ゼロだけにね、ケタが違うの(魔女と魔王シリーズ)
「はい、小さなお兄様」
「ありがとう、ナナリー」
ナナリーは、バレンタインのチョコレートがたくさんつまった包みを小さなルルーシュに渡す。
「これ、俺から」
「まぁ」
ナナリーが、花のように満開の笑顔を見せる。
ルルーシュが、自分で作ったクッキーだった。無論、C.C.の手をかりているが。
まだ5歳の小さなルルーシュには、クッキングというのは身長との戦いだ。
「おや、ナナリーからもらったのか」
「そうだ」
母親でも恋人でもあるC.C.が、小さなルルーシュの頭を撫でる。
「これで、205個めだな」
「205!?」
ナナリーが驚く。
「何を驚くことがある、ナナリー。ルルーシュは、一人の将来有望な皇族の男性だぞ。見初められようと、それはそれは同い年の少女から、年の離れたレディまで、たくさんの女性がルルーシュにチョコレートを渡していたぞ」
「小さなお兄様、本当ですか?」
「いや、ナナリー、あの・・・」
ナナリーは、詰問するかと思うと、にっこりと微笑んだ。
「流石私のお兄様。もてるって素晴らしいことですわ」
「ナナリー・・・・(汗)」
C.C.が、考えのずれた皇帝にかけるべき声も見当たらず、おろおろしていた。
「何はともあれ・・・そうだな。確かにもてすぎかもしれん」
「そうか?アッシュフォード学園にいた頃もこんなものだった」
「そうですわね、小さなお兄様は本当にバレンタインの年になると全女生徒からチョコレートをもらって・・・ああ、懐かしい」
思いを馳せる。
「本命は、C.C.とナナリーと小さなユーフェミアだけだから!」
小さなルルーシュは、クッキーを渡す相手が本命なのだろう。
それでも、三人いる。
絞りきれないらしい。
「光栄ですわ、小さなお兄様」
ナナリーは、車椅子の上に小さなルルーシュを乗せ、アリエス宮の中庭に出る。
「スザクさん。お茶の用意をお願いします」
「イエスマイロード」
私服に着替えて待機していたスザクが、私用にこき使われる姿を、小さなルルーシュはにやにやと見ていた。
「スザクはいくつもらった?」
「さぁ・・・・10万こえてた」
「は?」
「その・・・全世界、からね」
「はぁ」
小さなルルーシュは目を点にして、ナナリーに抱かれたまま、しばし放心状態だった。
中庭のテーブルにお茶の用意ができて、皆集まる。
バレンタインの、10万個のゼロにへと捧げられたチョコレートは、全て点検された後、アフリカを中心とした学校に配られ、おやつとしてだされたという。
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