好き。5
10月の終わり。
中間テストがやってきた。
ルキアは全然勉強しなかった。一護は、はじまるかなり前から勉強していた。
前の偏差値では、希望する大学にあと少し届かなかった。
ユーハバッハとの戦いがあったせいで、勉学はどうしても疎かになりがちであった。
戦争も終わり、一護はただの死神代行として、今は現世にいる。
ルキアは、記憶置換を使い、全ての教科を100点にした。
一護は、試験前日はつめこんだ全てのおさらいをして、早めに眠った。日頃から勉強しているので、一夜漬けをする必要はなかった。
今回の中間テストと期末テストの結果で、進学する大学が最終的に決まる。
一護は中間テストで9位という成績をとり、静かにガッツポーズをした。ちなみに1位は石田だった。
茶渡や井上も、成績の上位に食い込んでいた。
皆、進路はばらばらだった。
茶渡はボクシングに打ち込むために、スポーツが盛んな大学を選んだ。井上は、看護系の大学を選び、石田は父親のあとを継ぐために医大にすすむことになっている。
「はぁ‥‥‥高校生活も、あと4カ月ちょいで終わりか」
ちなみに、ルキアは進路は就職ということになっていた。
今までの試験も全て100点で通してきたので、進路の先生からもったいないと泣かれたくらいだ。まぁ、どうせ記憶置換によるものなので、本人の力でテストを受けさせたら赤点だらけだろうが。
古典と現国はまだいい。英語と数学が特にやばい。社会と理科もやばそうだ。
「一護、試験も終わったし、どこかに遊びにいこう」
ルキアが、放課後に人の減った教室で一護に話しかける。
その近さに、黒崎は朽木さんと付き合っているという噂が流れていたが、本当のことなので無視した。
一護は財布の中身を確認して、ルキアと並んで歩き出す。
「テストも終わったし、ミスドでもいくか」
「お、ドーナツか。たくさん食べたい」
「太るぞ」
「太らん!」
ルキアに足を蹴られるが、適当に避けた。
「むっ」
「そうそう、いつもやられてばかりじゃねーよ」
ルキアは、避けて余裕をかましている一護に飛び蹴りを食らわせる。
「のあっ」
「ふふふ、隙あり!」
「このじゃじゃ馬が!ミスド、連れてってやらないぞ」
「あ、嘘だ一護。すまん、すまん」
一護の前で、謝りだすルキアの頭をくしゃりと撫でて、一護はルキアと一緒に駅前にあるミスドに入った。
「うーむ。選びきれん。とりあえず、全種コンプリートするか」
「まじで太るぞ」
「大丈夫だ。私は太らん体質なのだ。今までもよく食べてきたが、太らなかったであろう?」
「そういやそうだな」
二人で、ミスドでドーナツを食べてから、公園にきた。
ルキアは食べきれなかったドーナツをお持ち帰りしていた。
公園について、ドーナツをかじりだすルキアを、一護はじっと見る。
「な、なんだ。見てもやらんぞ」
「いや、うまそうに食うなぁと思って」
「仕方あるまい。このドーナツを半分やる」
「いらね。夕飯が食えなくなる」
「ぬおおお、夕飯の存在を失念していた。遊子の飯はうまいのだ]
「じゃあ、ドーナツはもう明日にしろ」
「いやだ。今食べる」
一護はため息をつく。
「ほんと、あんま我儘言わねぇけど食については我儘おおいのな」
「ほっとけ」
ドーナツを食べ終えて、砂糖まみれになった手を公園の水道で洗って、ルキアは一護と手を繋いで家に戻った。
「あ、一兄、ルキアちゃんお帰りなさい。今日の夕飯はビーフシチューだよ」
玄関を開けて中に入ると、遊子がいていい匂いがキッチンから漂ってきていた。
「着替えてくる」
「俺も」
ルキアは妹たちの部屋で着替え、一護は自室で着替えた。
「一護、早く夕飯を」
「ば、ノックくらいしやがれ」
パンツ一丁な一護を見てしまって、ルキアは真っ赤になって開けた扉をしめる。
ちなみにパンツはボクサーパンツだった。
「もういいぞ」
「うむ」
質素な室内着に着替えた一護は、ルキアの少し丈の少ないスカートを見て、それをばさりとめくった。
「な、何をするのだ!」
「さっきのお返し。ふむ、今日は紫か」
「たわけ!」
「ルキアちゃん?」
キッチンから戯れ合う一護とルキアを心配して、遊子が声をかけてきたので、ルキアは猫を被って笑う。
「おほほほほ。なんでもないですわ」
ルキアは、一護の足をぐりぐりと踏んでいた。
夕食もすませ、風呂にも入り終わって、一護は机に向かって勉強をしていた。ルキアは一護のベッドで遊子から借りた恋愛漫画を読んでいた。
「今日はこのへんにするか。ルキア、寝るぞ」
「うーむ、今いいところなのだ。あと少し」
「明日にしろ。どうせ明日は土曜で休みなんだから」
「うるさい、今いいところなのだ。わきゃあ!?」
コミックを奪われて、いきなり抱きしめられるものだから、ルキアは変な声をあげていた。
「寝るぞ」
「う、うむ」
ルキアは一度妹たちの部屋に行き、パジャマに着替える。
ルキアが一護の部屋でともに寝起きしているのは、黒崎家では公然とした秘密になっていた。
「待たせたな」
「パジャマ、変えたのか」
ちゃっぴー柄の前のパジャマから、猫柄のパジャマに変わっていた。
「似合わぬか?」
「いや、普通」
「そ、そこは嘘でも似合うといわんか!」
「じゃあ似合ってる」
「たわけ!」
うなる拳で頭を叩かれて、一護は頭をおさえながら布団を押し入れから取り出す。
もうだいぶ寒くなってきた。
昼時は30度近くなることもたまにあるが、衣替えの季節だ。
「寝ようぜ」
一護は、当たり前のようにルキアを先にベッドに寝かせて、後から布団に入ってきてルキアを抱きしめて眠る。
「なぁ、一護」
「なんだ?」
「その、卒業した後の二人きりの旅行のことなのだが」
「ああ、まだまだ先だから気にすんな」
「うむ‥‥」
考えてみると、二人きりで旅行などしたことはなかった。
デートはけっこうしているが
「なぁ、一護」
答える声はない。
一護のほうを向いて寝がえりをうつと、一護はすでに寝ていた。
端正な顔立ちに、ルキアが赤くなる。睫毛までオレンジだ。意外と睫毛は長い。
窓側に寝がえりをうって、ルキアも眠るのであった。
中間テストがやってきた。
ルキアは全然勉強しなかった。一護は、はじまるかなり前から勉強していた。
前の偏差値では、希望する大学にあと少し届かなかった。
ユーハバッハとの戦いがあったせいで、勉学はどうしても疎かになりがちであった。
戦争も終わり、一護はただの死神代行として、今は現世にいる。
ルキアは、記憶置換を使い、全ての教科を100点にした。
一護は、試験前日はつめこんだ全てのおさらいをして、早めに眠った。日頃から勉強しているので、一夜漬けをする必要はなかった。
今回の中間テストと期末テストの結果で、進学する大学が最終的に決まる。
一護は中間テストで9位という成績をとり、静かにガッツポーズをした。ちなみに1位は石田だった。
茶渡や井上も、成績の上位に食い込んでいた。
皆、進路はばらばらだった。
茶渡はボクシングに打ち込むために、スポーツが盛んな大学を選んだ。井上は、看護系の大学を選び、石田は父親のあとを継ぐために医大にすすむことになっている。
「はぁ‥‥‥高校生活も、あと4カ月ちょいで終わりか」
ちなみに、ルキアは進路は就職ということになっていた。
今までの試験も全て100点で通してきたので、進路の先生からもったいないと泣かれたくらいだ。まぁ、どうせ記憶置換によるものなので、本人の力でテストを受けさせたら赤点だらけだろうが。
古典と現国はまだいい。英語と数学が特にやばい。社会と理科もやばそうだ。
「一護、試験も終わったし、どこかに遊びにいこう」
ルキアが、放課後に人の減った教室で一護に話しかける。
その近さに、黒崎は朽木さんと付き合っているという噂が流れていたが、本当のことなので無視した。
一護は財布の中身を確認して、ルキアと並んで歩き出す。
「テストも終わったし、ミスドでもいくか」
「お、ドーナツか。たくさん食べたい」
「太るぞ」
「太らん!」
ルキアに足を蹴られるが、適当に避けた。
「むっ」
「そうそう、いつもやられてばかりじゃねーよ」
ルキアは、避けて余裕をかましている一護に飛び蹴りを食らわせる。
「のあっ」
「ふふふ、隙あり!」
「このじゃじゃ馬が!ミスド、連れてってやらないぞ」
「あ、嘘だ一護。すまん、すまん」
一護の前で、謝りだすルキアの頭をくしゃりと撫でて、一護はルキアと一緒に駅前にあるミスドに入った。
「うーむ。選びきれん。とりあえず、全種コンプリートするか」
「まじで太るぞ」
「大丈夫だ。私は太らん体質なのだ。今までもよく食べてきたが、太らなかったであろう?」
「そういやそうだな」
二人で、ミスドでドーナツを食べてから、公園にきた。
ルキアは食べきれなかったドーナツをお持ち帰りしていた。
公園について、ドーナツをかじりだすルキアを、一護はじっと見る。
「な、なんだ。見てもやらんぞ」
「いや、うまそうに食うなぁと思って」
「仕方あるまい。このドーナツを半分やる」
「いらね。夕飯が食えなくなる」
「ぬおおお、夕飯の存在を失念していた。遊子の飯はうまいのだ]
「じゃあ、ドーナツはもう明日にしろ」
「いやだ。今食べる」
一護はため息をつく。
「ほんと、あんま我儘言わねぇけど食については我儘おおいのな」
「ほっとけ」
ドーナツを食べ終えて、砂糖まみれになった手を公園の水道で洗って、ルキアは一護と手を繋いで家に戻った。
「あ、一兄、ルキアちゃんお帰りなさい。今日の夕飯はビーフシチューだよ」
玄関を開けて中に入ると、遊子がいていい匂いがキッチンから漂ってきていた。
「着替えてくる」
「俺も」
ルキアは妹たちの部屋で着替え、一護は自室で着替えた。
「一護、早く夕飯を」
「ば、ノックくらいしやがれ」
パンツ一丁な一護を見てしまって、ルキアは真っ赤になって開けた扉をしめる。
ちなみにパンツはボクサーパンツだった。
「もういいぞ」
「うむ」
質素な室内着に着替えた一護は、ルキアの少し丈の少ないスカートを見て、それをばさりとめくった。
「な、何をするのだ!」
「さっきのお返し。ふむ、今日は紫か」
「たわけ!」
「ルキアちゃん?」
キッチンから戯れ合う一護とルキアを心配して、遊子が声をかけてきたので、ルキアは猫を被って笑う。
「おほほほほ。なんでもないですわ」
ルキアは、一護の足をぐりぐりと踏んでいた。
夕食もすませ、風呂にも入り終わって、一護は机に向かって勉強をしていた。ルキアは一護のベッドで遊子から借りた恋愛漫画を読んでいた。
「今日はこのへんにするか。ルキア、寝るぞ」
「うーむ、今いいところなのだ。あと少し」
「明日にしろ。どうせ明日は土曜で休みなんだから」
「うるさい、今いいところなのだ。わきゃあ!?」
コミックを奪われて、いきなり抱きしめられるものだから、ルキアは変な声をあげていた。
「寝るぞ」
「う、うむ」
ルキアは一度妹たちの部屋に行き、パジャマに着替える。
ルキアが一護の部屋でともに寝起きしているのは、黒崎家では公然とした秘密になっていた。
「待たせたな」
「パジャマ、変えたのか」
ちゃっぴー柄の前のパジャマから、猫柄のパジャマに変わっていた。
「似合わぬか?」
「いや、普通」
「そ、そこは嘘でも似合うといわんか!」
「じゃあ似合ってる」
「たわけ!」
うなる拳で頭を叩かれて、一護は頭をおさえながら布団を押し入れから取り出す。
もうだいぶ寒くなってきた。
昼時は30度近くなることもたまにあるが、衣替えの季節だ。
「寝ようぜ」
一護は、当たり前のようにルキアを先にベッドに寝かせて、後から布団に入ってきてルキアを抱きしめて眠る。
「なぁ、一護」
「なんだ?」
「その、卒業した後の二人きりの旅行のことなのだが」
「ああ、まだまだ先だから気にすんな」
「うむ‥‥」
考えてみると、二人きりで旅行などしたことはなかった。
デートはけっこうしているが
「なぁ、一護」
答える声はない。
一護のほうを向いて寝がえりをうつと、一護はすでに寝ていた。
端正な顔立ちに、ルキアが赤くなる。睫毛までオレンジだ。意外と睫毛は長い。
窓側に寝がえりをうって、ルキアも眠るのであった。
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