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一護を忘れたルキア 再開の果て

「よぉ、ルキア。久しぶりだな」

「うむ。元気にしておったか?」

「まぁ、元気だな。じいさんになって死んで、魂魄は少年の姿してるけど。お前が魂葬してくれるのか?」

死にたてほやほやの一護は、彷徨う亡霊になるはずもなく、90歳という天寿を全うして迎えに来たルキアに魂魄の姿でその頭を撫でた。

「ふふ、懐かしいな。貴様と最後に会ったのは、10年前だったか。爺さんなのに、元気すぎて皆心配しておったが」

「まぁ、爺さんなっても俺は俺だしな。魂葬されても、俺は記憶を失わない。尸魂界で会おう、ルキア」



ルキアは一護のことが好きだった。

一護も、ルキアのことが好きだった。

お互い思いを告げることなく時間は去り、やがて天寿を全うした一護の魂魄が尸魂界にやってきた。

魂葬をしたのはルキアだった。

普通、人間は前世を忘れて尸魂界にやってくるのだが、死神であった一護には、生前の記憶が残っており、ルキアのことが好きだった。

その想いを、ルキアにぶつける。

「今更かもしんねぇが、お前のことが好きだ」

「は?」

ルキアは、首を傾げた。

「何をたわけたことを言っておる」

「冗談でもなんでもない。お前が、好きだ、ルキア」

「わ、私は・・・・」

ルキアは真っ赤になった。

そして、小さく呟く。

「私も、一護のことが、好き、だ・・・・・」

「じゃあ、俺たち両想いだったのか。なんだよ。死ぬまで待つ必要なんてなかったじゃねーか」

「一護・・・・これから、どうするのだ?」

「そうだなぁ。護廷13隊が俺を放置しておくはずないから、どっかの隊で隊長か副隊長でもしながら、まったり生きていくんじゃねーの?もちろん、隣にはルキア、お前がいて」

一護もルキアも、井上と恋次という存在があったが、結婚はせずに独り身を貫いてきた。

「で、では13番隊の副隊長になれ!」

「おいおい、いいのかよ。職権乱用じゃねーの?今の副隊長はどうするんだよ」

ルキアは、13番隊の隊長になっていた。

「今の副隊長には、違う隊へ移動してもらう。一護が副隊長になるなら、誰も文句は言うまい」

「京楽さんと、話つけるか」


一護は、総隊長である京楽と話し合い、13隊のどこもが一護を欲しがっている一護が、13番隊を希望していると聞いて、13番隊の副隊長になることを許してくれた。

「まさか、君が護廷13隊に入ってくれるなんてねぇ。君のことだから、死神は続けるけれどどこにも所属しないものだと思っていたよ」

「んな野良ネコみたいな真似できねーだろ。死神は全部護廷13隊だろ?」

「まぁそうなんだけどねぇ。護廷13隊に君が入ってくれて、凄くうれしいよ」

京楽は、酒を一護にすすめた。

一護は杯をとって、京楽の注いだ酒を飲む。

「くー、きついなぁ、この酒」

一護は、死んだ時はおじいさんだったが、魂魄が尸魂界にきた時点で、一番全盛期であった少年の頃の姿に戻っていた。

「君の見た目だと、未成年に酒をすすめるようであれだけど、まぁ死神は見た目より数倍年とってるからね。君も90歳で死んだから、今は90歳かな」

「俺、鬼道とか全然だめだけど、いいすか京楽さん」

「ああ、鬼道はルキアちゃんが教えてくれるよ。副隊長の仕事の内容もね」

「ルキアに世話になりっぱなしだなぁ」

「それより、ルキアちゃんに想いは伝えたのかい?」

「え、京楽さんなんで知ってるんだ!」

「君がルキアちゃんの話をするとき、いつも楽しそうにするから。ああ、恋してるんだなぁって思ってね。ルキアちゃんは硬く見えるけど、けっこう奥手だから、攻めるなら真正面からだよ」

「いや、もう告白しました」

「おおおお!それで、どうなったの!?」

「ルキアも、俺のことが好きだって・・・その、結婚を前提に付き合おうと思って」

「こりゃめでたい。式の日には絶対呼んでよ?護廷13隊全員の隊長副隊長に席官の者が、参加すると思うから」

「京楽さん、気が早いっす」

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「ということで、13番隊副隊長になった黒崎一護だ。今まで死神の力はもっていたが、尸魂界にくるのは久しぶりだし、その死神の学校とか卒業してないから、いろいろ知らないことがるかもしれねぇ。そん時は、教えてくれたり指摘してくれたらありがたい。あと、ルキアと正式にお付き合いすることになった!」

「い、一護、いらんことを言わんでいい!!」

ルキアは真っ赤になって、一護の頭をはたきまくった。

「いててててて。いいじゃねぇか、本当のことなんだから」

「隊長、おめでとうございます!」

「隊長も副隊長も、おめでとうございます」

「あ、ああすまんな」

ルキアは、一護の紹介のために13番隊隊舎で、皆を集めていた。

そこで、一護がいきなり正式に付き合うことをばらしたので、心臓がどきどきしていっこうにおさまってくれない。

「あたしの実家、花屋してるんです。ブーケとか注文してください!絶対いいの作りますから!」

「あ、お前ずるいぞ。俺の実家は呉服屋ですけど、現世の服も扱ってます。ウェディングドレスを作るなら、是非」

皆、気が早かった。

わいわいと、13番隊の面子に囲まれて、一護とルキアは赤面しながらも、幸せだなと思うのであった。


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「で、兄は何故、朽木家にいるのだ」

「いいだろ、白哉。ルキアと一緒にいたいんだよ。ルキアの奴、兄様と離れたくなってうるさいから、俺が朽木家にくることにした」

「ようは、婿入りか」

「まぁ、そうなるのか?」

「婿入りという名の、居候であろう。副隊長になってまだ、館を与えられていないのであったな。行き場所がなくて、我が家へきたのが、本当の理由だろう」

白哉は、相変わらず凛とした美貌だった。

居候になるのだが、断わられたら恋次の家にでも転がり込むしかないので、一護も必死だった。

「まぁ、よかろう。ルキアが望んだ相手だ。結婚式は、こちら側で手配しておく」

「おいおい、まだ付き合いはじめたばかりだぜ?みんな、気が早い」

「ルキアと結婚したくはないのか?」

「いや、もちろんしたいけど」

「では、貴族の結婚式になる故、少々手続きに時間がかかる」

「その、白哉もありがとな。あと、妹さんを俺にください」

「ルキアが自ら望んだ相手だ。私に許可を得ずともいい」

白哉は、目を閉じた。

「ルキアには、幸せになってもらいたい」

「絶対に幸せにする。俺が、ルキアを幸せにしてみせる」


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「ってことだから、一緒に住むことになった」

「はぁぁぁ!?兄様は、兄様はこのことをご存知なのか!」

「白哉の了解はとっくに得たぜ」

「兄様がよいというのなら、私が嫌という理由はない。これからも、その、よろしくな、一護」

「ああ。好きだぜ。よろしくな、ルキア」

二人は幸せだった。

だが、その幸せがルキアが一護を忘れてしまうことで崩壊してしまうのを、今は誰も知らなかった。




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