エンシェントエルフとダークエルフ13
浮竹にとって師匠である、剣士の京楽の家の隣を借りて、ブルンとプルンは数日連続して一緒に過ごせて、とても幸せそうであった。
「くくるーーー」
「仕方ないだろう。今日でお別れだ。またすぐに会いにこれるから」
「くくー」
「プルルン?」
どうしてお兄ちゃんいなくなっちゃうの?
プルンには分からないことだらけだった。
エルフの浮竹と京楽は、けっこうが額を貯金しているが、仕事をしなければいけない。Sランクが世界で77人しかいない現在、Aランクが実質的な冒険者ギルドのTOPであった。
そんな二人がいつまでも仕事の依頼を受けないと、溜まっていく依頼もある。
人が受けたがらないような依頼まで受けるので、余計だった。
さて、イアラ帝国の帝都アスランに帰ってきた二人は、さっそく冒険者ギルドに出かけた。B~Sランクの依頼書がたくさん掲示されてあった。
「どれどれ・・・Sランクはエンシェントドラゴン退治、ファイアドラゴン退治、ブラックドラゴン退治・・・どれもこれもドラゴン退治ばかりじゃないか!僕たちが倒せるはずもない」
「普通にAランクの依頼を受けよう。これが一番古いな。サンドワーム退治・・・あああ」
サンドワームは、砂漠のミミズのモンスターだ。肉食で、地上にいるモンスターや人間を襲って地中に引き込み、食べてしまう。
見た目のグロテスクさと、全く素材にならないから人気がなく、何時まで経っても放置されている依頼であった。
「あらん、ちょっとだけお久しぶりね、あなたたち♡」
「キャサリンギルドマスター・・・・・」
「いやーん、キャサリンじゃなくって、キャシーって呼んでっていってるじゃない~」
ギルドマスターはオカマで、ふりふりのゴスロリの衣装をしていた。
クネクネしているので、いつもは視界に入っても、見ないふりをしているのだが、顔は顎が割れているし、ヒゲがこくて剃っても青いので、影で青髭オカマと呼ばれていた。
「サンドワームの仕事、引き受けてくれるのかしらん。誰も引き受けてくれないから、困っていたのよね♡」
「引き受けるから、顔を近づけさせないでくれないか」
「あらん、うっきーちゃん今日も男前♡」
言葉と一緒に軽く尻を触られて、浮竹はキャサリンの足を思いっきり踏んづけていた。
「いやん、乙女に乱暴はだ・め・よ♡」
「この依頼、行ってくるから馬車かりるよ。3日はかかるだろうから、金貨6枚置いていくね」
冒険者ギルドは馬車の貸し出しもしている。御者のいない馬車なら1日金貨2枚。御者がいると金貨3枚だ。
ちなみに馬を浮竹も京楽も操れるので、お互い睡眠をとって交代で馬車を走らせた。
馬がつぶれるといけないので、途中途中で休憩をとり、1日10時間ほど走ってもらった。
葦毛のよい馬で、よく訓練されていて人なつっこかった。
「くくるー」
ブルンが、馬のだしたあれを食べる。
街道でされたら、処分に困るので、正直助かった。
砂漠地方について、その熱さに服を薄くしようとして、浮竹に怒られた。
「暑くても、フードとマントをかぶっておけ。熱射病になるぞ。水分は十分にとれ」
ダークエルフはもともと密林に住んでいたので、砂漠の経験はほとんどなく、浮竹の指示に従った。
水分をいらないとかんじても飲むようにした。
水は魔法でいくらでも作り出せる。
「氷水を袋に詰めたものだ。これで熱い体を冷やしておけ。念のために、涼しい気温になれる魔法をかけておく」
涼しくなる魔法は民間魔法で、使える者は少なく、重宝された。
「あ、涼しい~。それにこの氷水の袋きもちいいよ」
「俺たちエンシェントエルフは、ダークエルフよりも気温の変化に敏感だからな。砂漠地帯に入る前に、涼しくなる魔法を使っていたが、お前にもかけてやればよかったな」
「ううん、僕はもともと密林に住んでいたから、暑さには強いよ。ただ、こんな乾燥した暑さの直射日光ははじめてだけど」
「砂漠は死の世界だ。気をつけろ」
「SHYASYASYA!」
馬車を砂漠の入り口付近において、サンドワームが出そうな砂場にきたのだが、早速反応があった。
「GYAOOOOOO!!」
涎を垂らした巨大な口をもつ、サンドワームが現れた。それも一遍に6匹も。
「エターナルアイシクルワールド!」
「ウォータープリズン!」
5匹を仕留めたが、1匹を仕留めそこねた。
「危ない、ブルン!」
「くくるーーー!!!!」
ブルンは、酸の液体を吐いて、サンドワームをあっけなく倒してしまった。
「ブルン・・・・お前、これ一応Aランクモンスターだぞ。よく倒せたな」
「くっくるーー!!」
ブルンの真っ黒な体が光り出した。
「なに、どうしたの?」
「多分、存在の進化だ。ブルンはブラックスライムだけど、種族は精密にはヒュージスライムになっている。元々会った時からヒュージスライムでLVも高かった。さっき、サンドワームを倒したことで、獲得経験値が一定数に満ちて、進化を始めたのだろう」
「なんのスライムになるんだろう」
「ヒュージスライムはビッグスライムの亜種だから、スライムロードかキングスライムか・・・・」
ブルンの光が終わった。
そこには、黒いが頭の上に薄い輪っかのあるスライムになっていた。
「ヒーリングスライムだ!このまま進化していけば、エンジェリングスライムになれるぞ!」
浮竹は興奮していた。
エンジェリングスライムは文献でしか見たことがない。
世界でも数例の目撃例がなくて、とても珍しいスライムだった。
レアメタルスライム並みに珍しい。
ブラックスライムの色を保ったまま、エンジェリングスライムに進化できるとしたら、相変わらずゴミは処理してくれるのだろう。
「くくるーーー」
ブルンは、暑さで奪われた体力を、ヒーリングで癒してくれた。
「ヒーリングスライムは、ヒーリングをするからな。京楽、お前の回復魔法より効くぞ」
「わー、僕の存在意義が1つ奪われた。まぁいいや。ブルン、君凄いね。ヒーリングスライムだなんて、冒険者ギルドに連れていっても大丈夫かな?」
「京楽のシャイターン一族の紋章が刻まれてある。盗まれても、自力で戻ってこれる知恵と手段はあるし、シャイターン一族の紋章があれば、売りものにはならないから、売られようとしても捨てられるだろう」
灼熱のシャイターン。魔王ヴェルの配下の四天王の一人であり、京楽の実の母親であった。
その一族のハヤブサの紋章を、テイムした時に刻んだのだ。
黒い体の一部に、うっすらとだが輝くハヤブサの紋章が光っていた。
「じゃあ、連れて行っても大丈夫か」
「誰でもかわまずヒーリングするから、ちゃんと癒す相手は味方とこっちが許した相手だけと覚えさせる必要があるな」
「くるるーー」
ブルンの知能は、15歳くらいになっていた。
任せろといっているらしかった。
体はヒュージスライムの頃より一回り小さくなって、両手ですくえるような重さだった。
「軽いから、持ち運びが楽になったね」
「くくるー」
どんどんけがしてくれ。癒すから。
「おいおい、そうほいほいと怪我をしていちゃ、Aランク冒険者なんてやっていけないよ」
「くくるーーー」
ヒーリングスライムになったブルンが、急いで馬車のあるほうへ向かっていった。
「どうしたの!」
「くくる!!!」
「馬が襲われてるって!」
「サンドワームの生き残りかい!」
その通り、サンドワームの生き残りが馬を襲って、今すぐにでも食べようとしている瞬間だった。
そのサンドワームの口の中に、酸の液体を注ぎ込むブルン。
「でかした!エアリアルエッジ!」
「GROROREORO!!」
サンドワームは酸で焼かれて、体を斬り裂かれて大地に横たわる。
まだかろうじで生きていた。
「馬は!?」
「だめだ、複雑骨折してる。これじゃとても、走れない」
「くくるーーーー」
ブルンは癒しの魔法を馬に使った。馬は何事もなかったかのように立ち上がり、蹄で地面を蹴って、元気さをアピールしていた。
「これ、ゴールデンポーション並みの効き目じゃない?」
「ヒールの範囲や加減の仕方も教えておかないとな」
さっきのヒールは範囲魔法だったのか、死にかけていたサンドワームが復活していた。
「アイシクルクラッシャー!」
「アイスチャクラム!」
氷の輪っかで体を斬り裂かれ、とどめに氷の巨大な塊が天から降ってくる。
「GYOAAAAAAAAAAA!!」
断末魔をあげて、最後のサンドワームは潰れて息絶えた。
「くくるーー」
「こら、ブルン。敵まで癒してどうするの」
「くくる?」
「いいか、ちゃんとヒールを使う相手とヒールの威力を選べ。できるだけ単体に魔法をかけること。敵には指示がないまでヒールは一切使わないこと。味方単体のヒールの魔法は最上級で構わない。癒してくれと頼んだ相手は、まずは中級の回復魔法を頼む」
「くくるーーーー!!」
わかったよと、ブルンはぽよんぽよんと飛び跳ねて、浮竹の頭の上に乗った。
「小さくなったなぁ。プルンにあった時、びっくりされるんじゃないのかい?」
「くくう?」
どうして?僕は僕だよ?」
「いや、君小さくなった上に頭に薄い輪っかもあって、前と見た目かなり違うから」
「くくーー」
「ブルンなら弟だから大丈夫?それもそうかもね」
ヒーリングスライムに進化したブルンを連れて、馬車に乗って冒険者ギルドに帰った。
サンドワームの魔石は、ブルンにとってもらった。なぞの液体にまみれたサンドワームに触りたくなかったからだ。
7個の魔石を提出すると、受付嬢は早速鑑定を行い、サンドワームの魔石であることが確認された。
今まで放置していただけあって、魔石の魔力濃度が高くて、魔石は7匹分で金貨50枚になった。
ただ、報酬金が金貨100枚と、Aランクの依頼では一番最低だった。
他に素材もなかったので、収入は金貨150枚。出費が金貨6枚なので、利益は金貨144枚だった。
Bランクの収入より少ない。
「サンドワーム退治はもうこりごりだ」
「あの気持ち悪い液体、触れたくないしね」
「いやん、二人ともお疲れさま♪」
キャサリンは、二人の尻を撫でた。
「セクハラするな、この青髭オカマ!」
「そうだよ、セクハラ反対!」
「酷い!ただの愛情表現なのに!あ~ら?この子、なんか変わったわね。一回り小さくなってるし、薄いけど輪っかもついてる・・・・このままいけば、エンジェリグスライムに・・・」
「わ~~!!いくぞ、京楽」
「待ってよ、浮竹」
ブルンを懐にしまいこんで、浮竹と京楽は、ギルドマスターのキャサリンの魔の手から、ブルンを守るべくマイホームに帰っていくのであった。
「くくるーーー」
「仕方ないだろう。今日でお別れだ。またすぐに会いにこれるから」
「くくー」
「プルルン?」
どうしてお兄ちゃんいなくなっちゃうの?
プルンには分からないことだらけだった。
エルフの浮竹と京楽は、けっこうが額を貯金しているが、仕事をしなければいけない。Sランクが世界で77人しかいない現在、Aランクが実質的な冒険者ギルドのTOPであった。
そんな二人がいつまでも仕事の依頼を受けないと、溜まっていく依頼もある。
人が受けたがらないような依頼まで受けるので、余計だった。
さて、イアラ帝国の帝都アスランに帰ってきた二人は、さっそく冒険者ギルドに出かけた。B~Sランクの依頼書がたくさん掲示されてあった。
「どれどれ・・・Sランクはエンシェントドラゴン退治、ファイアドラゴン退治、ブラックドラゴン退治・・・どれもこれもドラゴン退治ばかりじゃないか!僕たちが倒せるはずもない」
「普通にAランクの依頼を受けよう。これが一番古いな。サンドワーム退治・・・あああ」
サンドワームは、砂漠のミミズのモンスターだ。肉食で、地上にいるモンスターや人間を襲って地中に引き込み、食べてしまう。
見た目のグロテスクさと、全く素材にならないから人気がなく、何時まで経っても放置されている依頼であった。
「あらん、ちょっとだけお久しぶりね、あなたたち♡」
「キャサリンギルドマスター・・・・・」
「いやーん、キャサリンじゃなくって、キャシーって呼んでっていってるじゃない~」
ギルドマスターはオカマで、ふりふりのゴスロリの衣装をしていた。
クネクネしているので、いつもは視界に入っても、見ないふりをしているのだが、顔は顎が割れているし、ヒゲがこくて剃っても青いので、影で青髭オカマと呼ばれていた。
「サンドワームの仕事、引き受けてくれるのかしらん。誰も引き受けてくれないから、困っていたのよね♡」
「引き受けるから、顔を近づけさせないでくれないか」
「あらん、うっきーちゃん今日も男前♡」
言葉と一緒に軽く尻を触られて、浮竹はキャサリンの足を思いっきり踏んづけていた。
「いやん、乙女に乱暴はだ・め・よ♡」
「この依頼、行ってくるから馬車かりるよ。3日はかかるだろうから、金貨6枚置いていくね」
冒険者ギルドは馬車の貸し出しもしている。御者のいない馬車なら1日金貨2枚。御者がいると金貨3枚だ。
ちなみに馬を浮竹も京楽も操れるので、お互い睡眠をとって交代で馬車を走らせた。
馬がつぶれるといけないので、途中途中で休憩をとり、1日10時間ほど走ってもらった。
葦毛のよい馬で、よく訓練されていて人なつっこかった。
「くくるー」
ブルンが、馬のだしたあれを食べる。
街道でされたら、処分に困るので、正直助かった。
砂漠地方について、その熱さに服を薄くしようとして、浮竹に怒られた。
「暑くても、フードとマントをかぶっておけ。熱射病になるぞ。水分は十分にとれ」
ダークエルフはもともと密林に住んでいたので、砂漠の経験はほとんどなく、浮竹の指示に従った。
水分をいらないとかんじても飲むようにした。
水は魔法でいくらでも作り出せる。
「氷水を袋に詰めたものだ。これで熱い体を冷やしておけ。念のために、涼しい気温になれる魔法をかけておく」
涼しくなる魔法は民間魔法で、使える者は少なく、重宝された。
「あ、涼しい~。それにこの氷水の袋きもちいいよ」
「俺たちエンシェントエルフは、ダークエルフよりも気温の変化に敏感だからな。砂漠地帯に入る前に、涼しくなる魔法を使っていたが、お前にもかけてやればよかったな」
「ううん、僕はもともと密林に住んでいたから、暑さには強いよ。ただ、こんな乾燥した暑さの直射日光ははじめてだけど」
「砂漠は死の世界だ。気をつけろ」
「SHYASYASYA!」
馬車を砂漠の入り口付近において、サンドワームが出そうな砂場にきたのだが、早速反応があった。
「GYAOOOOOO!!」
涎を垂らした巨大な口をもつ、サンドワームが現れた。それも一遍に6匹も。
「エターナルアイシクルワールド!」
「ウォータープリズン!」
5匹を仕留めたが、1匹を仕留めそこねた。
「危ない、ブルン!」
「くくるーーー!!!!」
ブルンは、酸の液体を吐いて、サンドワームをあっけなく倒してしまった。
「ブルン・・・・お前、これ一応Aランクモンスターだぞ。よく倒せたな」
「くっくるーー!!」
ブルンの真っ黒な体が光り出した。
「なに、どうしたの?」
「多分、存在の進化だ。ブルンはブラックスライムだけど、種族は精密にはヒュージスライムになっている。元々会った時からヒュージスライムでLVも高かった。さっき、サンドワームを倒したことで、獲得経験値が一定数に満ちて、進化を始めたのだろう」
「なんのスライムになるんだろう」
「ヒュージスライムはビッグスライムの亜種だから、スライムロードかキングスライムか・・・・」
ブルンの光が終わった。
そこには、黒いが頭の上に薄い輪っかのあるスライムになっていた。
「ヒーリングスライムだ!このまま進化していけば、エンジェリングスライムになれるぞ!」
浮竹は興奮していた。
エンジェリングスライムは文献でしか見たことがない。
世界でも数例の目撃例がなくて、とても珍しいスライムだった。
レアメタルスライム並みに珍しい。
ブラックスライムの色を保ったまま、エンジェリングスライムに進化できるとしたら、相変わらずゴミは処理してくれるのだろう。
「くくるーーー」
ブルンは、暑さで奪われた体力を、ヒーリングで癒してくれた。
「ヒーリングスライムは、ヒーリングをするからな。京楽、お前の回復魔法より効くぞ」
「わー、僕の存在意義が1つ奪われた。まぁいいや。ブルン、君凄いね。ヒーリングスライムだなんて、冒険者ギルドに連れていっても大丈夫かな?」
「京楽のシャイターン一族の紋章が刻まれてある。盗まれても、自力で戻ってこれる知恵と手段はあるし、シャイターン一族の紋章があれば、売りものにはならないから、売られようとしても捨てられるだろう」
灼熱のシャイターン。魔王ヴェルの配下の四天王の一人であり、京楽の実の母親であった。
その一族のハヤブサの紋章を、テイムした時に刻んだのだ。
黒い体の一部に、うっすらとだが輝くハヤブサの紋章が光っていた。
「じゃあ、連れて行っても大丈夫か」
「誰でもかわまずヒーリングするから、ちゃんと癒す相手は味方とこっちが許した相手だけと覚えさせる必要があるな」
「くるるーー」
ブルンの知能は、15歳くらいになっていた。
任せろといっているらしかった。
体はヒュージスライムの頃より一回り小さくなって、両手ですくえるような重さだった。
「軽いから、持ち運びが楽になったね」
「くくるー」
どんどんけがしてくれ。癒すから。
「おいおい、そうほいほいと怪我をしていちゃ、Aランク冒険者なんてやっていけないよ」
「くくるーーー」
ヒーリングスライムになったブルンが、急いで馬車のあるほうへ向かっていった。
「どうしたの!」
「くくる!!!」
「馬が襲われてるって!」
「サンドワームの生き残りかい!」
その通り、サンドワームの生き残りが馬を襲って、今すぐにでも食べようとしている瞬間だった。
そのサンドワームの口の中に、酸の液体を注ぎ込むブルン。
「でかした!エアリアルエッジ!」
「GROROREORO!!」
サンドワームは酸で焼かれて、体を斬り裂かれて大地に横たわる。
まだかろうじで生きていた。
「馬は!?」
「だめだ、複雑骨折してる。これじゃとても、走れない」
「くくるーーーー」
ブルンは癒しの魔法を馬に使った。馬は何事もなかったかのように立ち上がり、蹄で地面を蹴って、元気さをアピールしていた。
「これ、ゴールデンポーション並みの効き目じゃない?」
「ヒールの範囲や加減の仕方も教えておかないとな」
さっきのヒールは範囲魔法だったのか、死にかけていたサンドワームが復活していた。
「アイシクルクラッシャー!」
「アイスチャクラム!」
氷の輪っかで体を斬り裂かれ、とどめに氷の巨大な塊が天から降ってくる。
「GYOAAAAAAAAAAA!!」
断末魔をあげて、最後のサンドワームは潰れて息絶えた。
「くくるーー」
「こら、ブルン。敵まで癒してどうするの」
「くくる?」
「いいか、ちゃんとヒールを使う相手とヒールの威力を選べ。できるだけ単体に魔法をかけること。敵には指示がないまでヒールは一切使わないこと。味方単体のヒールの魔法は最上級で構わない。癒してくれと頼んだ相手は、まずは中級の回復魔法を頼む」
「くくるーーーー!!」
わかったよと、ブルンはぽよんぽよんと飛び跳ねて、浮竹の頭の上に乗った。
「小さくなったなぁ。プルンにあった時、びっくりされるんじゃないのかい?」
「くくう?」
どうして?僕は僕だよ?」
「いや、君小さくなった上に頭に薄い輪っかもあって、前と見た目かなり違うから」
「くくーー」
「ブルンなら弟だから大丈夫?それもそうかもね」
ヒーリングスライムに進化したブルンを連れて、馬車に乗って冒険者ギルドに帰った。
サンドワームの魔石は、ブルンにとってもらった。なぞの液体にまみれたサンドワームに触りたくなかったからだ。
7個の魔石を提出すると、受付嬢は早速鑑定を行い、サンドワームの魔石であることが確認された。
今まで放置していただけあって、魔石の魔力濃度が高くて、魔石は7匹分で金貨50枚になった。
ただ、報酬金が金貨100枚と、Aランクの依頼では一番最低だった。
他に素材もなかったので、収入は金貨150枚。出費が金貨6枚なので、利益は金貨144枚だった。
Bランクの収入より少ない。
「サンドワーム退治はもうこりごりだ」
「あの気持ち悪い液体、触れたくないしね」
「いやん、二人ともお疲れさま♪」
キャサリンは、二人の尻を撫でた。
「セクハラするな、この青髭オカマ!」
「そうだよ、セクハラ反対!」
「酷い!ただの愛情表現なのに!あ~ら?この子、なんか変わったわね。一回り小さくなってるし、薄いけど輪っかもついてる・・・・このままいけば、エンジェリグスライムに・・・」
「わ~~!!いくぞ、京楽」
「待ってよ、浮竹」
ブルンを懐にしまいこんで、浮竹と京楽は、ギルドマスターのキャサリンの魔の手から、ブルンを守るべくマイホームに帰っていくのであった。
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