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一護を忘れたルキア 京楽

ルキアと付き合いだして、1カ月が過ぎようとしていた。

その日は、かつて現世で仲間で友達であった、井上、石田、チャド、それに恋次をくわえて、居酒屋に飲みにきていた。

「黒崎君に告白した時ふられたのって、やっぱり朽木さんが好きだったのね」

井上は、すでにできあがっているようで、石田に酒のおかわりをもってこいと言って、ビールの大ジョッキの3つめをあけたところだった。

「おい、大丈夫かよ井上。飲みすぎじゃねぇか?」

「いいのよ、私のことはほっといて~。どうせ私は、魅力のない女ですよ~」

「いや、巨乳があるだろ」

恋次のつっこみに、ルキアがその頭に拳骨を入れる。

「いてぇ」

「女性の価値を胸で決めるな」

「ああ、ルキアは貧乳だもんな」

地雷を踏んだ恋次は、ルキアにひっぱっていかれて、ボコボコになって帰ってきた。

傷を、井上に治療してもらいながら、皆一護とルキアがうまくいっているのを、自分のことのように喜んでくれた。

「半年後に、式を挙げることになったんだ」

「おめでとう!」

「おめでとう、黒崎」

「ルキアを不幸にしたら、絶対に許さねーからな」

「黒崎君も朽木さんも、幸せになってね」

皆、いい仲間で友達だ。

井上は一護に、恋次はルキアに未練があったようだが、顔に出すまいとしていた。

「今日は俺のおごりだ。じゃんじゃん飲んでくれ」

13番隊の副隊長の給料はけっこうな額であった。

ルキアは、その数倍をもらっているが、朽木家に住んでいるので使っていない。

たまりにたまった金は、チャッピーグッズに消えていく。

「うい~私は酔ってないぞおおお」

「いや、完全に酔っ払てるだろ。飲みすぎだ。明日が二日酔いでつらいぞ」

「私には回道がある。ふははははは」

「俺、回道はからっきしなんだよなぁ。鬼道はそこそこ使えるようになったけど」

「教えたのが私だからな。私の生徒になっておきながら、使えないなど許せるものか」

鬼道を教えてくれるルキアは、それなりに厳しかった。

いつもが優しいだけに、その厳しさでルキアの意外な一面が見れて、一護は嬉しかった。

「明日も早いから、風呂入って寝るぞ」

「うぃーー。酔ってないのだーー」

「おい、一人で風呂入れるよな?風呂場でお湯に浸かったまま寝て、溺死したりしないよな?」

一護はルキアが心配になってきた。

「風呂くらい一人で入れるわ」

「そうか。ならいいんだ」

一緒に入りたいと言いたいところだが、清い関係でいたいために、一護はぐっと我慢した。

「じゃあ、俺は先に寝るからな」

「ういーー。おやすみぃいい」

ルキアは、酔っ払いながら風呂場で寝かけて、念のためにと見に来た一護が助けて、のぼせるだけですんだ。

「ルキアには、しばらく酒は飲ませない」

「何故だ!横暴だ!」

「酔っぱらって風呂場で寝落ちしかけてたんだぞ!」

「う・・・・・」

ルキアは、1カ月禁酒を白哉から言い渡されて、しょんぼりしていた。

「兄様が言うなら、仕方ない・・・・」

一護の言うことは聞かないが、義兄である白哉のいうことは、ルキアは素直に聞いた。

半年後の結婚式まで、清い交際をと言う白哉だが、ルキアと同じ部屋を宛がうあたり、試されているのではないかと思うようになった。

「はぁ・・・・毎日が幸せだけど辛い」

恋次に相談すると、恋次は笑って。

「食っちまえよ」

と言って、相談相手にならない。

悩んだ末に、総隊長である京楽に相談してみた。



「あー、それは白哉君、確かに君を試してるだろうね。手を出したら、多分結婚は延期になるんじゃないかなぁ」

「そうっすよね。白哉のやつ、俺のこと試してますよね」

「うん、ボクはそう思うよ」

「はぁ・・・ルキアと別の部屋で寝ようかな・・・でも、ルキアになんでだって言われそうだし」

一護は溜息をついた。

「我慢するしかないねぇ」

「京楽さんは、好きな人とかいたんすか?」

京楽に尋ねると、京楽は少し辛そうな顔をした。

「いたよ。学院からのなじみの子でね。大戦で、死んじゃったけど」

「まさか・・・浮竹さんっすか?」

「よくわかったね」

「だって、京楽さんの隣にはいつも浮竹さんがいたから。半分は感ですけど」

「ボクは、今も浮竹のことを愛しているよ」

「浮竹さん、神掛して・・・・・」

「そのことは、事前に聞いていたんだよ。でも、ボクは止めなかった。護廷13隊のために死なば本望。死神達は皆、浮竹と同じ思いだった。もちろん、ボクもね」

死んでもなお愛し続ける。

それだけの覚悟が、一護は自分にあるだろうかと考えてみるが、ルキアが死ぬことなんてありえないと思ってしまう。

「京楽さん、いきなりおしかけてすんませんでした」

「いや、いいよ。また悩み事があったらおいで。おじさんでよければ、相談相手になるから」

「はい」

それから数度、一護は京楽に相談事をして、いろいろ人生の経験をつんでいくのだった。


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