カナリアⅡ「カナリアは籠から出る」
「ロックオン・・・・本当にいいの?カナリアを・・・・家に連れてってくれるって」
「ああ。ティエリア・・・・って、呼んでいいのかな?」
「うん。カナリアはティエリアでもあるよ。呼び方はティエリアで平気」
ティエリアは、本当に天使のような笑顔を浮かべる。
どこまでも無垢な・・・世界から隔絶された存在。
何も、邪気のあることなどや犯罪なんて知らない、そんな表情。
カナリアが、約束してくれた。
ティエリアを守ってくれると。
ティエリアは、今は眠っている。時がたてば、自分の意思で立ち上がるために目覚めるのだと、カナリアが約束してくれた。
これは・・・・贖罪。
ロックオンは思う。
カナリアは、またティエリアを守ってくれたのだ。
そして、また消える。ティエリアが目覚めたら。
だから、贖罪。
せめて、カナリアがいる間にできるだけの愛をカナリアに注ごう。
だから、ロックオンはまず、カナリアであるティエリアを、自分の生家に連れて行った。
ティエリアを何度もこの生家に連れてきた。でも、カナリアを連れてくるのははじめてだ。
「カナリア、嬉しいな。カナリアは・・・私は、本当は女性の人格なの」
「女の子、だったんだ?」
ロックオンの生家のベッドの上で、二人は静かな時間を過ごす。
「ロックオンとまたこうして会えるなんて、夢みたい」
ロックオンは、ティエリアの頭を撫でる。
ティエリアの手が伸びる。
ロックオンが、首からぶらさげたロケットベンダントを掴む。
「ああこれ・・・・ティエリアから、カナリアの形見だって」
「そう。ティエリアは本当にいい子・・・優しくて、強くて、でも・・・寂しがりやなの」
「分かってるよ」
優しいエメラルドの瞳。
その瞳を、永遠に自分のものにしようとカナリアは思わない。
それができるけれど、それはしない。
だって、ティエリアが消えてしまうから。
カナリアにとって、ロックオンと同じくらいにティエリアは愛しくて大切な存在なのだ。
「クローゼットの中・・・・ティエリアの服でいっぱい・・・・。カナリアも着てもいい?」
クローゼットをあけて、少し物色するティエリアに、ロックオンは優しい微笑を向けた。
「どれでも、すきな服着るといい。全部、ティエリアのために買ったんだから、カナリアのものでもある」
「ありがとう、嬉しい」
カナリアは、迷いもなく、新品でまだティエリアが着たことのない、女性用の衣服を取り出す。
「これが、好き。カナリアと同じ色・・・黄色」
ふわふわしたかわいいデザインのゴシックドレス。ゴシックロリータが入った服を、ロックオンは時折買ってくるが、その全てにティエリアが袖を通すわけではない。
ティエリアは、女性用の衣服より、ユニセックスな中性的な衣服を好んだし、ゴスロリな服を着るときもあったが、それでもやはり抵抗感というものがあるらしい。仕方のないことだ。
「着てもいい?」
「いいよ」
頭を撫でてやる。
そのまま服を脱ぎだすティエリアに、ロックオンは背中を向けた。
ふわふわした黄色のゴシックドレスは、とてもティエリアに似合っていた。
ヘッドフリルをかわりにつけてやる。
黄色いリボンが、背中まで流れる。
「背中のチャックがしまらないの。しめて?」
ねだるように甘えてくるティエリアの言葉通りにする。
「ロックオン。デートして・・・っていったら、してくれる?」
「ああ、どこでも好きなとこ連れてってやるよ」
「ありがとう、大好き!」
ティエリアは、ロックオンに抱きついた。
「ロックオンと一緒に町を歩いて・・・映画館にいって、一緒にレストランで食事して、それから、それから」
「何も、そんなに焦ることないだろう?時間はあるんだし」
「そうだね」
ロックオンは知らない。
カナリアがいられる時間は、ロックオンが思っていた以上に短いことを。
カナリアは、2週間くらいはティエリアは眠っているといったのだ。その言葉に、不安になりつつも、こうして何もしてあげれなかったカナリアに愛をあげる時間がちゃんとできたことに感謝さえしていた。
車を駐車場から出してくるロックオンを、ティエリアは待っていた。
そして、青空を見上げる。
「カナリアは嘘つき・・・・ごめんね、ロックオン」
「ああ。ティエリア・・・・って、呼んでいいのかな?」
「うん。カナリアはティエリアでもあるよ。呼び方はティエリアで平気」
ティエリアは、本当に天使のような笑顔を浮かべる。
どこまでも無垢な・・・世界から隔絶された存在。
何も、邪気のあることなどや犯罪なんて知らない、そんな表情。
カナリアが、約束してくれた。
ティエリアを守ってくれると。
ティエリアは、今は眠っている。時がたてば、自分の意思で立ち上がるために目覚めるのだと、カナリアが約束してくれた。
これは・・・・贖罪。
ロックオンは思う。
カナリアは、またティエリアを守ってくれたのだ。
そして、また消える。ティエリアが目覚めたら。
だから、贖罪。
せめて、カナリアがいる間にできるだけの愛をカナリアに注ごう。
だから、ロックオンはまず、カナリアであるティエリアを、自分の生家に連れて行った。
ティエリアを何度もこの生家に連れてきた。でも、カナリアを連れてくるのははじめてだ。
「カナリア、嬉しいな。カナリアは・・・私は、本当は女性の人格なの」
「女の子、だったんだ?」
ロックオンの生家のベッドの上で、二人は静かな時間を過ごす。
「ロックオンとまたこうして会えるなんて、夢みたい」
ロックオンは、ティエリアの頭を撫でる。
ティエリアの手が伸びる。
ロックオンが、首からぶらさげたロケットベンダントを掴む。
「ああこれ・・・・ティエリアから、カナリアの形見だって」
「そう。ティエリアは本当にいい子・・・優しくて、強くて、でも・・・寂しがりやなの」
「分かってるよ」
優しいエメラルドの瞳。
その瞳を、永遠に自分のものにしようとカナリアは思わない。
それができるけれど、それはしない。
だって、ティエリアが消えてしまうから。
カナリアにとって、ロックオンと同じくらいにティエリアは愛しくて大切な存在なのだ。
「クローゼットの中・・・・ティエリアの服でいっぱい・・・・。カナリアも着てもいい?」
クローゼットをあけて、少し物色するティエリアに、ロックオンは優しい微笑を向けた。
「どれでも、すきな服着るといい。全部、ティエリアのために買ったんだから、カナリアのものでもある」
「ありがとう、嬉しい」
カナリアは、迷いもなく、新品でまだティエリアが着たことのない、女性用の衣服を取り出す。
「これが、好き。カナリアと同じ色・・・黄色」
ふわふわしたかわいいデザインのゴシックドレス。ゴシックロリータが入った服を、ロックオンは時折買ってくるが、その全てにティエリアが袖を通すわけではない。
ティエリアは、女性用の衣服より、ユニセックスな中性的な衣服を好んだし、ゴスロリな服を着るときもあったが、それでもやはり抵抗感というものがあるらしい。仕方のないことだ。
「着てもいい?」
「いいよ」
頭を撫でてやる。
そのまま服を脱ぎだすティエリアに、ロックオンは背中を向けた。
ふわふわした黄色のゴシックドレスは、とてもティエリアに似合っていた。
ヘッドフリルをかわりにつけてやる。
黄色いリボンが、背中まで流れる。
「背中のチャックがしまらないの。しめて?」
ねだるように甘えてくるティエリアの言葉通りにする。
「ロックオン。デートして・・・っていったら、してくれる?」
「ああ、どこでも好きなとこ連れてってやるよ」
「ありがとう、大好き!」
ティエリアは、ロックオンに抱きついた。
「ロックオンと一緒に町を歩いて・・・映画館にいって、一緒にレストランで食事して、それから、それから」
「何も、そんなに焦ることないだろう?時間はあるんだし」
「そうだね」
ロックオンは知らない。
カナリアがいられる時間は、ロックオンが思っていた以上に短いことを。
カナリアは、2週間くらいはティエリアは眠っているといったのだ。その言葉に、不安になりつつも、こうして何もしてあげれなかったカナリアに愛をあげる時間がちゃんとできたことに感謝さえしていた。
車を駐車場から出してくるロックオンを、ティエリアは待っていた。
そして、青空を見上げる。
「カナリアは嘘つき・・・・ごめんね、ロックオン」
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