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ドラゴン族の子とミミック12

浮竹と京楽は、Sランクの浮竹が霊刀の京楽の鞘を見つけたという遺跡にきていた。

ダンジョンでもない遺跡で、ミミックを見つけたのだという。

遺跡は古代魔法文明のもので、数千年前のものだった。

「きしきし」

「ししししし」

「確かにミミックがいるな」

普通のミミックが、ぴょんぴょんとはねている姿を見かける。

他にモンスターの姿はなく、ミミックだけがいた。

「大繁殖かもしれないな」

「そうかもね」

浮竹と京楽は、遺跡をひとりしきり見終えて、隠し扉を見つけた。

中に入ると、古代の偉い錬金術師の部屋だったようで、ミミックについての論文や研究サンプルがたくさんあった。

奥にはカプセルがあって、液体の中でミミックが浮かんでいた。

「どうやら、ここのミミックは人工的に作られて、その後勝手に繁殖したようだ。遺跡には水も緑もあったし、ミミックが生活していける条件は揃っている」

「うん。それにしても、人工的にミミックを生み出したのかい。もっとキメラとかそんな研究でもすればよかったのに」

「ミミックは素晴らしいんだぞ!」

浮竹に首を絞められて、京楽が降参ポーズをとる。

「ミミック‥‥この、液体の中に浮かんでいるミミックは生きているのか?」

カプセルの前に立ち、こんこんとノックしてみると、目をつむっていたミミックが目をあけた。

「きしい?きしきし」

「ここから出たいって言ってる」

「でも、どうすれば?」

「適当にスイッチをいじろう」

「大丈夫?」

「多分」

ゴゴゴゴと音がして、ミミックが浮かんでいたカプセルの液体が排出され、ミミックが出てきた。

「やあ、人工ミミック。俺は浮竹十四郎。人呼んでミミックマスターだ。もしくはミミック博士。こっちは助手の京楽春水」

「いつボクが助手になったのさ!」

「まぁ細かいことはいいだろう。このミミック、色も素材も他のミミックとは全然違う。一度、先生にみてもらうか」



浮竹と京楽は、そのミミックを連れてヤトのSランクの浮竹の家にきていた。

『どうしたんだ?』

「それが、先生が霊刀の京楽の鞘を発見したという遺跡の隠し部屋で、このミミックが人工的に作られていたみたいで。みたこともない素材でできてるようで」

『アダマンタイトだな。幻の金属だ。このミミックはゴーレムのようだな。同時にキメラでもある』

「アダマンタイト。神話に出てくる金属か」

霊刀だった京楽が、精霊の姿でミミックをSランクの浮竹から遠ざけた。

「?」

『呪詛が、かかっている』

「え、まじでかい?」

『ややこしい呪詛で、ボクでも解除は無理だ。うつるようなものではないけれど、念のため主は近づかないでね』

『分かった』

「呪詛か。どうにかしてやりたいが‥‥そうだ、竜人族の血には呪詛などにも効くらしい。試してみるか」

浮竹は、親指をナイフで切って、宝石になる前の血をミミックにかけた。

「きしきしいいいいい」

ぱぁぁぁと輝いて、呪詛がとれた。

ミミックは、黄金色に輝いた。

「まぶしい‥‥」

「きし‥‥‥」

「ありがとう?まて、まだいくな!」

浮竹の腕の中で、ミミックはほろほろと崩れていく。

「ミミック!」

「きしぃ」

ミミックは、すごく嬉しそうに微笑んで、この世界から消えてしまった。

「俺が、殺してしまった‥‥‥‥」

『違う。あの子は、呪いのせいで死ねなかったんだ。解放されて、やっとこの世界からさよならできて、輪廻の輪に戻っていったんだ』

『そうだよ。喜んでいたでしょう?』

「浮竹、泣かないで」

「うん」

消えていったミミックを思い、浮竹は涙を拭きとって、ヤトの町を後にする。

「じゃあ、先生、また」

「またねぇ」

『またな』

『今度こそ、次は泊まっていきなよ?』

浮竹は、遺跡のことは黙っておくことにした。

冒険者ギルドで話せば、学者や隠し財宝などが狙いで荒らされえるだろうから。

ミミックだけの楽園のあの遺跡は、ひっそりと存在していてほしい。

そう思う浮竹と京楽だった。

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