入予約が殺到した。

そこらは、受付嬢が対応してくれた。

「くくるーーー」

「ブルン、大変だぞ。これから、定期的にゴールデンポーションを作ることになった」

「くくる」

「え、どうってことないって?それより腹減った?」

浮竹がそれを聞くと、京楽と顔を合わせて、会場の他のゴミをブルンに食べさせてやった。

「くっくるー」

「満足だって」

「じゃあ、帰ろうか」

「うん」

優勝賞品のお米券金貨5枚分を手に、マイホームに帰還した。

『やぁ、ダークエルフの魔法使いのボク』

「なんだ、来ていたのか。式でも飛ばしてくれればよかったのに」

『プルンが、どうしてもブルンと会いたいって聞かなくてな』

精霊の浮竹が、プルンを帰ってきたブルンと引き合わせた。

「プルルン!!」

「くるくるー」

お兄さん。弟よ!

そう会話をしながら、2匹はにゅっと手を出すと握手した。

それからけっこう広い部屋中をぽよんぽよんとはねて、追いかけっこをしだした。

『今度プルンかブルンがどっちかに会いたくなったら、そっちから来てね』

「ああ、分かった。どうせ隣国だ。馬車で数時間でつく距離だしな」

イアラ帝国のエルフの二人が住んでいる帝都アスランと、ロスピア王国で退治屋を営んでいる家とはそう遠くはなかった。

「お米券を金貨5枚分もらったんだ。二人じゃ食べきれないだろうから、3枚分もらってよ。そちのプルンは、お米も食べるでしょ?」

『分かった、もらっておく』

精霊の浮竹は、エルフの京楽から金貨3枚分のお米券をもらった。

「ププルーー」

「くるっくるー」

プルンとブルンは、りんごとゴミを与えられて、美味しそうに食べていく。

ゴミはどう見てもそこらへんの雑草とか枯葉を集めたもので、土がついていたがブルンは関係ないように食べていった。

部屋の掃除もブルンに任せてある。

いつも綺麗ピカピカだ。

『いいねぇ、そっちのブルンの特技。プルンの兄としてもらっていきたい気分だよ』

「いくら師匠の頼みでも、ブルンはやれんぞ」

『分かってるって。ただの冗談だよ』

「くくるーーー」

ブルンが、我がままをいいだした。

「ええ、泊まりにいきたい?」

『お、いいね。今夜はこっちに泊まるから、明日おいでよ』

「でも仕事はどうするの?」

『こっちは今のところ依頼はないから。緊急で依頼があった場合、出かけるけどね。留守番は任せれるでしょ?』

「仕方ない。今日は泊まってもらって、明日師匠の家にいこう」

「プルルン!」

「くくるー」

プルンとブルンは喜んだ。

ずっと一緒にいたいから。

でも、飼い主が互いに違うので、我がままを言わなきゃ会えない。

それがもどかしい。

特にプルンは幼いので、何故兄に会えないのか分かっていない。

兄のブルンは10歳程度の知能をもっているので、何故会えないかとかは全て知っていた。

「くくるー」

「え、プルンと一緒にソファーで寝る?もう好きにしてよ」

「プルルン」

「くくー」

プルンとブルンは、くっついて寝るのだった。

ブルンは白く、プルンはピンク色なって喜んでくっつきあって、しばらくおしくらまんじゅうのようなことをしていたが、疲れが出たのか寝てしまった。

大人たちはまだ寝ない。

夜の9時を過ぎた頃だった。

年代もののワインを取り出してきて、4人で飲んだ。

4人とも、しっかり貯金しているので、数日仕事を休んでも平気なので、その日は久しぶりに少しだけ夜更かしをした。

次の日に、少し遅くおきたのは仕方のないことだった。



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