カナリアⅡ「戻ってきたカナリア」
カインとアベル・・・・アダムとイヴが、失楽園の後に生まれた兄弟。血が繋がっていながら、カインはアベルを殺した。ヤハウェにアベルの行方を問われたカインは「知りません。私は永遠に弟の監視者なのですか?」と答えた。これが人間の吐いた最初の嘘だという。
カインとアベルはアダムとイヴの間にできた兄弟。イヴはエヴァとも呼ばれる。
「カインが犯した罪は、弟殺し・・・・・」
ヴェーダから教えられた情報である。もはや、ティエリアはヴェーダとリンクできない。
ヴェーダを失ったとき、ティエリアは封印されていた記憶を少しづつ取り戻していた。
カナリアが、もっていってくれた辛い記憶。
辛い記憶は、僕が全部持っていくから。
どうか、僕のことを忘れないで。
僕はカナリア。
籠の中で歌う鳥。あなただけのために歌うカナリア。
ティエリアのかわりに辛い思いをして消えたカナリア。
「ティエリア?」
システムルームから出てきたところを、ロックオンに見つかった。
ティエリアは身を振るわせた。
シルテムルームに入って、失った記憶は鮮明なものになった。
「こないで!いやだ、いやだ、いやだ!!!」
「おい、しっかりしろ、ティエリア」
「僕はヴェーダに拒否された!何もかも思い出したんだ!僕はオランダの娼館で体を無理やり売らされていた。僕は穢れている。あなたの傍にいられない」
いくつもの涙が、ティエリアの石榴の瞳に浮かんでは、流れていく。
もうおしまいだ。
純粋な愛も、これできっと壊れてしまう。
ああ。
助けて。
助けて・・・・・手を伸ばすと、その手をぎゅっと握ってくれる者が、ティエリアの中にいた。
「俺は、どんなティエリアでも愛している」
「うう・・・・ああああ」
ティエリアは泣き崩れた。
「おやすみなさい、ティエリア」
「ティエリア?」
ロックオンは、放心したように地面に蹲るティエリアを抱きしめる。
ティエリアがどんなになっても、どんなことになっても、ロックオンはティエリアを愛するだろう。
ティエリアは、涙を流しながら、ロックオンに抱きついた。
辛い記憶を思い出したのなら、普通のティエリアなら錯乱してもおかしくないはずなのに、ティエリアは泣いた後、氷の花のような微笑を零した。
「ティエリア?」
壊れてしまったのかと、とてつもない恐怖にかられるロックオンを安心させるように、ティエリアはロックオンの手を握り締める。
「ティエリアはね、今、辛くて眠ってるの。ティエリアはヴェーダを失って、心のよりどころをなくしてしまった。僕がもっていった記憶を思い出してしまった。でも、恐れないで。ティエリアは、カナリアが守るから。ほんのしばらくの間、眠りについただけ。消えたわけじゃないから。その間、カナリアがティエリアを守るよ」
にこりと、微笑む笑顔は本当に満開の花のようで、こんな笑顔をする人間は一人しか知らない。
「・・・・・・・・カナリア?」
「うん、そうなの。覚えててくれたんだ」
嬉しそうに、ティエリアはロックオンを見て、ただ深く深く微笑むのであった。
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仮眠いってきまーす。駄作長編の予感・・・
カインとアベルはアダムとイヴの間にできた兄弟。イヴはエヴァとも呼ばれる。
「カインが犯した罪は、弟殺し・・・・・」
ヴェーダから教えられた情報である。もはや、ティエリアはヴェーダとリンクできない。
ヴェーダを失ったとき、ティエリアは封印されていた記憶を少しづつ取り戻していた。
カナリアが、もっていってくれた辛い記憶。
辛い記憶は、僕が全部持っていくから。
どうか、僕のことを忘れないで。
僕はカナリア。
籠の中で歌う鳥。あなただけのために歌うカナリア。
ティエリアのかわりに辛い思いをして消えたカナリア。
「ティエリア?」
システムルームから出てきたところを、ロックオンに見つかった。
ティエリアは身を振るわせた。
シルテムルームに入って、失った記憶は鮮明なものになった。
「こないで!いやだ、いやだ、いやだ!!!」
「おい、しっかりしろ、ティエリア」
「僕はヴェーダに拒否された!何もかも思い出したんだ!僕はオランダの娼館で体を無理やり売らされていた。僕は穢れている。あなたの傍にいられない」
いくつもの涙が、ティエリアの石榴の瞳に浮かんでは、流れていく。
もうおしまいだ。
純粋な愛も、これできっと壊れてしまう。
ああ。
助けて。
助けて・・・・・手を伸ばすと、その手をぎゅっと握ってくれる者が、ティエリアの中にいた。
「俺は、どんなティエリアでも愛している」
「うう・・・・ああああ」
ティエリアは泣き崩れた。
「おやすみなさい、ティエリア」
「ティエリア?」
ロックオンは、放心したように地面に蹲るティエリアを抱きしめる。
ティエリアがどんなになっても、どんなことになっても、ロックオンはティエリアを愛するだろう。
ティエリアは、涙を流しながら、ロックオンに抱きついた。
辛い記憶を思い出したのなら、普通のティエリアなら錯乱してもおかしくないはずなのに、ティエリアは泣いた後、氷の花のような微笑を零した。
「ティエリア?」
壊れてしまったのかと、とてつもない恐怖にかられるロックオンを安心させるように、ティエリアはロックオンの手を握り締める。
「ティエリアはね、今、辛くて眠ってるの。ティエリアはヴェーダを失って、心のよりどころをなくしてしまった。僕がもっていった記憶を思い出してしまった。でも、恐れないで。ティエリアは、カナリアが守るから。ほんのしばらくの間、眠りについただけ。消えたわけじゃないから。その間、カナリアがティエリアを守るよ」
にこりと、微笑む笑顔は本当に満開の花のようで、こんな笑顔をする人間は一人しか知らない。
「・・・・・・・・カナリア?」
「うん、そうなの。覚えててくれたんだ」
嬉しそうに、ティエリアはロックオンを見て、ただ深く深く微笑むのであった。
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仮眠いってきまーす。駄作長編の予感・・・
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