ラブファントム「ちゃんと届いているから」
ロックオンは、デュナメスのコックピットから出ると、ハロにデュナメスの機体をトレミーに収容するように託した。
「あばよ、相棒」
宇宙を漂う。
ビームライフルを手に。
「何やってるんだろうな俺は・・・けどなこいつをやらなきゃ、仇をとらなきゃ・・・おれは前に進めねぇ、世界とも向き合えねぇ」
アリーの乗るガンダムスローネに向けて、銃の照準を合わせる。
「だからさぁ、狙い撃つぜぇ!」
引き金を、ためらわずに引いた。
発射される。
襲いかかる衝撃。
体が吹き飛ぶ。
砕ける。
壊れる。
「父さん、母さん・・・エイミー・・・・・分かってるさ、こんなことしても変えられないかもしれないって。元には戻らないって、それでも、これからは・・・・・明日は、ライルの生きる未来を・・・・」
思い出す。
双子の弟。
たった一人、生き残った家族。
とても仲が良かった。影から、資金的に援助をしていた。顔を合わすことはなかったけれど。
ガンダムマイスターになり、家族の仇を打つと決めたロックオンは、双子の弟と別れた。
生きるために、その手を血で染め上げながら。
エメラルドの光が落ちていく。
闇に向かって、ロックオンの体は堕ちていく。
キラキラと、エメラルドの光を、欠片を零しながら、ロックオンの体はエメラルドの光に包まれる。
「よう・・・お前ら、満足か、こんな世界で」
宙を漂い、遠くに見える地球を見る。
隻眼にうつる地球は、青く美しかった。
人が生まれた母なる大地。
そっと、手を伸ばす。
遥かなる地球に向かって。
その手は、伸ばされたまま。
「おれは嫌だね」
指で、銃の形をとって、BANG!と撃つ真似をする。
「・・・・・・ああ、ごめんな。ティエリア、愛してるよ。こんな愚かな俺を許してくれ」
エメラルドの欠片をまといながら、宙を漂う。
「一緒に、家族になろう。家族に・・・・アイルランドで、一緒に暮らそうぜ。結婚式をあげて、俺の家で一緒に暮らして・・・・・」
明滅する光の欠片たち。
「なぁ。お前さんは、一度も俺に愛しているって言ってくれなかったな。でも知ってるぜ、お前さんは、ずっと俺に”愛してる”って言葉を・・・・言いたがってたってこと・・・・恋人なんだから・・・・・愛した相手のことくらい、気づいてるって・・・・泣くなよ、なぁ」
虚空に向かって、手を伸ばす。
「・・・・ああ、ちゃんと聞こえてるぜ。お前の愛してるって言葉。・・・・俺に、ちゃんと届いてるぜ」
エメラルドの瞳が、ゆっくり閉じていく。
「愛してるぜ、ティエリア。誰よりも、お前を」
目を開ける。
ぼんやりと映る、地球に手を伸ばす。
その手を、しっかりと背中に氷の翼を生やした光り輝くティエリアが握り締め、ロックオンを抱き寄せる。
「泣くなよ・・・・なぁ、家族になろう。家族に・・・・ちゃんと聞こえてるから。愛してるって言葉、ちゃんと届いているから・・・・・」
ロックオンの隻眼から、涙が溢れた。
「愛しすぎて、ごめんな」
こんなにも、こんなにもティエリアを愛している。
愛している。愛している。愛している。
幾万回でも幾億回でも囁く。
愛していると。
「愛してるぜ・・・・ティエリア」
ふわりと、ティエリアが笑った。
そのまま、抱きしめられながら、闇に堕ちていく。
果てしない闇に。
愛してるから。
ずっとずっと、愛しているから。
ラブファントム。
僕は愛の道化師。
愛している、愛している、愛している。
あなたに伝えることのできなかった言葉を何回も囁いて。
あなたに伝えたかった。
愛していると。
あなたに言っておきたかった。
あなたと家族になりたかった。
あなたと幸せになりたかった。
僕の幸福は、あなたがいてこそ成り立っていたのに。
ねぇ。
あなたは、今どこにいるの?
ラブファントム。
僕は愛の道化師。
愛している、愛している、愛している。
あなたに伝えることのできなかった言葉を何回も囁いて。
ラブファントム The End
Presented by Masaya Touha
あなたに囁く。何回でも何回でも。
「愛している」と囁き続ける。
あなたに伝えたかった。
「愛している」と。
-----------------------------------------------------------------
久しぶりの長編。
ちょ、ロックオンの死のシーンをアニメで見て台詞確認して打ったりしててマジで泣けてきた。
ロックオン。かむばーっく。
珍しく、ハッピーエンドではない終わり。
こんな終わりもいいのではないかと思います。
こんな哀しい終わり方じゃやだよって方いましたら、特別編をご覧下さい。
URLはっときます。
http://lira.nobody.jp/00ex.html
「あばよ、相棒」
宇宙を漂う。
ビームライフルを手に。
「何やってるんだろうな俺は・・・けどなこいつをやらなきゃ、仇をとらなきゃ・・・おれは前に進めねぇ、世界とも向き合えねぇ」
アリーの乗るガンダムスローネに向けて、銃の照準を合わせる。
「だからさぁ、狙い撃つぜぇ!」
引き金を、ためらわずに引いた。
発射される。
襲いかかる衝撃。
体が吹き飛ぶ。
砕ける。
壊れる。
「父さん、母さん・・・エイミー・・・・・分かってるさ、こんなことしても変えられないかもしれないって。元には戻らないって、それでも、これからは・・・・・明日は、ライルの生きる未来を・・・・」
思い出す。
双子の弟。
たった一人、生き残った家族。
とても仲が良かった。影から、資金的に援助をしていた。顔を合わすことはなかったけれど。
ガンダムマイスターになり、家族の仇を打つと決めたロックオンは、双子の弟と別れた。
生きるために、その手を血で染め上げながら。
エメラルドの光が落ちていく。
闇に向かって、ロックオンの体は堕ちていく。
キラキラと、エメラルドの光を、欠片を零しながら、ロックオンの体はエメラルドの光に包まれる。
「よう・・・お前ら、満足か、こんな世界で」
宙を漂い、遠くに見える地球を見る。
隻眼にうつる地球は、青く美しかった。
人が生まれた母なる大地。
そっと、手を伸ばす。
遥かなる地球に向かって。
その手は、伸ばされたまま。
「おれは嫌だね」
指で、銃の形をとって、BANG!と撃つ真似をする。
「・・・・・・ああ、ごめんな。ティエリア、愛してるよ。こんな愚かな俺を許してくれ」
エメラルドの欠片をまといながら、宙を漂う。
「一緒に、家族になろう。家族に・・・・アイルランドで、一緒に暮らそうぜ。結婚式をあげて、俺の家で一緒に暮らして・・・・・」
明滅する光の欠片たち。
「なぁ。お前さんは、一度も俺に愛しているって言ってくれなかったな。でも知ってるぜ、お前さんは、ずっと俺に”愛してる”って言葉を・・・・言いたがってたってこと・・・・恋人なんだから・・・・・愛した相手のことくらい、気づいてるって・・・・泣くなよ、なぁ」
虚空に向かって、手を伸ばす。
「・・・・ああ、ちゃんと聞こえてるぜ。お前の愛してるって言葉。・・・・俺に、ちゃんと届いてるぜ」
エメラルドの瞳が、ゆっくり閉じていく。
「愛してるぜ、ティエリア。誰よりも、お前を」
目を開ける。
ぼんやりと映る、地球に手を伸ばす。
その手を、しっかりと背中に氷の翼を生やした光り輝くティエリアが握り締め、ロックオンを抱き寄せる。
「泣くなよ・・・・なぁ、家族になろう。家族に・・・・ちゃんと聞こえてるから。愛してるって言葉、ちゃんと届いているから・・・・・」
ロックオンの隻眼から、涙が溢れた。
「愛しすぎて、ごめんな」
こんなにも、こんなにもティエリアを愛している。
愛している。愛している。愛している。
幾万回でも幾億回でも囁く。
愛していると。
「愛してるぜ・・・・ティエリア」
ふわりと、ティエリアが笑った。
そのまま、抱きしめられながら、闇に堕ちていく。
果てしない闇に。
愛してるから。
ずっとずっと、愛しているから。
ラブファントム。
僕は愛の道化師。
愛している、愛している、愛している。
あなたに伝えることのできなかった言葉を何回も囁いて。
あなたに伝えたかった。
愛していると。
あなたに言っておきたかった。
あなたと家族になりたかった。
あなたと幸せになりたかった。
僕の幸福は、あなたがいてこそ成り立っていたのに。
ねぇ。
あなたは、今どこにいるの?
ラブファントム。
僕は愛の道化師。
愛している、愛している、愛している。
あなたに伝えることのできなかった言葉を何回も囁いて。
ラブファントム The End
Presented by Masaya Touha
あなたに囁く。何回でも何回でも。
「愛している」と囁き続ける。
あなたに伝えたかった。
「愛している」と。
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久しぶりの長編。
ちょ、ロックオンの死のシーンをアニメで見て台詞確認して打ったりしててマジで泣けてきた。
ロックオン。かむばーっく。
珍しく、ハッピーエンドではない終わり。
こんな終わりもいいのではないかと思います。
こんな哀しい終わり方じゃやだよって方いましたら、特別編をご覧下さい。
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