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ドラゴン族の子とミミック10

その日は、牧場のミミックたちの健康診断の日だった。

体重をはかり、口の中を見て、健康状態を把握する。たまに、変なものを食ってお腹を壊すミミックもいるので、口の中の空洞(お腹)はよく見なければいけない。

「ああ、75号俺のブーツ食ってた。こら!」

「きしきし」

ブーツをとりあげられて、ミミック75号は不満を訴えるので、とりあえず中に害のない、空き瓶に星の砂をいれたのをいれる。

「これなら、珍しいから守る価値があるだろう?」

「きしきし」

他のミミックたちが、いいなぁと星の砂の瓶をもらった75号を取り囲む。

「あーもう、お前たち仕方ないなぁ。みんなお揃いだ」

星の砂を空き瓶にいれた小さなプレゼントをみんな受け取って、ミミックたちは嬉しそうだった。

ダンジョンに放つ前なので、まだ宝をもっていないせいだ。

ミミックは宝物をもちたがるので、たまに変なものを宝物として体の中で保管してしまう。

熊の壊れたぬいぐるみはまだよかった。

中には自転車のタイヤとか、自転車のハンドルとか。

前に浮竹が購入した自転車がなくなったのだが、ミミックたちの仕業だった。

「よし、みんな健康だな。1週間後には、50号~60号までをダンジョンに放つからな」

「きしきし」

ミミックたちは、50号~60号のミミックたちを、囲んで、自分たちでお別れ会をはじめる。

「きしきし」

「はいはい。ブラックワイバーンの肉を用意するから」

「じとーーーーーーー」

「うわ、なんだ京楽!」

「だってええええ。浮竹ってばミミックばっかでちっともボクに構ってくれないじゃない!」

「じゃあ、お前もミミックの健康診断付き合えよ!」

「やだよ!噛まれるから!」

京楽はしくしくと泣いた。

「じゃあ、ブラックワイバーンの肉を焼くから、バーベキューの用意してくれ」

「分かったよ」

浮竹にやっと話しかけられて、京楽は嬉しそうだった。

バーベキューの用意をして、アイテムポケットにある、高級食材のブラックワイバーンの肉を次々と出して焼いていく。

Aランクダンジョンで倒しまくっているので、ミミック牧場の50匹にあげても大丈夫だった。

「来週独り立ちする子たちには、ボクからの選別。ラムネあげるから飲んで」

50号~60号のミミックたちは、しゅわしゅわするラムネを飲んで驚き、中の綺麗なビー玉を
宝物として体内に入れる。

「じゃあ、少し早いが送迎会だ!」

「きしきいしいい」

牧場のミミックたちは、おなかいっぱいブラックワイバーンの肉を食べて、眠ってしまった。

「あれ、暗い?生暖かい‥‥ぬおおお、ミミックの中だあああ」

京楽は寝落ちしていた。

その間にミミックの一匹が、京楽の頭をかじって首まで口の中にいれてしまっていた。

「ぬおおおお!浮竹、とってえええ」

浮竹はいなかった。

「ええ、まじ?この状態でいろと‥‥‥」

「ぎしししし」

京楽の頭をすっぽり口にいれたミミックは、ざまーみろと京楽をからかう。

「こら!」

京楽はふらふらと歩いて、石につまずいてこけた。

「ぎゃふん!」

「ぎゃん!」

ミミックが岩にぶつかって、鳴き声をあげて京楽を解放する。

「こらあああ!誰かと思ったらポチじゃんないか!」

「きししししし」

ポチは、京楽の尻に噛みつく。

「あいたたたた!」

「京楽、何してるんだ?」

「あ、浮竹!ポチがボクをいじめるんだよ!」

「ポチが?」

「きししし?」

きらきらした潤んだ瞳のポチの目を見て、浮竹は京楽の頭をハリセンで殴る。

「お前が悪い」

「なんで!?」

「ポチがそんなことするはずないだろう」

「きししししし」

うらめしい。

浮竹の前ではいい子ぶりっこして、京楽の前では本性を現す。

「きしきし」

「ん?京楽の宝物を持ってるって?」

「きしきし」

「なんだろう」

「だあああああああ、だめだよおおおおお」

京楽が慌てるので、浮竹は京楽を踏み倒してポチから京楽の宝物を見せてもらう。

浮竹の、隠し撮り写真だった。

「京楽ううううう!!!!カラミティサンダー」

「ひぎゃあああああああああああ!!!」

高位の雷の魔法で、京楽は真っ黒こげになって、写真も焦げて塵となるのであった。



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