ビーチで(コード継承シリーズ)
カッと照りつける太陽が、白い砂浜に吸い込まれる。
ザーンザーンと音を立てる波は、どこまでも蒼かった。
空にまけないくらいの紺碧。どこまでも広がる大海原。美しい南国の島の景色。椰子の木が生い茂り、木陰では涼しそうに観光客がまどろんでいる。
ビニールシートを広げた上で、ルルーシュはパラソルの下、頭を抱えていた。
南の南国の島。赤道直下にある。ハイビスカスが彩り鮮やかに咲き乱れ、観光客の笑い声が遠くから小波のように聞こえてくる。
我侭をいい出したのは、C.C.である。曰く、南国の島で泳ぎたい。
「たまには、普通の人間にまみれて遊ぶのもいいだろう?」
ニヤリと笑んだC.C.は絶対知っている。ルルーシュの秘密――彼が泳げない、そうかなづちであることを。最高記録16メートル。
アッシュフォード学園に在籍した頃は、何かに理由をつけていつもプールの授業を欠席した。体育が2というルルーシュは、頭脳明晰容姿端麗という恵まれた―――でも神は完全なものを与えてくれなかった。
ルルーシュは運動音痴だった。華奢な体躯に似合わぬ体力を持っていたスザクと違って、本当に、どうしようもない運動音痴だった。
100メートルを走らせれば―――一番最後を走り、そして走りきると息を切らして地面に倒れこむ。
ルルーシュが、ブリタニア帝国の皇子であるから、高貴な血筋であるからとか、そんなこと全く関係ない。現に、妹のナナリーは運動が得意だった。車椅子に乗ることになる前は、かけっこでよく負けたものだ。
そのルルーシュ唯一、運動というものに当てはまるので得意なものは乗馬。乗馬クラブにも入っていたし、ここらへんは幼い子供の頃から乗馬を、今は亡き母から教え込まれたせいもある。
「さぁいくぞルルーシュ!!」
C.C.はばっちり日焼け止めを塗って、 ビキニの水着でニヤリと笑んだ。
とても綺麗な笑顔だったけど、ルルーシュには悪魔の微笑みに見えた。
「お、俺はここで見ている!」
ザァンザァンと波の音が鼓膜を振るわせる。貸切というわけでもないので、他に観光客はいるが、穴場なので人は少なめだ。
C.C.も、あまりに人が多くて泳げない海水浴場など嫌いだろうし。
「ふふふ、何を躊躇っている。魔王だろう、お前は」
「そ、それとこれは関係ない!!」
「そんな黒のビキニパンツなどはいて。やる気十分ではないか」
「これしかもってないんだ!格好も関係ない!!」
ゼロの姿の下は、下半身は実は黒のビキニパンツでした――いや、だって涼しいから。その姿だけだとただの変態にしか見えないのだけど、ゼロの服の下の格好って。
いや、それとこれとは関係ない(思考回路がパンク中)
「さぁ、さぁ!」
ハイビスカスを髪に飾り、豊満な肉体をビキニで隠し、緑の髪をツインテールに結い上げて、C.C.は魅力的な姿でルルーシュを唆す。
白い砂浜を駆け出して、さも追いかけろとばかりに。
「お前もこいよ、ルルーシュ!」
「ま、待て、それは俺のナナリー人形!!」
C.C.の手には、ルルーシュ特製のナナリー人形があった。
「いつの間に!!」
命よりも大事かもしれないナナリー人形を、人形質にとられて、ルルーシュは走り出した。白い砂がシャリシャリと乾いた音を立てる。
C.C.はナナリー人形を片手に、沖まで一気に泳いだ。それを追いかけてルルーシュも海に入り――。
「ナナリー!!ぬおおおナナリーがあああ!!」
と叫んで溺れた。
「本当に、お前は面白い」
浮き輪をぶんと投げられ、それになんとかしがみ付くルルーシュ。
太陽と同じ金色の瞳をしたC.C.。なんて綺麗な瞳だろうか。ルルーシュはそんなことを思う。
ちなみに浮き輪はイルカの姿を模したもの。それにしがみついてバタ足で必死にC.C.を追いかけるルルーシュ。
「泳げなくて何が悪い!!」
「くくく、別に悪いなど誰も言っていないが?」
太陽のコロナのような鮮烈な光を放つ双眸が、パシャリと海の中に消えた。
「この魔女が!ナナリー人形返せ!」
人魚のようにしなやかに水中を泳ぎ、ルルーシュの目の前に浮かんできたC.C.は、髪に飾っていたハイビスカスをルルーシュの髪に飾って笑った。
「たまには、バカンスもいいだろう?」
「知るか」
ルルーシュは蒼い蒼い、サファイアのような海に浮かびながら、髪のハイビスカスを投げ捨てた。それはぽちゃりと小さな音を立てて、波に飲まれて消えていった。
「あの岩まで競争だ」
「無理言うな!俺は泳げないんだ!!」
バシャンとC.C.はルルーシュにこれでもかというほど、水をかけて、海からあがる。
「ちょ、待て、置いていくな!!」
海を漂うルルーシュは、風のせいで中々浜辺にたどり着けない。
「喉が渇いた。ドリンクでも頼んでくるか。ルルーシュ、楽しそうだな」
ポーンと、水で濡れたナナリー人形がルルーシュの上から降ってきた。
「もぎゃ!」
それをキャッチした瞬間、イルカの浮き輪を手放してしまい、ざぶんとルルーシュは碧玉の如き波に沈むと、あたふたと必死で泳いで、イルカの浮き輪にしがみ付く。
「くそ、覚えてろ!」
「ははははは」
ハイビスカスが揺れる。同じように、C.C.の声も、楽しそうに揺れていた。
たまには、息抜きもいいだろう?
ザーンザーンと音を立てる波は、どこまでも蒼かった。
空にまけないくらいの紺碧。どこまでも広がる大海原。美しい南国の島の景色。椰子の木が生い茂り、木陰では涼しそうに観光客がまどろんでいる。
ビニールシートを広げた上で、ルルーシュはパラソルの下、頭を抱えていた。
南の南国の島。赤道直下にある。ハイビスカスが彩り鮮やかに咲き乱れ、観光客の笑い声が遠くから小波のように聞こえてくる。
我侭をいい出したのは、C.C.である。曰く、南国の島で泳ぎたい。
「たまには、普通の人間にまみれて遊ぶのもいいだろう?」
ニヤリと笑んだC.C.は絶対知っている。ルルーシュの秘密――彼が泳げない、そうかなづちであることを。最高記録16メートル。
アッシュフォード学園に在籍した頃は、何かに理由をつけていつもプールの授業を欠席した。体育が2というルルーシュは、頭脳明晰容姿端麗という恵まれた―――でも神は完全なものを与えてくれなかった。
ルルーシュは運動音痴だった。華奢な体躯に似合わぬ体力を持っていたスザクと違って、本当に、どうしようもない運動音痴だった。
100メートルを走らせれば―――一番最後を走り、そして走りきると息を切らして地面に倒れこむ。
ルルーシュが、ブリタニア帝国の皇子であるから、高貴な血筋であるからとか、そんなこと全く関係ない。現に、妹のナナリーは運動が得意だった。車椅子に乗ることになる前は、かけっこでよく負けたものだ。
そのルルーシュ唯一、運動というものに当てはまるので得意なものは乗馬。乗馬クラブにも入っていたし、ここらへんは幼い子供の頃から乗馬を、今は亡き母から教え込まれたせいもある。
「さぁいくぞルルーシュ!!」
C.C.はばっちり日焼け止めを塗って、 ビキニの水着でニヤリと笑んだ。
とても綺麗な笑顔だったけど、ルルーシュには悪魔の微笑みに見えた。
「お、俺はここで見ている!」
ザァンザァンと波の音が鼓膜を振るわせる。貸切というわけでもないので、他に観光客はいるが、穴場なので人は少なめだ。
C.C.も、あまりに人が多くて泳げない海水浴場など嫌いだろうし。
「ふふふ、何を躊躇っている。魔王だろう、お前は」
「そ、それとこれは関係ない!!」
「そんな黒のビキニパンツなどはいて。やる気十分ではないか」
「これしかもってないんだ!格好も関係ない!!」
ゼロの姿の下は、下半身は実は黒のビキニパンツでした――いや、だって涼しいから。その姿だけだとただの変態にしか見えないのだけど、ゼロの服の下の格好って。
いや、それとこれとは関係ない(思考回路がパンク中)
「さぁ、さぁ!」
ハイビスカスを髪に飾り、豊満な肉体をビキニで隠し、緑の髪をツインテールに結い上げて、C.C.は魅力的な姿でルルーシュを唆す。
白い砂浜を駆け出して、さも追いかけろとばかりに。
「お前もこいよ、ルルーシュ!」
「ま、待て、それは俺のナナリー人形!!」
C.C.の手には、ルルーシュ特製のナナリー人形があった。
「いつの間に!!」
命よりも大事かもしれないナナリー人形を、人形質にとられて、ルルーシュは走り出した。白い砂がシャリシャリと乾いた音を立てる。
C.C.はナナリー人形を片手に、沖まで一気に泳いだ。それを追いかけてルルーシュも海に入り――。
「ナナリー!!ぬおおおナナリーがあああ!!」
と叫んで溺れた。
「本当に、お前は面白い」
浮き輪をぶんと投げられ、それになんとかしがみ付くルルーシュ。
太陽と同じ金色の瞳をしたC.C.。なんて綺麗な瞳だろうか。ルルーシュはそんなことを思う。
ちなみに浮き輪はイルカの姿を模したもの。それにしがみついてバタ足で必死にC.C.を追いかけるルルーシュ。
「泳げなくて何が悪い!!」
「くくく、別に悪いなど誰も言っていないが?」
太陽のコロナのような鮮烈な光を放つ双眸が、パシャリと海の中に消えた。
「この魔女が!ナナリー人形返せ!」
人魚のようにしなやかに水中を泳ぎ、ルルーシュの目の前に浮かんできたC.C.は、髪に飾っていたハイビスカスをルルーシュの髪に飾って笑った。
「たまには、バカンスもいいだろう?」
「知るか」
ルルーシュは蒼い蒼い、サファイアのような海に浮かびながら、髪のハイビスカスを投げ捨てた。それはぽちゃりと小さな音を立てて、波に飲まれて消えていった。
「あの岩まで競争だ」
「無理言うな!俺は泳げないんだ!!」
バシャンとC.C.はルルーシュにこれでもかというほど、水をかけて、海からあがる。
「ちょ、待て、置いていくな!!」
海を漂うルルーシュは、風のせいで中々浜辺にたどり着けない。
「喉が渇いた。ドリンクでも頼んでくるか。ルルーシュ、楽しそうだな」
ポーンと、水で濡れたナナリー人形がルルーシュの上から降ってきた。
「もぎゃ!」
それをキャッチした瞬間、イルカの浮き輪を手放してしまい、ざぶんとルルーシュは碧玉の如き波に沈むと、あたふたと必死で泳いで、イルカの浮き輪にしがみ付く。
「くそ、覚えてろ!」
「ははははは」
ハイビスカスが揺れる。同じように、C.C.の声も、楽しそうに揺れていた。
たまには、息抜きもいいだろう?
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