ラブファントム「最後の思い出」
「ティエリア。俺の故郷にこないか?」
「え?」
「俺の生まれた場所を、ティエリアに見せたい」
「でも、いいのですか」
「ああ」
ロックオンの突然の言葉に、ティエリアは戸惑ったが、ロックオンの生まれた故郷を見てみたかった。
そのまま、二人でガンダムに乗って、アイルランドに向かった。
戦況が厳しくなっていく中、もうプライベートでガンダムを使うのはこれが最後になるだろう。
どこまでも広がる放牧地帯。
なだからな丘。
広がる青空。
吹き抜ける風。
「のどかな場所ですね」
「だろ」
そのまま、ロックオンの実家に案内された。
「ここが、俺が生まれた家」
「ここが、あなたの生まれた家・・・」
「俺はテロで家族をなくしてしまったけどな。この家だけは残してるんだ。思い出がいっぱいあるから」
「ロックオン」
ティエリアは、哀しげな瞳のロックオンを抱き寄せる。
「僕があなたの家族になりますから。だから、悲しまないでください」
「わお、逆プロボーズされちまった。せっかく言おうと思ってたのに」
「ロックオン?」
ロックオンは、人の生活の匂いのしない家に案内すると、ソファーにティエリアを座らせた。
そして、綺麗な手をとって、ポケットから指輪を取り出すとはめる。
「これ、は?」
「婚約指輪」
「え」
「家族になってくれるんだろう?」
「はい。そういいましたけれど、でも結婚なんてできるのですか。僕は無性です」
「そこらへんは、CB研究員がなんとかしてくれるって。この前も言った通り、国籍は与えられてる。性別は男性になってるけどな。いざとなれば、女性にかえちまえばいい」
「そんな、だいそれたこと」
「もともと、国籍のない者に国籍を勝手につくるって行為そのものが犯罪なんだよ」
ロックオンは、ティエリアの頭を撫でる。
「僕が、人工生命体なばかりに、苦労ばかりかけますね」
「あーもう、そういう言い方やめろって。ティエリアは人間なんだから」
はめられた指輪は、エメラルドだった。
「その指輪、おれの瞳の色とお揃い」
にまーっと、ロックオンが朗らかに笑う。
「んで、俺の指輪はこれ」
自分の指に、ロックオンは指輪をさす。
同じデザインの指輪であったが、石はガーネットだった。
「お前さんの瞳の色だ」
「僕の、瞳の色」
「ガーネットの瞳。綺麗だよな。金色の瞳も綺麗だけど」
「うー」
ボロボロと、ティエリアは泣き出した。
「どうしたんだよ、いきなり」
「ロックオン、どうしてあなたは僕をこんなに幸せにしてくれるのですか。幸せすぎて涙が止まりません」
泣くティエリアを、ロックオンがそっと抱きしめる。
そのまま、深いキスをする。
「戦いが終わったら、家族になりましょう。本当の家族に」
「ああ、なろう。そして、幸せな家庭を築くんだ」
二人は笑って、写真を撮った。
いつもとは違う私服に身を包んで、ロックオンの生家を背景に写真をとる。
ティエリアもロックオンも、写真なんて古いものに興味はなかったが、記念だ。
二人で始めてとった写真は、それが最初で最後であった。
ティエリアは、その写真を大事にコンピューターのシークレットのフォルダに入れた。
いつでも見れるように。
それが、最後の写真になるなんて、その時のティエリアには分かるすべもなかった。
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この時の写真が、短編「LOST DATE」に出てくる写真の画像データとなります。
「え?」
「俺の生まれた場所を、ティエリアに見せたい」
「でも、いいのですか」
「ああ」
ロックオンの突然の言葉に、ティエリアは戸惑ったが、ロックオンの生まれた故郷を見てみたかった。
そのまま、二人でガンダムに乗って、アイルランドに向かった。
戦況が厳しくなっていく中、もうプライベートでガンダムを使うのはこれが最後になるだろう。
どこまでも広がる放牧地帯。
なだからな丘。
広がる青空。
吹き抜ける風。
「のどかな場所ですね」
「だろ」
そのまま、ロックオンの実家に案内された。
「ここが、俺が生まれた家」
「ここが、あなたの生まれた家・・・」
「俺はテロで家族をなくしてしまったけどな。この家だけは残してるんだ。思い出がいっぱいあるから」
「ロックオン」
ティエリアは、哀しげな瞳のロックオンを抱き寄せる。
「僕があなたの家族になりますから。だから、悲しまないでください」
「わお、逆プロボーズされちまった。せっかく言おうと思ってたのに」
「ロックオン?」
ロックオンは、人の生活の匂いのしない家に案内すると、ソファーにティエリアを座らせた。
そして、綺麗な手をとって、ポケットから指輪を取り出すとはめる。
「これ、は?」
「婚約指輪」
「え」
「家族になってくれるんだろう?」
「はい。そういいましたけれど、でも結婚なんてできるのですか。僕は無性です」
「そこらへんは、CB研究員がなんとかしてくれるって。この前も言った通り、国籍は与えられてる。性別は男性になってるけどな。いざとなれば、女性にかえちまえばいい」
「そんな、だいそれたこと」
「もともと、国籍のない者に国籍を勝手につくるって行為そのものが犯罪なんだよ」
ロックオンは、ティエリアの頭を撫でる。
「僕が、人工生命体なばかりに、苦労ばかりかけますね」
「あーもう、そういう言い方やめろって。ティエリアは人間なんだから」
はめられた指輪は、エメラルドだった。
「その指輪、おれの瞳の色とお揃い」
にまーっと、ロックオンが朗らかに笑う。
「んで、俺の指輪はこれ」
自分の指に、ロックオンは指輪をさす。
同じデザインの指輪であったが、石はガーネットだった。
「お前さんの瞳の色だ」
「僕の、瞳の色」
「ガーネットの瞳。綺麗だよな。金色の瞳も綺麗だけど」
「うー」
ボロボロと、ティエリアは泣き出した。
「どうしたんだよ、いきなり」
「ロックオン、どうしてあなたは僕をこんなに幸せにしてくれるのですか。幸せすぎて涙が止まりません」
泣くティエリアを、ロックオンがそっと抱きしめる。
そのまま、深いキスをする。
「戦いが終わったら、家族になりましょう。本当の家族に」
「ああ、なろう。そして、幸せな家庭を築くんだ」
二人は笑って、写真を撮った。
いつもとは違う私服に身を包んで、ロックオンの生家を背景に写真をとる。
ティエリアもロックオンも、写真なんて古いものに興味はなかったが、記念だ。
二人で始めてとった写真は、それが最初で最後であった。
ティエリアは、その写真を大事にコンピューターのシークレットのフォルダに入れた。
いつでも見れるように。
それが、最後の写真になるなんて、その時のティエリアには分かるすべもなかった。
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この時の写真が、短編「LOST DATE」に出てくる写真の画像データとなります。
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